タフィンラーとメキニスト併用療法にBRAF陽性固形腫瘍の追加など4製品を審議へ 薬食審・第二部会で
公開日時 2023/10/10 04:48
厚生労働省は10月23日に薬食審・医薬品第二部会を開き、新薬4製品の承認の可否を審議する。抗がん剤のタフィンラーとメキニストの併用療法について、「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸がんを除く)」の効能追加などが含まれる。報告品目は、新型コロナワクチンのスパイクバックスに対する、生後6か月以上の全年齢層で、XBB.1.5系統を含むオミクロン対応ワクチンの初回免疫の用法追加など、2製品。
審議品目、報告品目とも、承認が了承されれば、11月中に正式承認されるとみられる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):「CD30陽性の再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
細胞表面マーカーCD30を標的とする抗体薬物複合体(ADC)。CD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は悪性リンパ腫の一種で、依然としてアンメットニーズの高い疾患。CTCLに対して現在用いられるほとんどの治療法は、十分な奏効率、奏効期間ではないことが多く、新たな治療選択肢が望まれている。アドセトリスは現在、CD30陽性の▽ホジキンリンパ腫、▽末梢性T細胞リンパ腫――を効能・効果としている。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
抗PD-1抗体。悪性中皮腫は、胸腔、心嚢腔、腹腔、精巣鞘膜腔において体腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍で、発生部位によって悪性胸膜中皮腫、悪性心膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫、悪性精巣鞘膜中皮腫に分類される悪性腫瘍の総称のこと。悪性中皮腫の国内の罹患者数は年間2283人と推計され、死亡者数は年間1605人(20年)と報告されている。
なお、同剤は悪性中皮腫のうち悪性胸膜中皮腫の効能・効果は既に取得している。
▽タフィンラーカプセル50mg、同75mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティス ファーマ)
▽メキニスト錠0.5mg、同2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド不可物、ノバルティス ファーマ)
:いずれも「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸がんを除く)」及び「BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。いずれも希少疾病用医薬品。
タフィンラーはBRAFキナーゼ活性を阻害し、腫瘍増殖を抑える。メキニストはBRAF遺伝子変異による腫瘍増殖に関わる酵素であるMEK(MEK1、同2)を阻害する作用を持つ。これにより腫瘍の増殖を抑える。厚労省によると、今回審議する2適応は、いずれも両剤の併用療法で用いる。
なお、両剤の併用療法では現在、BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)――が承認されているが、今回審議する固形がん適応が承認されても、既承認のNSCLCの適応はそのまま残る。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽イミフィンジ点滴静注120mg、同500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を対象疾患とする新用量医薬品。
抗PD-L1抗体。現在、本適応に対して2週間間隔で用いているが、今回4週間間隔の投与を報告する。
▽スパイクバックス筋注(コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン、モデルナ・ジャパン):「SARS-CoV-2による感染症の予防(初回免疫の用法用量の追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。
新型コロナワクチン。厚労省によると、今回は生後6カ月以上の全年齢層で、XBB.1.5系統を含むオミクロン対応ワクチンの初回免疫の用法用量を追加することを報告する。スパイクバックスのオミクロン株対応ワクチンは現在、追加免疫のみに使用できる。