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【中医協薬価専門部会 12月18日 議事要旨 25年度薬価改定について】

公開日時 2024/12/18 17:19
中医協薬価専門部会が12月18日に開かれ、25年度薬価改定について議論した。本誌は、診療・支払各側委員の質疑について発言内容を議事要旨として公開する。

(事務局説明 略)

安川部会長:ありがとうございました。それではただいまの説明に関しましてご意見ご質問等ございましたら、よろしくお願いします。では長島委員お願いします。

長島委員:ありがとうございます。ただ今の説明の冒頭で示された4大臣合意では、国民が恩恵を受ける「国民負担軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から、薬価制度抜本改革に取り組むとされています。薬価改定だけでなく、物価高騰等による昨今の医療を取り巻く極めて厳しい状況の中、医療の質の維持向上のためには、時期に即した評価が必要と考えます。

医療機関においては、こういった環境も踏まえた医療の質向上への対応として、医療DXの取り組み強化等とともに、働き方改革への万全な対応など、時代に即した努力が求められ、実行を続けております。

4大臣合意において盛り込まれた国民負担軽減と、医療の質の向上という薬価制度抜本改革の本来の目的を意識した対応としていく必要があると考えています。

それでは資料「薬―1」57ページの「令和7年度薬価改定における論点」についてです。前回と同様の点については、既に以前に意見を述べておりますので、今回追加となった箇所についてコメントいたします。

まず、改定の対象範囲については、医薬品の役割等に対応して、価格乖離の大きな品目を考えることは合理的と考えます。

価格乖離の大きい品目については、様々な考え方があり得ると思いますが、これまでの議論の大きな流れである長期収載品に依存しない創薬開発型企業への転換や、後発医薬品の使用促進することで、国民皆保険の持続性を維持していくといった視点に加え、昨今の安定供給確保の必要性等にも配慮しつつ、できるだけシンプルに考えるのが良いと考えます。

次に、不採算品再算定については、これまで2年連続、特例的に大規模に行ってきましたが、残念ながら未だに必要な医薬品がいつも届くという状況とはなっておりません。

円安、物価上昇、賃金上昇など原価が上がる要因が継続していますので、必要な医薬品が患者さんに届くよう、対応を検討することは必要ですが、不採算品再算定を行う場合に、その範囲は、必要性のより高い品目や、これまでの対応が十分ではなかった品目に限定することなど、メリハリのついた対応を提案いたします。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。林委員お願いいたします。

林委員:はい、ありがとうございます。資料「薬―1」57ページの論点の中でも、特に5つ目のポツの部分に関しまして歯科の立場から発言させていただきます。

これまでも何度も発言いたしましたが、小規模な歯科医療機関を中心に、日常的に使用する薬剤が品薄状態になっていることに関しまして、これまでにはなかった危惧を抱いております。安全安心な医療の提供を持続していくには、医薬品の安定供給の問題は非常に重要な課題でございます。

中間年改定に関しましては、足元の供給不安に拍車をかけることがないように薬価の下支え制度を含め、安定供給確保とのバランスをしっかりと考慮して対応すべきと考えております。

また、薬価財源につきましては、一部は安全安心な医療提供に還元されるべきという長島委員がこれまでもご発言いただいておりますが、その内容に賛同いたします。ご対応のほどよろしくお願いいたします。私から以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では森委員お願いします。

森委員:はい、ありがとうございます。資料「薬―1」の57ページ目に示されている論点についていくつかコメントをさせていただきます。

まず1つ目の論点についてですが、これまでも申し上げている通り、中間年改定を実施できる状況ではないと思います。また4大臣合意からの医療・医薬品を取り巻く状況の変化を踏まえて、中間年改定については廃止に向けて検討していくべきと考えます。

仮に、やむを得ず中間年改定を実施するのであれば、イノベーションと安定供給の確保、そして薬局・医療機関に与える影響に十分配慮する必要があります。特に、薬局は薬剤料の割合が大きいため、備蓄医薬品の資産額の目減り、売上の減少は、薬局経営に大きな損害を与えます。

