武田薬品の結腸・直腸がん治療薬・フリュザクラなど新薬5製品を審議へ 8月2日の第二部会で
公開日時 2024/07/22 04:50
厚生労働省は8月2日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、武田薬品の経口結腸・直腸がん治療薬・フリュザクラカプセル(一般名:フルキンチニブ)など、新薬5製品の承認の可否を審議する。この中には、エーザイの経口胆道がん治療薬・タスフィゴ錠(タスルグラチニブコハク酸塩)が含まれる。
報告予定品目はMSDのキイトルーダ点滴静注の非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の効能追加など5製品。第二部会を通過した場合、効能追加などは8月中、新有効成分含有医薬品など薬価収載が必要な品目は9月の正式承認が見込まれる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ヌーカラ皮下注100mgシリンジ、同皮下注100mgペン(メポリズマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体。現在、ヌーカラは気管支喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の効能・効果で承認されている。今回承認されると、3つ目の適応となる。
GSKの承認申請時のプレスリリースによると、日本の慢性副鼻腔炎患者数は約200万人といわれ、そのうち鼻茸などを有することによる手術対象例は約20万人と推定されている。
なお、国内において生物学的製剤は、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセントが「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」の適応を持っている。
▽フリュザクラカプセル1mg、同カプセル5mg(フルキンチニブ、武田薬品):「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
VEGFR1/2/3に対する選択性を有する経口チロシンキナーゼ阻害薬。承認申請時のプレスリリースによると、申請は前治療歴を有する転移性大腸がんを対象とした国際共同第3相FRESCO-2試験等の結果に基づく。
武田薬品は23年1月に中国HUTCHMED社から中国を除く全世界を対象とした開発・商業化権を獲得。米国で23年11月に、欧州で24年6月に承認を取得している。
▽アレセンサカプセル150 mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量・その他の医薬品。希少疾病用医薬品。
ALK阻害剤。承認申請時のプレスリリースによると、申請はIB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC第7版)のALK陽性非小細胞肺がんを完全切除した患者を対象としたグローバル第3相ALINA試験等の結果に基づく。
▽タスフィゴ錠35mg(タスルグラチニブコハク酸塩、エーザイ):「がん化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
エーザイが創製した経口投与のFGFR1、FGFR2、FGFR3選択的チロシンキナーゼ阻害剤。承認申請時のプレスリリースによると、申請は、日本と中国で実施した第2相試験(201試験)等の結果に基づく。
日本の胆道がん患者数は約2.5万人と推計されており、FGFR2融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められているという。
▽ミールビックII皮下注用(乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、阪大微生物病研究会):「麻しん及び風しんの予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤。
承認申請時のプレスリリースによると、既存品である乾燥弱毒生麻しん・風しん混合ワクチン「ミールビック」の改良品であり、安定した原材料調達のため、製造工程における風疹ウイルスの培養方法を変更したもの。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。承認申請時のプレスリリースによると、申請は切除可能なII期、IIIA期、IIIB期の非小細胞肺がんを対象とした、キイトルーダと化学療法との併用による術前補助療法と、その後の切除とキイトルーダ単独療法による術後補助療法の国際共同第3相KEYNOTE-671試験等の結果に基づく。
▽アリムタ注射用100mg、同注射用500mg(ペメトレキセドナトリウム水和物、日本イーライリリー):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
▽ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物、日本化薬):「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を対象疾患とする新用量医薬品。
いずれも非小細胞肺がん術前補助療法でのキイトルーダとの併用に関するもの。
▽ツルバダ配合錠(エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「HIV-1感染症の曝露前予防」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。
核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)。ギリアドはHIV-1感染症の曝露前予防として公知申請による適応追加申請を24年2月に行った。
▽プレベナー20水性懸濁注(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、ファイザー):「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
24年3月に小児適応の承認を取得しており、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に適応拡大するもの。