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中医協総会 肥満症治療薬・ウゴービ収載で厚労省に対応求める ダイエット目的の使用で供給不安を懸念

公開日時 2023/11/16 04:52
中医協総会は11月16日、肥満症治療薬・ウゴービについて薬価収載は了承したものの、診療・支払各側からダイエット目的での不適切な使用に対する懸念が相次いだ。GLP-1受容体作動薬をめぐっては、ウゴービと同成分のオゼンピックの限定出荷が続くなど、供給不安に陥っており、この原因としてダイエット目的の使用が指摘されている。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)が「GLP-1製剤全体の需給バランスに悪影響が生じるなどして、2型糖尿病の治療に影響が生じないよう、企業に対してしっかりと指導をお願いしたい」と述べるなど、厚労省に注視することを求める声が相次いだ。同剤をめぐっては、最適使用推進ガイドラインが策定されており、11月22日付で留意事項通知が発出される予定。

◎最適使用GL 他職種での疾患管理、食事・運動療法6か月以上実施など要件厳しく

同剤は、ノボ ノルディスクファーマが3月27日に承認を取得したものの、収載が見送られてきた。同剤の市場予測(ピーク時5年後)は投与患者数10万人、販売金額328億円。

最適使用推進ガイドラインでは、「治療対象となる肥満症以外での痩身・ダイエットなどを目的に本剤を投与してはならない」と明記。副作用への対応も必要なことから、専門医がいることや、管理栄養士による栄養指導など多職種で適切な治療管理が行えることを施設要件としている。患者要件としては、最新の診療ガイドラインを参考に、適切な食事療法・運動療法について作成された治療計画に基づく治療を6か月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であることなどとした。投与期間は最大68週間とし、3~4か月間投与しても改善傾向が認められない場合は投与を中止することとしている。

◎支払側・松本委員 「厚労省は自由診療含めて使用実態注視を」

支払側の松本委員は、GLP-1受容体作動薬が限定出荷になっている状況に触れ、「その要因として、美容やダイエットを目的とした使用が背景にあることを踏まえると、かなり慎重に使用をしていただきたい」と要望。健保連の実施したレセプト分析でも、「糖尿病のGLP-1受容体作動薬を保険診療として減量目的で使用していることが強く疑われる事例が散見された。こうした事態を踏まえますと、本剤においても薬事承認やガイドラインのルールを逸脱して使用する事例が発生する懸念もある。厚労省には、自由診療も含めて、ウゴービの使用実態について注視をお願いしたい」と要望した。

◎診療側・森委員「薬価基準収載希望は、企業の責任で安定供給ができることが前提」

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「企業が薬価基準収載を希望するということは、その企業の責任で安定供給ができることが前提だと思っている」としたうえで、オゼンピックの供給不安に触れ、現状を質した。診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も供給不安に懸念を示し、「可能であれば中医協でGLP-1製剤全体の流通状況とウゴービの使用状況を3、4か月程に1回程度ご報告いただけるとありがたい」と要望した。

◎自由診療でも最適GL満たす企業に販売 安川薬剤管理官「厚労省も注視」

これに対し、厚生労働省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、「企業からは最適使用推進ガイドラインを踏まえ、どの規格の製剤も国内で予測される需要に十分対応できる供給量が確保できているという報告を受けている」と述べた。同一成分のオゼンピックについては限定出荷の状況が続いているが、「増産体制により、十分な在庫確保の目処がつき出したということで、年明けには供給制限が解除される見込みと聞いている」として、「薬価収載に当たり、既存の糖尿病薬肥満症薬の製剤、両方とも、安定供給を確保できるものと考えている」と述べた。

また、ノボ側からは、「供給不足の状況なので適正使用の推進を徹底するとともに供給状況を十分把握しながら流通させていくと聞いている」と説明。「保険診療、自由診療問わず最適使用推進ガイドを満たす施設で使うことを想定した流通を考えていると聞いている。企業としてできる限りの対策を講じることで、適切な施設への販売をしていくということだった」と話した。「ご指摘は企業にも伝えておくし、厚労省としても注視していきたい」と応じた。



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