資料「薬―1」の47ページ目「賃上げの動向」に、民間企業の賃上げ動向とありますが、現場が賃上げ等に対応できる、そして医療の質、国民の医薬品アクセス低下とならないよう、薬局・医療機関を支える対応は不可欠だと考えます。

また、長期収載品の選定療養の導入により、安定供給がまた悪化し始めているという情報にも接しています。長期収載品の選定療養については、その他にも、薬局における患者への説明が長時間に及ぶ事例が多数報告されるなど、薬局に大きな負担を生じさせています。現場ではこれらの影響に大変苦労しているところで、これらに関する配慮が必要です。

次に2つ目の論点の「改定対象範囲」についてですが、以前も発言いたしましたが、もっと対象範囲は限定すべきと考えます。乖離率が縮小しているにもかかわらず、同じ改定対象範囲で実施することは、対象範囲をさらに拡大していることと同義と考えます。

平成28年の4大臣合意では、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされており、価格乖離が大きいというのは平均乖離率1倍超より下は切り込み過ぎているという認識です。

次に3つ目の論点についてですが、医薬品のカテゴリーごとの乖離率を踏まえた対応はあり得るものと考えます。過去2回の中間年改定では、改定対象範囲の決定にあたり、医薬品のカテゴリーに関わらず一律の乖離率の倍数が適用されていましたが、医薬品のカテゴリーごとに対応を変えるのは、イノベーションや安定供給確保への配慮からあり得るものと考えます。

次に4つ目の論点についてです。既収載品の算定ルールに関しては、前回の薬価改定で適用された外国平均価格調整やイノベーション、安定供給確保の観点から特に適用が必要であると考えられるものを除き、実勢価改定と連動するものに限定して適用することを原則とすべきと考えます。

その上で、安定供給の点から不採算品再算定の適用は必要ですが、過去2回の改定で、大規模に対応していること、前回の業界ヒアリングの内容等を踏まえながら、適用の際には全ての不採算品目に対して再算定を適用するのではなく、乖離率に加え、医療上の必要性や効果の点からどのような範囲で行うか検討する必要があると考えます。

また、令和6年度の薬価改定では、イノベーション評価の充実が高く評価されていると理解しています。中間年改定でもイノベーション評価はさらに充実させるべきであり、例えば新薬に対する改定時加算を適用するなどの対応があり得るものと考えます。

市場拡大再算定については、イノベーションの推進やドラッグ・ラグ/ロスの解消の観点からも、中間年改定での適用はすべきではないと考えます。

次に6つ目の論点についてです。資料「薬―1」48ページ目に示されている最低薬価は医薬品の安定供給を支えるために設定されています。しばらく見直しが行われておらず、物価変動や現在の原材料価格等の高騰やインフレ下に鑑みた見直しは必要と考えます。

一例を挙げます。例えば、精製水は内用液剤の調整や消毒剤の希釈などに用いる医療上必要な医薬品となりますが、薬価が10mL1.1円から2.5円と非常に低薬価であるため、250mLに薬価が27.5円から60.25円となります。医療用医薬品としてのレギュレーションによって品質管理、製造販売しているにもかかわらず、一般的な清涼飲料水よりも安価となって
います。

現在の薬価では採算性が乏しく、長期的な安定供給に支障をきたしかねない状況だと考えます。昨今の原料、資材価格の高騰化、人件費の高騰、流通経費の増大等を踏まえ、最低薬価の引き上げを検討する必要があると考えます。

