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後発品の自主点検10月に完了へ 実効性確保へ問われる製薬業界としての責任 後発品検討会

公開日時 2024/03/18 06:00
日本製薬団体連合会(日薬連)は3月15日の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」に184社、9341品目を対象とした承認書と製造実態の整合性を確認する自主点検にについて10月を目途に完了することなどを説明した。構成員からは宮川政昭構成員(日本医師会 常任理事)が、「誰が責任を取るのか少し曖昧になっている」と指摘するなど、責任の所在を問う声が相次いだ。厚労省医薬局監視指導・麻薬対策課の藤井大資課長補佐は、「業界に任せるというよりは、国として都道府県に自主点検を実施させるという形になる。国もかなり強い関与しようと思っている」としたうえで、構成員の指摘を踏まえ、「日薬連の責任は非常に重いと思っている。自主点検が円滑に進むことに加え、何かあった場合に責任をもって製造販売業者とともに対応を進めていただく必要がある」と説明した。

◎自主点検は184社、9341品目が対象 製造・試験担当者から直接ヒアリングも

承認書と製造実態の整合性を確認する自主点検が行われているにもかかわらず、後発品を中心に依然として承認書からの逸脱による品質問題が続いている。こうした中で今回行う自主点検は、対象範囲を拡大。後発品の製造販売承認を1品目以上有する企業184社、9341品目が対象となる。日本ジェネリック製薬協会に加盟していない先発メーカーのほか、日薬連に加盟しない企業も含まれるが、こうした企業も含めて日薬連が取りまとめを行う。

実施範囲も従来は承認書の製造方法欄のみだったが、「製造方法欄」に加え、「規格及び試験方法欄」、「別紙規格欄」も確認する。承認書についての確認については現在日薬連が検討を進める、業界標準となる点検フローチャートを用いて行う方針。今回の自主点検は書面での確認に加え、製造・試験担当者に直接ヒアリングを行うことが特徴。具体的には、「手順書からの逸脱が恒常的に行われていないか」、「口頭伝承や不文律で実施される作業がないこと」を確認する。ヒアリングの実施時期については、「各品目の実際の製造時・試験時」に実施することを推奨した。

◎ヒアリングは第三者を推奨も 公益通報制度の周知などでヒアリング環境確保も周知

日薬連安定確保委員会安定供給検討部会の平澤健部会長は、「ヒアリングに関しては、担当者が安心し、正確に話をすることが大事だと考えており、その旨も通知で徹底すること、それと併せて、公益通報制度の周知を行うことを通じ、ヒアリング環境の確保を目指していきたいと考えている」と説明した。また、「第三者または品質、製造、監査できる組織会社によるヒアリングとなるよう通知にて依頼して参りたいと考えている」と話した。

ヒアリング結果については、当局からの査察が製造所に入ることから、実施内容を確認できるよう文書化し、各製造所に保管することを推奨する考えも示した。流通量の少ない品目については製造が1年に1回以下の製造であることもあることから、一旦ヒアリングを実施し、次回製造時に必ず実施することを通知に記載する考え。

◎製造業者への委託、海外製造のケースでの責任主体問う声も

構成員からは。自主点検の責任主体を問う声が相次いだ。製造業に委託しているケースや、海外で製造する場合の責任主体を問う声もあがった。

梶山健一構成員(日薬連安定確保委員会委員長)は、「製造業者に関しては、許可権者たる都道府県から実施の指示がある。製造販売業者に監督責任があるという認識の下で製造販売業者として製造業者に対する依頼し、報告を受けるということを日薬連としてもサンドイッチでやっていきたい」と表明した。

自主点検の責任主体が「総責」にあるのか問う声もあがるなかで、日薬連の平澤部会長は、製造業者が300社に上ることに触れながら、「すべてを総責(総括製造販売責任者)が対応するのは難しい。製造業者の中でいわゆる試験・製造を担当する者と違う人たちがチェックをし、その概要を製造販売業者、最終的には総責がチェックをするという方法が一番やりやすいやり方かなと思っている」と説明した。

海外の製造所のケースについては、梶山構成員は、「製造販売元が責任をもって国内の薬機法に基づき、海外の製造所と確認し、チェックリストに基づく点検を完了する、齟齬・逸脱の事実が発覚した場合には製造販売業者の責任の下で適切な実施を促す」と話した。

このほか、構成員からは自主点検の対象品目を後発品だけでなく、長期収載品や準先発品へと広げるべきとの意見も出た

◎厚労省・藤井監麻課長補佐「国もかなり強い関与」

宮川構成員(日本医師会常任理事)は、「責任者が良く見えない。誰が責任を取るのかが少し曖昧になっているように見える。日薬連として最終的にどう考えるのか。各社の責任もあるが、国からの指示を受けて日薬連としてどうまとめていくのか。10月までにしっかり結果を出していただきたい。現場は非常に困窮している。他人行儀な言葉だけ並べて済むものではない。総責を含めて、どう責任を取るのか」と質した。

これに対し、厚労省医薬局監視指導・麻薬対策課の藤井大資課長補佐は今回の自主点検について「より実効性を伴った自主点検を求めるというスタンス。業界に任せるというより、国として都道府県に自主点検を実施させるという形になる。国もかなり強い関与しようと思っている」と話した。そのうえで、「実際の責任は、一義的には薬機法の中では製造販売業者で、もし不備があれば責任を持って行政に相談いただき、必要な薬務上の措置を講じていただくのは義務だと思う」と述べた。また、宮川構成員が製薬業界の責任を問うたことにも触れ、「我々としても、日薬連の責任は非常に重いと思っている。自主点検が円滑に進むようにしていただく必要があると思うし、何かあった場合に責任をもって製造販売業者とともに対応を進めていただく必要がある」と述べた。

◎宮川構成員「品質確保が製造にかかわる従業員一人一人のプライドを守る」

宮川構成員は、「日薬連にはしっかり取り組んでいただき、厚労省と協力し、漏れなく全ての項目を10月までにしっかり検証していただきたい。問題点を羅列するだけでなく、何が問題だったのか、どのように起こらないようにするか、皆に分かるように説明していただきたい」と強調。「作っている(製造にかかわる)従業員の方々が自分の仕事にプライドを持ってできるようにしていただくことが企業体として重要だ。まとめ役として日薬連が重要だ。作っている一人一人のプライドを守ることだ。やっていただかないと困る」と注文を付けた。

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