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ヘルスケア分野からユニコーン企業を スタートアップ振興策、骨太への反映も 厚労省PTが初会合

公開日時 2024/02/06 05:00
厚労省は2月5日、「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」の初会合を開いた。グローバルではスタートアップが台頭する中で、日本ではヘルスケア分野のユニコーン企業が生れておらず、世界の潮流に乗れていない現状がある。一方で、日本は超高齢社会であるという特殊性や、医療DX推進により、国民皆保険下で質の高いデータを利活用できるという”ポテンシャル”がある。ヘルスケア分野は規制の影響が強い産業であることも踏まえ、ヘルスケアに特化したスタートアップ振興策を立案することで、スタートアップを後押しし、日本の社会課題の解決とともに、世界から資金を調達する“グローバル・ユニコーン企業”を生み出したい考え。経産省とも連携し、骨太方針への反映を目指し、3月末にも中間とりまとめを行う方針。

◎塩崎政務官 超高齢化、医療DX推進を強みに「社会課題解決のソリューション生れる」

「一つは、日本の超高齢化社会の中で、世界のどの国よりも深刻な、そして新しい社会課題に直面する日本から、世界の高齢化の課題を解決するアイデアが生まれるチャンスがある。もう一つは、政府の推進する医療DXの下で、我が国の皆保険、介護保険制度の中で高品質な医療データ、介護データが一元化されていく。このデータを使えば、新しい社会改善課題解決のソリューションが生まれるのではないか」-。塩崎彰久厚労大臣政務官は冒頭で挨拶し、日本のヘルスケア分野への期待をこう語った。

岸田政権は2022年をスタートアップ元年に位置付け、今後5年間でスタートアップに対する投資額を10倍にし、将来的に日本から100社以上のユニコーン(時価総額1000 億円超の未上場企業)創出する目標を掲げた「スタートアップ育成5か年計画」を策定している。「これからの時代、社会課題の解決を成長エンジンに変えて日本の経済を引っ張っていく、その中心がスタートアップであるこういう問題意識だ。その理念、まさにヘルスケアの分野では特に大きな可能性があると思っている」との考えを示した。

◎「規制とビジネス距離近いヘルスケア分野だからこそ新たな政策打ち出せる」

そのうえで、今回スタートするPTについて、「規制とビジネスの距離が非常に近いヘルスケア分野だからこそ、厚生労働省が中心となり、他省の力も得ながら、今までにない新しい政策を打ち出していく、そんな機会としたい」と意欲を語った。

◎ヘルスケアユニコーン企業ゼロも「画期的な製品1つでグローバルマーケット取りにいくことが可能」

イノベーション創出の担い手がスタートアップに移る中で、米国ではヘルスケア分野でユニコーン企業が94社ある一方で、日本にはまだ存在していない状況にある。2020年にはヘルスケア業界のユニコーンは7社がエグジット(M&AやIPOで利益を得ること)を果たし、過去最高となったが、日本はこの潮流に乗れていない。スタートアップの数自体も米国の約2%にとどまる。米国では新規雇用の半数をスタートアップが担っているが、何らかの課題解決につながる画期的なプロダクトを有したとしても、それが小規模であれば局所的な影響に留まってしまうと指摘。このため、世界から資金を調達してスケールアップした“グローバル・ユニコーン”と成長する必要性を指摘した。

特にヘルスケアスタートアップの特徴として、「画期的な製品を1つ生成することでグローバルなマーケットを取りに行くことができる」として、「スケールアップにあたりグローバルな視点を有していることが重要となる」として、日本にも世界に打ち勝つ可能性があるとした。

◎ヘルスケア分野に特化した政策立案を  「ルールメイキング」が重要な側面持つ

日本の“ポテンシャル”としては、①超高齢社会を迎え、先端的なヘルスケアニーズが集積する世界でも特異な市場であること、②政府が進める医療DXによるデジタル化により、医療・介護の高品質なデータが集積されること―をあげた。「このようなポテンシャルにより、日本の社会課題の解決に止まらず、世界の中でも競争優位を得られるチャンスがある」と指摘。ヘルスケアスタートアップの育成に当たっては、資金投資やアカデミアの研究開発力に加え、規制などの「ルールメイキングが重要な側面を持つことが多い」として、「ヘルスケア領域に特化した」政策立案の必要性を強調した。

PTでは、①バイオ・再生医療、②メドテク・医療機器・SaMD領域、③医療DX・AI領域、④介護テック領域-の4領域のタスクフォースでの議論を踏まえ、日本発で世界の社会的課題を解決できるスタートアップを増やすために、政府のできる具体的政策などを取りまとめることを目指す。まずは、ヘルスケア分野に特有のスタートアップの課題を抽出し、議論を深める方針。議論と同時に、「ヘルスタアイデアボックス」を2月初旬にも運用を開始し、一般に広く意見を募る。骨太方針への反映を見据え、3月末にも中間とりまとめを行い、今夏には政策提言を取りまとめる方針。

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