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卸連・会員社23年度業績 営業利益率は1.00%、0.16ポイント改善 「何とか1%確保している状況」

公開日時 2024/09/27 04:52
日本医薬品卸売業連合会(卸連)は9月26日、会員企業の2023年度経営概況の速報値を発表した。営業利益率は前年度から0.16%改善して1.00%となった。ただ、新型コロナ前の19年度の営業利益率は1.25%で、コロナ前の水準までは回復していない。23年度に4年ぶりに営業利益率を1%にのせ、改善傾向をみせているものの、厳しい状況が続いている。

卸連の宮田浩美会長は同日の会見で、23年度は経口新型コロナ治療薬の一般流通品の販売増などを背景とするトップライン(売上高)の伸長があったと報告した。一方で、薬価改定や物価・エネルギー価格の上昇、賃上げといった減益要因に対し、人員減少や、「会員各社の粘り強い価格交渉」などでカバーし、「(医薬品卸業界は)営業利益率を何とか1%確保している状況」だと説明。「かなり厳しい状況に置かれていることに変わりはない」と強調した。“粘り強い価格交渉”は、23年度の平均乖離率が約6.0%(23年9月取引分)と過去最も低い数値だったことが、その証左だと語った。

◎販管費率が5%下回る

調査は24年4月に、直近の決算数値を対象として会員会社68社を対象に実施した。回答社数は52社、回答率は76.47%だった。

52社の23年度の総売上高は11兆1816億円(前年度比4.72%増)で、うち医療用医薬品売上は9兆5477億円だった。売上高の伸び率を詳細にみると、医療用医薬品を中心に事業を行っている会員企業(医療用医薬品販売80%以上の企業群)は4.59%の増収、一般用の事業にも注力している会員企業(同80%未満の企業群)は6.04%の増収だった。

売上総利益率は5.99%で、前年度から0.03ポイント上昇した。卸連は、「メーカーのアローアンスやリベートが減少したものの、流通改善に向け医療機関・薬局と粘り強い価格交渉を続けたことが主な要因と考えられる」と分析している。

販管費は前年度比2.13%増(1.59ポイント上昇)だった。販管費が伸びた要因として、▽ウエートの大きい人件費の伸び率がベースアップ実施などにより1.80%となった、▽物流費などの外部委託費が物価高騰の影響で上昇した――ことなどが推察されるとしている。

販管費が増えた一方で、販管費率は4.99%(0.13ポイント下降)となり、5%を下回った。これは売上が伸びたことに加え、「人件費率が前年よりも0.07ポイント減少の2.60%になった。人件費率が減少したのは、主に人員の減少の結果」だと指摘している。

月商ベースの販売生産性は前年度比7.66%増の1924万円だった。3年連続で増加したことになるが、卸連は経口新型コロナ治療薬の販売増と従業員数の減少によるものだと説明している。

◎従業員数・MS数とも減少 「かなり危機的な状況」

卸連はこの日、卸会員会社の従業員数が24年6月1日現在で4万6385人(前年同月比2535人減)、うちMS数は1万3060人(同545人減)となり、従業員数、MS数とも減少が続いていると発表した。減員理由のひとつに物流会社への出向・転籍があるが、宮田会長は若手社員の離職が進んでいるとの認識を改めて示した。

この日の卸連理事会では、従業員数・MS数が右肩下がりに減っている現状について、平時・有事を問わず必要な医薬品を安定供給するとの医薬品卸の役割を果たしていく上で、「かなり危機的な状況」だとの意見が出た。

宮田会長も会見で、「我々の業界では人員不足は致命的な状況になる」と強調した。そして、「社員の皆さんには、医薬品卸の仕事が重要度の高い魅力のある仕事であり、社会に貢献している仕事であると自負していただき、誇りをもって仕事をしていただきたい」と呼びかけ、学生や若い人たちには卸連として医薬品卸の仕事・役割・使命などを情報発信していく意向を示した。
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