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中医協総会 新型コロナ治療薬・パキロビッドの費用対効果評価 分析中断を了承 スピード感指摘も

公開日時 2024/09/12 04:51
中医協総会は9月11日、新型コロナ治療薬・パキロビッドの費用対効果評価について、オミクロン株流行下での評価を行った臨床試験の結果が出るまでの間、分析を中断することを了承した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、分析中断について「やむを得ない」としたうえで、最終的な分析結果が出るまで3年程度かかると見通し、「可能な限りスピード感を持った評価をお願いしたい」と述べた。また、「今後は、ある程度領域ごとにパターン化するなど分析作業の効率化ということも必要ではないか」と指摘した。

パキロビッドは、2023 年3月8日に、「H1(市場規模が100 億円以上)」として、費用対効果評価の対象品目に指定されていた。

◎オミクロン株流行下での有効性検討する必要性を指摘

製造販売元であるファイザーは、モルヌピラビル(製品名:ラゲブリオ)を比較対照技術に据え、両剤の第3相臨床試験の間接比較により、入院および死亡の減少について追加的有用性を有するとの評価を提出。しかし、公的分析は製造販売業者の評価の根拠となる臨床試験は、デルタ株流行以前にワクチン未接種者を対象として行われたもので、対象患者は分析枠組みの分析対象集団とは合致していないことを指摘。追加的有用性に関する最終的な判断は、オミクロン株流行時期のワクチン接種環境下における評価対象技術の有効性を検討したうえで行うべきとした。費用対効果評価専門組織では、オミクロン株流行下での本薬剤の有効性について検討されている第3相臨床試験「PANORAMIC」の結果を踏まえて検討するため、一定期間分析を中断することが妥当と結論づけた。

厚労省は、現時点でのデータのみでは不十分であるとして、現在データ解析中のPANORAMIC試験の結果が出るまでの間、分析を中断する方針を提示。分析中断の期間を最大1年間として、必要なデータが集まった時点で速やかに分析を行い、その結果を、中医協総会に報告するとした。

◎診療側・長島委員 臨床使用後のデータの再評価の頻度検討を

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「オミクロン株流行下での本薬剤の有効性について検討することは意味のあることと理解する。公的分析において、PANORAMIC 試験の結果を踏まえた分析をお願いする」と述べた。そのうえで、「臨床使用が開始された後のデータを用いて再評価を行っていくことについて、どれぐらいの頻度で行っていくのかなど、今回の事例も踏まえて検討を続けていくことが良いと考える」と述べた。

◎支払側・松本委員 費用対効果で引下げのラゲブリオ比較対照技術に疑義

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「ルールに基づく対応ということで、分析を中断することはやむを得ない」としたうえで、「対象品目に指定されてから既に1年半が経過している。企業側および公的分析側が各々現在あるデータで分析を試みたことと理解をしているが、もう少し早く調査、対応していただきたい」と指摘。「1年間中断した後に改めて分析する場合、トータルで3年程度かかるのではないか。可能な限りスピード感を持った評価をお願いしたい」と強調した。「今後は、ある程度領域ごとにパターン化するなど分析作業の効率化ということも必要ではないか」とも述べた。

また、比較対照技術に据えたモルヌピラビルがすでに費用対効果評価により、標準治療に比べて追加的有用性が認められず、薬価が引下げられていることに触れ、「そうした薬と比較すること自体がどうなのかという気持ちも若干ある」と指摘した。
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