最後7つ目の論点についてです。資料「薬―1」32~36ページ目に示されている企業指標や企業評価を導入することや、企業指標に関するスケジュールに異論はありません。

評価指標、評価方法を見ると、プラスの評価項目が少ないように感じます。また、資料「薬―1」37ページ目のシミュレーション結果では、安定供給のために重要な指標となる予備能力が高く、マイナスが多くないにもかかわらず、「B区分」となっているところがあるなど、以前も発言しましたが、こうした評価は初めての試みであり、企業にどのような影響があるのか、またこの指標や評価方法が妥当なのか、評価の重みづけは合っているのかなど検証しながら慎重に進めていくべきと考えます。

最後に一点質問です。資料「薬―1」37ページ目(シミュレーション結果・イメージ)の表の「C区分」の最後に、「プラス評価がなく、全てマイナス評価の企業」がありますがこれはどういう企業なのかもしわかるようであれば、事務局からお願いしたいと思います。私からは以上です。

安川部部会長:はい、今のご質問について事務局から回答をお願いいたします。

事務局:医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。森委員から御指摘いただきました資料「薬―1」37ページのグラフ「C区分」の一番右のところに、プラス項目が一つもなく、マイナスの企業があるということをこのグラフで覧いただけるかと存じます。

ご指摘の企業は、今回初めて評価の対象といたしました「後発品の安定供給に関する情報の公表」につきまして、私どももこうした情報の公表を求めているわけですが、残念ながらまだご対応いただいてないということで、そうしたことが大きくマイナスになることが影響して、マイナスの評価となっているものでございます。

私どもが情報の公表を求めておりますのは、安定供給ができる、そういう企業を可視化して、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくする、こうしたことを目的としているものでございます。これまでも当該企業に対しましてこの「情報を公表」の対応を求めてまいりましたが、引き続き対応を求めてまいりたいというふうに考えてございます。以上です。

安川部会長:森委員いかがでしょう。はい、お願いいたします

森委員:ありがとうございます。情報の公開もしない、それから供給実績がマイナスということは考えられないと思います。産業構造改革を進め、このような企業をどうするのか。また、資料「薬―1」37ページ目のシミュレーション結果等を参考にし、評価使用方法等について検討していく必要があるというふうに考えます。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では松本委員お願いいたします。

松本委員:はい、ありがとうございます。初めに、令和7年度薬価改定に向けた基本的な考え方を申し上げたいと思います。

まず先週の業界ヒアリングでは、私どもの方から薬価調査の速報値に関する受け止めについて(製薬)各団体にお尋ねしましたけども、製薬団体からは特段のコメントがありませんでした。

卸連のみ、ご説明のあった範囲で判断するしかございませんけども、流通改善ガイドラインに則って価格交渉を行った結果、全体的には乖離率が縮小している中で、未だ競合品があるものや物量が多いものは依然として大きな薬価差が出ている。

一方で不採算品再算定品目については平均化率が2.1%と縮小しておりますので、特に手堅く売っているという実態があることを踏まえますと、粛々と実勢価改定を実施することで、薬価差を速やかに国民負担に還元しても、安定供給自体に支障はないものというふうに考えております。

またイノベーションの評価や安定供給対策とのバランスの中で、医療保険制度の持続可能性を確保する必要性についても、総論として製薬業界の皆様にもご理解をいただいたものと受け止めております。

以上のような基本認識に基づきまして資料「薬―1」57ページの論点についてコメントしたいと思います。

まず論点の2つ目と3つ目にあります実勢価改定の対象範囲についてですが、資料「薬―1」7ページにあります通り、令和6年度薬価調査結果に基づく試算を見てみますと、対象範囲を狭めるほど新薬が対象から外れて、平均乖離率2倍というあまりに極端なケースを別にしますと、後発品については大きな変動がないということがわかります。

またイノベーションの評価という観点で言えば、新薬創出等加算の対象品目は一旦改定の対象になったとしても、加算で薬価が戻ることを踏まえれば、新薬を含めて幅広く対象範囲とすべきだというふうに考えております。

