皮膚科領域の医療用薬市場 29年に4000億円超え 23年比29%増 アトピー性皮膚炎治療薬がけん引
公開日時 2024/04/15 04:53
皮膚科領域の医療用医薬品市場が2029年に4000億円を超える――。このような市場予測を富士経済がまとめた。皮膚科領域市場は23年に3000億円台にのり、29年に4000億円台に、調査最終年の33年は4500億円を超えると予測。成長ドライバーは、アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤やJAK阻害薬などの新薬だとしている。富士経済の市場規模予測はメーカー出荷ベースとなる。
富士経済は、皮膚科領域市場は29年まで毎年4%前後で成長し、30~33年は毎年2%後半から3%で成長すると分析した。市場規模は23年が3134億円(前年比9.1%増)で、24年以降は、24年3305億円(5.5%増)、25年3463億円(4.8%増)、26年3599億円(3.9%増)、27年3775億円(4.9%増)、28年3904億円(3.4%増)、29年4062億円(4.0%増)――と推移し、33年には4535億円(2.9%増)になると予測した。
富士経済は、外用副腎皮質ステロイド剤が中心だったアトピー性皮膚炎治療薬市場に18年に抗体製剤のデュピクセント皮下注(一般名:デュピルマブ)が発売され、これ以降も生物学的製剤やJAK阻害薬などの新薬が登場して「新たな選択肢として需要を獲得している」と指摘。皮膚科領域市場を「けん引している」とした。また、皮膚科領域市場では乾癬治療薬にも複数の上市品や開発品があり、これも今後の市場成長に寄与するとしている。
なお、近年登場したアトピー性皮膚炎を対象疾患とする生物学的製剤にはミチーガ皮下注用(ネモリズマブ、22年8月発売)やアドトラーザ皮下注(トラロキヌマブ、23年9月発売)があり、24年1月にはイブグリース皮下注(レブリキズマブ)が承認された。イブグリースは4月17日に薬価収載される予定になっている。
アトピー性皮膚炎を対象疾患とするJAK阻害薬には、コレクチム軟膏(デルゴシチニブ、20年6月発売)、オルミエント錠(バリシチニブ、20年12月効能追加)、リンヴォック錠(ウパダシチニブ水和物、21年8月効能追加)、サイバインコ錠(アブロシチニブ、21年9月発売)がある。このほかPDE4阻害薬・モイゼルト軟膏(ジファミラスト)が22年6月に発売された。小児の用法追加も相次いでおり、アトピー性皮膚炎の新薬は活況を呈している。
富士経済の市場予測は、同社の専門調査員が参入企業や関連企業・団体などへのヒアリングのほか、関連文献調査、社内データベースを併用してまとめたもの。調査期間は23年12月~24年2月。