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中外製薬が「PHARMONY DAY」初開催 患者団体と社員対話で患者中心の医療実現へ

公開日時 2024/10/17 05:52
中外製薬は10月16日、患者中心の医療に向けた取り組みを共有、発信しようと患者団体と社員の参加型のイベント「CHUGAI PHARMONY DAY 2024」を初めて開催した。奥田修代表取締役社長CEOと患者団体代表者とのダイアログや、社内での取り組み事例の紹介、患者さんによる講演があった。奥田社長は、「患者さんと協働するということが目指しているゴールではない。医療を取り巻くマルチステークホルダーを巻き込んで、結果的に良い薬ができたり、届いたり、患者さん一人ひとりがより良い医療を選択できたりといった結果につなげていきたい」と述べた。

◎取り組みはバリューチェーン全体へ 23年のプロジェクトは96件
 

中外製薬では、企業理念における最優先の価値観(コア・バリュー)として「患者中心」を掲げる。2020年に始まった経営トップと患者団体との直接対話などを通じて、22年から患者やその家族の声を聞き、相互理解を通じて価値創造に取り組む活動として、PatientsやPharmaとHarmonyを組み合わせた「PHARMONY(ファーモニー)」を構築した。当初の取り組みは創薬研究が対象だったが、23年以降は開発や販売など対象をバリューチェーン全体に再定義し、全社的な活動へと発展させてきた。

初開催となったイベントには、東京都内の会場やオンラインを通じて社員300人超が参加。奥田社長は冒頭のあいさつで、「我々が目指す『一人ひとりが最適な治療を選択できる医療』を実現するためには、患者さんたちと製薬会社の相互理解がベースになる」と呼び掛けた。患者団体などと協働したプロジェクトは23年だけで96件に上ると紹介し、「共通のゴールに向けて対話をし、パートナーとして双方にとって価値のある協働を進めていきたい」と強調した。

◎奥田社長 患者との協働で「気付きだけでなく成果を」 患者団体とのダイアログで継続強調

患者団体とのダイアログでは、奥田社長とともに、悪性リンパ腫の患者や家族の支援に携わるグループ・ネクサス・ジャパンの天野慎介理事長と日本筋ジストロフィー協会の竹田保代表理事が登壇。PHARMONYの取り組みについて、天野氏は、「当初は打ち上げ花火的に終わるんだろうなと思っていたが、翌年にも開催されただけでなく、1年間の取り組みの振り返りもあった。業界内でも濃淡がある中で、取り組みが着々と広がっていることはすごく意味がある」と歓迎。初参加となった竹田氏は「専門家の目線で言う効果だけでなく、患者自身が感じる効果がある。(中外製薬での取り組みの事例を聞いて)患者がどう感じるのかを分かっていただける土壌があると感じた」と応じた。奥田社長は、「ダイアログを始めて知らないことがたくさんあった。その気付きを得るだけではなく、アクションをして、フィードバックをしてアウトカムを届けなくてはいけない」と成果にこだわりながら今後も取り組みを継続する考えを示した。

また、議論は患者に対する情報提供のあり方へ-。天野氏は、「僕たちが情報を探しに行かないといけないというのは厳しい部分がある。いわゆるプル型からプッシュ型へという言い方もあるが、企業や患者だけでなく行政当局や医療者も一緒になって考えていくことが必要ではないか」と問題提起。竹田氏も、「専門家だけが知っていて患者に伝わってこない情報はよくある。新しい薬が出ても、自分に使えるのか、そもそも薬が出たことすら知らない患者もいる。もっと積極的に伝えられるようになってもいいのではないか」と訴えた。奥田社長は、「医療の中で製薬企業1社ができることはほんの一部で、マルチステークホルダーがいろいろな役割を担いながら医療を提供している。規制のあり方についてもまずは共通認識が重要だが、さらにアクションやアウトカムにつながる活動が必要だ」と強調した。

◎製剤ニーズを聞くキャンプや治験補償への患者視点導入 社内の取り組み事例紹介

イベントでは、患者団体との協働に取り組んだ社内の事例紹介もあった。製剤研究部は、患者やその家族が参加したサマーキャンプを開催。若手研究員ら約100人が参加して製剤ニーズを直接聞くことで、錠剤の大きさや数のバランスや使いやすさ、情報提供などで気付きが得られたという。登壇した製剤研究部の酒井憲一さんは、「患者さんの声を聞いて、何のために仕事をするのか、なぜ研究をしているのかという原点に立ち返れた。『我々だからできる』という思いも新たにした」と振り返った。

臨床開発業務部では、治験で生じた健康被害に対する補償に患者視点を取り入れた。患者団体との対話で得られた視点から、補償に関わる文書の表現をよりシンプルで平易に改めるなど改善に繋がったという。治験補償チームの西谷内正和さんは「対話を通じて先入観や思い込みを払拭することができた。これからも継続して治験補償のあり方を革新していきたい」と意気込んだ。
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