論点の5つ目にあります不採算品への対応にも関連いたしますが、安定供給確保の効果が限定的な不採算品再算定の特例的な充実は、これ以上繰り返す妥当性は乏しく、以前にも指摘しましたが、実勢価改定の対象範囲を狭くするのであれば、当然、不採算品再算定や最低薬価の維持に充当する財源が限定的になるということが考えられます。

論点の4つ目の「適用する算定ルール」につきましてですが、基本的には全てのルールを粛々と適用すべきという考え方は変わっておりませんが、特に新薬創出等加算の累積額控除については、資料「薬―1」23ページが今回の対象品目ということだと思いますけども、後発品に市場を譲りつつ、長期収載品として患者負担の軽減、そして医療保険制度の持続性可能性に寄与していただくという観点からも、過去に実勢価改定で薬価が猶予された部分はしっかり還元すべきというふうに改めて主張いたします。

最後に、後発品産業の構造転換に向けた対応についてですが、資料「薬―1」37ページにございます企業指標のシミュレーション結果を見てみますと、「A区分」であったとしても少量多品種構造の適正化、あるいは薬価の乖離状況に関するマイナスが出ていることはやや懸念材料と感じております。

また全体的なグラフの形状を見た率直な印象として、上位20%で「A区分」と「B区分」の境界線を引く妥当性にやや疑問はございますけども、ヒアリングの場で高い品質の医薬品を安定供給するために企業指標が設定されたものであるという認識が業界からも示され、全ての指標を適用することで安定供給確保に逆行する懸念は特段ないというコメントがございました。

したがいまして、令和7年度からは可能な限り幅広い指標を適用した上で、企業区分の基準について、次期薬価制度改革で改めて議論すべきというふうに考えております。私からは以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。鳥潟委員お願いします。

鳥潟委員:ありがとうございます。令和7年度の薬価改定につきましては、繰り返しになりますけども、国民負担の抑制や国民皆保険の持続可能性の観点から、平時のルールに基づき、例年通り行うべきものと考えております。

そのため対象範囲についても、令和3年度、令和5年度薬価改定の前例をもとに検討していくべきだというふうに思っております。

一方でイノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえる必要性についても理解しておるつもりですが、両立を図っていくのが妥当かというふうに考えております。そうした観点で今回の改定で考慮が必要なケースであれば、その範囲を特定して対応を行うべきであるというふうに考えております。

特に不採算品再算定につきましては、その効果に疑問も生じているところではありますけども、物価高騰や賃上げが続く中、今般も対応を行うのであれば、メリハリのある対応が必要と考えております。

前回と同じルールをそのまま適用するのではなく、医療上必要性が高い品目に限定することに加え、乖離率要件等についても検討していただきたいと考えております。以上です。

安川部会長:ありがとうございます。佐保委員お願いします。

佐保委員:はい、ありがとうございます。資料「薬―1」47ページの賃上げの動向を見ますと、2024年は5.33%と、昨年より伸びております。以前にも申し上げましたが、こうした状況も勘案し、総合的な配慮は必要ではないかというふうに考えております。私から以上です。

安川部会長:ありがとうございます。では奥田委員お願いします。

奥田委員:はい、ありがとうございます。私からは前回の業界ヒアリングを踏まえた意見を申し上げたいと思います。

令和6年度薬価制度改革によって国内への新薬の早期上市の促進に向けた前向きな動きが起こり始めているということが紹介されました。

また、後発品の安定供給に向けた取り組みも紹介されたところであります。令和7年度の薬価改定のあり方を検討する上では、国民負担の軽減と合わせて、こうした製薬業界の取り組み意欲が阻害されないよう、改定対象範囲などを配慮することも重要ではないかというふうに思います。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございます。他にご意見ご質問等ありますでしょうか?これまでのご意見ご質問等コメント等でもし事務局から補足などございましたら。特によろしいですか。はい。それでは他にご意見ご質問がないようですので本議題については、本日はここまでとさせていただきます。

今後事務局において本日いただきましたご意見も踏まえて、対応よろしくお願いいたします。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
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