日本医薬品卸売業連合会(卸連)は12月19日、年末恒例の「業界十大ニュース」と「業界川柳ベストテン」を発表した。十大ニュース１位は元日に発生した能登半島地震における医薬品卸の活躍が選ばれた。医薬品流通では、安定供給確保に向けた流通改善ガイドラインの改訂や、不採算品再算定品などの別枠交渉も注目を集めた。ただ、医薬品の供給不足は依然として影を落としており、川柳ベストテンには業界ならではの悲哀がにじんだ。

◎「部下たちの　できる人ほど　ビズ〇〇チ」

業界川柳ベストテンのトップは「人足りぬ　薬も足りぬ　業務過多」が選出された。長引く供給不安に「品薄で　卸の仕事　様変わり」（10位）の様相だ。人材離れにも歯止めが効かず、「部下たちの　出来る人ほど　ビズ○〇チ」（6位）とCMでお馴染みの大手転職サイトをもじった一句が入った。

◎流通改善ガイドラインの改訂　「別枠に　理解は示すが　うちは別」も上位入賞

流通改善ガイドラインの改訂では、医薬品の安定供給確保の観点から不採算品再算定品など「特に医療上の必要性の高い医薬品」を別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすることなどが明記された。ベストテンにも「別枠に　理解は示すが　うちは別」（2位）、「粘りよく　理解をもらい　改善へ」（9位）などが入り、注目度の高さがうかがえた。

正月を襲った能登半島地震では、現地の医薬品卸をはじめとして医薬品の流通体制確保が図られた。その後も年間を通じて台風や豪雨など自然災害は相次ぎ、「普段から　もしもの気持ちで　危機管理」（5位）はもはや当たり前の時代だ。ビジネスでは、いよいよ生成AIの利活用が本格化しつつある。新たな技術に、「AIが　病も診断　未来へと」（７位）と期待が膨らむ。一方で、業界の苦境を重ねて「無い薬　生成してよ　ええ具合」（8位）と無茶な注文で皮肉る一句も並んだ。

【業界十大ニュース】
１位　能登半島地震における医薬品卸の活躍
２位　マイナ保険証、12月２日本格化
３位　診療・介護・障害福祉のトリプル改定
４位　流通改善ガイドラインの改訂
５位　コロナワクチンの一般流通開始
６位　流通改善ガイドラインに別枠交渉を設定
７位　選定療養の開始による後発医薬品の使用促進
８位　医師の働き方改革が開始
９位　物流2024年問題
10位　ドラッグラグ・ロス解消に向けた取り組み強化

【業界川柳ベストテン】
１位　人足りぬ　薬も足りぬ　業務過多
２位　別枠に　理解は示すが　うちは別
３位　適正化　品質守る　使命感
４位　不足する　薬も人も　深刻化
５位　普段から　もしもの気持ちで　危機管理
６位　部下たちの　できる人ほど　ビズ〇〇チ
７位　AIが　病も診断　未来へと　
８位　無い薬　生成してよ　ええ具合
９位　粘りよく　理解をもらい　改善へ
10位　品薄で　卸の仕事　様変わり