卸連・宮田会長 25年度中間年改定の中断、廃止へ積極的に活動 「医薬品の安定供給に悪影響」
公開日時 2024/11/29 04:50
日本医薬品卸売業連合会(卸連)の宮田浩美会長は11月28日の定例会見で、年末に向けて議論が活発化する2025年度政府予算案の編成作業に対し、卸連として中間年改定の中断、廃止を求める活動をより積極的に展開すると強調した。
宮田会長は、「薬価は公定価格であって物価高騰や賃金上昇の影響を吸収できていない。これ以上、製薬企業も医薬品卸もコストカットするのは限界。医薬品の安定供給に悪影響を及ぼしているということを訴え、引き続き中間年改定の廃止を求めて活動を進める」と述べた。さらに、24年度改定で不採算品再算定品の薬価が引き上げられるなどしたが、長期にわたる医薬品卸の業務過多や疲弊の一因となっている出荷調整・需給調整に係る業務は、「足もとでは改善傾向にないのが明確だ」と指摘。「このような状況下で25年度中間年改定をやるべきなのかということを、しっかり訴えていく」と強調した。
◎需給調整業務 選定療養化された長期収載品の後発品の調達に時間がかかることも
需給調整業務に関連しては、10月に施行された長期収載品の選定療養化に伴う後発品の急配が起こり、その後発品の調達に時間がかかるといった現状もあるとし、「総合的に見て、胸を張って安定供給が確保されているとは言えない」とも指摘した。
宮田会長は8月の中医協薬価専門部会で行われた業界意見陳述の中で、中間年改定は医薬品の安定供給が持続的に確保されるよう、「廃止を含め、抜本的な見直しをしてもらいたい」と基本的な考えを示している。25年度中間年改定については、「医薬品の供給不足の早期解消が見込まれない状況であることを踏まえ、薬価改定は中断してもらいたい」と要望し、仮に中断が難しいのであれば安定供給すべき医薬品のカテゴリーとして、▽基礎的医薬品、▽安定確保医薬品カテゴリーA、▽不採算品再算定品――を対象から除外し、それ以外の医薬品について価格乖離の大きい品目のみを対象にしてもらいたいとしている。
◎“別枠品”の単品単価交渉 医療機関の理解を得ながら「一つひとつ進んでいる実感ある」
宮田会長はこの日の定例会見で、3月に改訂された流通改善ガイドライン(GL)に明記された“別枠品”の単品単価交渉について、「会員各社の取引を全て知っているわけではない」とした上で、医薬品卸自らが率先して流通改善に取り組み、買い手である医療機関側の理解を得ながら、「少しずつ前に進んでいる。(流通当事者間で)共通の認識、意識をもって一つひとつ進んでいるという実感はある」との認識を示した。
流通改善GLでは医療上の必要性の高い医薬品を価格交渉の段階から“別枠”として個々に単品単価交渉すると明記された。宮田会長は以前から、「安定供給との御旗のもと、古い商慣習を改善する大きな転換点になる」と指摘しており、過去からの商慣習の改善に向け動き出したといえそうだ。