中国BeiGeneのCLL等治療薬・ブルキンザなど新薬3製品を承認へ 薬事審・第二部会が了承
公開日時 2024/10/31 04:49
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は10月30日、BeiGene Japanの慢性リンパ性白血病(CLL)等に対するBTK阻害薬・ブルキンザカプセル(一般名:ザヌブルチニブ)など新薬3製品の承認の可否を審議し、いずれも承認を了承した。ブルキンザは承認が了承されたCLL等の適応で1次治療から使用でき、既承認のBTK阻害薬との競合が注目される。中国BeiGene(ベイジーン)にとって、日本進出の第1号製品となる。
また、報告品目は5製品で、アストラゼネカの子宮体がんに対するイミフィンジ点滴静注とリムパーザ錠の併用などが含まれる。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ブルキンザカプセル80mg(ザヌブルチニブ、BeiGene Japan):「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)および原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。①慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)②原発性マクログロブリン血症(WM)及びリンパ形質細胞リンパ腫(LPL)--に対して、1次治療から使用できる。
用法・用量は「通常、成人には1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
国内で承認を取得しているBTK阻害薬のうち、イムブルビカ(イブルチニブ)とカルケンス(アカラブルチニブ)がCLL/SLLの適応を持つ。日本血液学会の造血器腫瘍診療ガイドライン(GL)では、現在、CLL初回治療としてイムブルビカもしくはアカラブルチニブ±オビヌツズマブ療法が推奨されている。
一方、WMは、骨髄浸潤とIgMタンパク血症を伴うLPLのサブセットとして定義され、LPLの90~95%を占める。国内で承認を取得しているBTK阻害薬のうち、イムブルビカとベレキシブル(チラブルチニブ塩酸塩)がWM及びLPLの適応を持っている。同GLでは、現在、未治療症候性WMの初回治療として、チラブルチニブやリツキシマブ+イブルチニブなどが推奨されている。
海外では、24年4月時点において、CLL/SLLに係る効能・効果で63の国又は地域で、WM及びLPLに係る効能・効果で58 の国又は地域で承認されている。同社決算資料によると、23年の売上は約13億ドルとブロックバスター化している。
▽バルバーサ錠3mg、同錠4mg、同錠5mg(エルダフィチニブ、ヤンセンファーマ):「がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)チロシンキナーゼ阻害薬。用法・用量は「通常、成人には1日1回8mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回9mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
海外では、24年7月時点において、19の国又は地域で承認されている。このうち、米国では19年に尿路上皮がんに関して迅速承認され、24年1月にフル承認されている。欧州では尿路上皮がんに関して24年8月に承認されている。
国内で承認されているFGFR阻害薬には、ペマジール(ペミガチニブ)、リトゴビ(フチバチニブ)、タスフィゴ(タスルグラチニブコハク酸塩)があるが、現在、尿路上皮がんの適応は持っていない。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「局所進行子宮頸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗PD-1抗体。局所進行子宮頸がんの用法・用量は「シスプラチンを用いた同時化学放射線療法との併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。投与期間は24カ月間までとする」。
海外では、24年7月時点において、局所進行子宮頸がんに係る効能・効果で15の国又は地域で承認されている。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽カルケンス錠100mg(アカラブルチニブマレイン酸塩水和物、アストラゼネカ):「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は残余期間(2029年1月21日まで)。
現在承認されているカルケンスはカプセル剤であり、一般名は「アカラブルチニブ」。今回報告されたのは一般名が「アカラブルチニブマレイン酸塩水和物」と塩違いのものであり、錠剤となっている。今回、カプセル剤から効能・効果等の追加があるわけではない。
▽イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500 mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「進行・再発の子宮体がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2026年7月1日まで)。
▽リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):「ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体がんにおけるデュルバルマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法後の維持療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2026年1月18日まで)。
イミフィンジは抗PD-L1抗体。進行・再発の子宮体がんの用法・用量は「カルボプラチン及びタキサン系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1回1120mgを3週間間隔で、60分間以上かけて点滴静注する。その後の維持療法において、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30 kg以下の場合、維持療法における1回投与量は、20 mg/kg(体重)とする」。
一方、リムパーザはPARP阻害薬。ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体がんにおけるデュルバルマブを含む化学療法後の維持療法の用量・用量は「デュルバルマブとの併用において、通常、成人には1回300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
厚労省の担当者は「ミスマッチ修復機能を確認し、異常(dMMR)がある患者に対しては化学療法およびデュルバルマブを使う。正常(pMMR)な患者に対しては化学療法にデュルバルマブ、オラパリブを乗せるというような使い方が想定される」と説明している。
海外では、24年7月時点で、デュルバルマブは3の国又は地域、オラパリブはEUのみにおいて、化学療法歴のない進行・再発の子宮体がんに係る効能・効果で承認されている。
▽アレックスビー筋注用(RSウイルスPreF3抗原、グラクソ・スミスクライン):「RSウイルスによる感染症の予防」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(2031年9月24日)。
現在承認されている用法・用量は「60歳以上の者に1回0.5mLを筋肉内に接種する」となっているが、今回、「60歳以上の者又は50歳以上のRSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる者に1回0.5 mLを筋肉内に接種する」と、50歳以上のハイリスク者に60歳以上と同様の用量が設定される。
海外では、24年7月時点で、60歳以上の成人を対象とした適応について、本邦を含め、米国、欧州等の47の国又は地域で承認されているが、50~59歳のRSウイルスによる感染症に罹患するリスクが高いと考えられる者(ハイリスク者)を対象とした適応は米国及びタイのみで承認されている。
▽ランダ注10mg/20mL、同注25mg/50mL、同注50mg/100mL(シスプラチン、日本化薬):「子宮頸がん」を効能・効果とする新用量医薬品。
今回部会を通過した、局所進行子宮頸がんに対するキイトルーダとCCRTとの併用療法で用いるもの。