アムジェン オテズラで「局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症」の適応追加を一変申請
公開日時 2024/05/15 04:49
アムジェンは5月10日、経口PDE4阻害薬・オテズラ錠(一般名:アプレミラスト)について、局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症(PPP)の適応追加を一変申請したと発表した。オテズラは現在、▽局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、▽乾癬性関節炎、▽局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍――の3つの適応で承認されている。
今回の申請は、日本人PPP患者を対象にオテズラの有効性および安全性を評価した、第3相、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験から得られた結果に基づき行った。
試験は、PPP Area and Severity Index(PPPASI)合計スコア≧12、PPPASI膿疱/水疱重症度スコア≧2、および外用療法で効果不十分な日本人成人PPP患者176例を対象に、アプレミラスト群(n=88)またはプラセボ群(n=88)に無作為に割り付け、有効性・安全性を検証した。主要評価項目の投与16週目におけるPPPASI総スコアが50%以上改善した患者の割合(PPPASI-50)は、アプレミラスト群67.8%、プラセボ群35.3%で、統計学的に有意な改善を示した(P<0.0001)。
試験期間中に10%以上発生した有害事象は下痢、軟便、頭痛、悪心で、既知のアプレミラストの安全性プロファイルと一致していた。
オテズラはPDE4を阻害することで細胞内cAMP濃度を上昇させ、間接的に炎症性メディエーターの産生を調節すると考えられている。
◎中等度から重度のPPPに「有効かつ忍容性が良好で、利便性が高い全身療法が求められている」
PPPは膿疱、紅斑および鱗屑を伴い、手のひら(手掌)および足の裏(足蹠)に限局して発現する慢性的かつ激しい炎症性の皮膚疾患。手掌の症状は人目に付き、また足蹠は歩行時に痛みを伴うなど、QOLにも大きな影響を及ぼす。
PPPに対する薬物治療は現時点では対処療法にとどまる。基本的な治療法は外用療法だが、手掌および足蹠の厚い角質層が妨げになるため、有効性は限定的。また、外用療法で十分な効果が得られない場合、光線療法や内服療法が用いられるが、その有効性は限定的であると報告されている。
さらに、現在、既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症を効能・効果として承認されている生物学的製剤は注射剤で、原則的に自己注射は認められていない。日本皮膚科学会によって承認された991の医療機関(24年1月22日現在)においてのみ投与が可能なため、利便性の面で課題がある。
これらの状況からアムジェンは、「中等度から重度のPPP患者さんに対して、有効かつ忍容性が良好であり、利便性が高い全身療法が求められており、大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在している」と指摘している。