【中医協薬価専門部会 9月20日 議事要旨(その2) 関係業界からの意見聴取・支払側委員との質疑】
公開日時 2023/09/21 04:51
中医協薬価専門部会は9月20日、2024年度薬価改定をめぐり関係業界からの意見聴取を行った。本誌は、支払側委員との質疑について議事要旨(その2)として公開する。
※議事要旨(その1)からの続き
笠木部会長代理:オンラインで安藤委員の手が挙がっております。安藤委員お願いします。
安藤委員:資料「薬-1」の14ページ「原価の開示が難しい企業側の事情」に輸入医薬品のサプライチェーンが複数国の複数外部委託先にまたがる形となっており、現下の開示が困難との意見が示されております。また、「薬-3」の23ページ「BIOに加盟している新興企業について」でも世界における医薬品開発の多くは、新興企業が積極的に関わる形で行われているとのデータが示されております。こうした形で日本の医薬品市場を巡る環境がますます世界全体の市場や、開発の流れと不可分に関連しつつあることを踏まえれば、海外の制度も考慮した上で、我が国独自のルールのあり方や対外発信を考えていくべきではないでしょうか。
特に資料26ページ「米国拠点新興企業の日本市場への提言」にあります。米国拠点の新興企業は、日本市場を重要と考える一方で、薬価制度が安定でないこと、そして薬事、薬価規制要件が煩雑で、多岐にわたることを障壁と感じているとしております。特に言語障壁の問題が大きいと考えられ、改善を図る必要があるというふうに考えております。
また、「薬-1」の17ページ「既収載品の個別銘柄の薬価制度の提案」にJGAから示されている資料でございますが、安定供給確保と品質確保に向けた適正な活動を行う企業というふうにあります。まず、この適正に行う活動企業ということは、適正な活動を行っていないという企業もあるのか、ということだと思うのですが。これはどのぐらいの数が適正でない活動を行っている企業の数としてあるのでしょうか?
JGAが考えている、安定供給確保を並びに品質確保に向けた適正な活動基準とは何なのか教えていただければというふうに思います。
また、医療上必要性の高い医薬品等について、個別銘柄改定の対象とするようにとのことでございますが、そもそも薬価収載されている医薬品は医療上必要性があるものであるというふうに考えますが、その基準をどのようにお考えなのかということを教えていただければというふうに思います。以上です。
笠木部会長代理:安藤委員ありがとうございました。ご質問は特にジェネリックに関するところだったかと思います。その他の点も含めて、お答えお願いいたします。
川俣JGA副会長:ありがとうございます。適正な活動を行っていない企業が、今回不祥事を起こし、供給停止しているわけです。私ども残りの企業でこれバックアップする努力をいたしております。
これに加えまして、現在我々が取り組んでいるのが、いわゆる生産余力でございます。現在供給している供給量に対して十分な余力を持つことによって、今後の自然災害ですとか、特定企業における爆発事故、火災、こういったものの供給停止に対して我々がバックアップできるような生産余力を持っているということも、今後の企業要件にとっては大事なことだと思います。そちらが対応でき、できていくところというのが、どれほどの数になるのかというのが今後の議論ということになろうかと思っております。
笠木部会長代理:安藤委員よろしいでしょうか?
安藤委員:はい、ありがとうございます。生産余力を持っていただくというのも、大事だと思うのですが、患者の立場とすれば、やはり安定供給をするために、本当にどのようにジェネリック業界の産業そのものがやっていくのかというところが非常に大事だと思っております。そこはぜひお願いしたいなというふうに思います。以上です。
笠木部会長代理:ありがとうございました。その他、質問、コメントなどあれば。松本委員お願いいたします。
松本委員:丁寧なご説明ありがとうございました。各団体の方々にはお礼を申し上げたいと思います。それでは資料に関していくつかコメントと質問をさせていただきたいと思います。
まず製薬業界に対してです。ドラッグ・ロスについて「薬-1」の3ページ~8ページで具体的な事例であるとか、改革の要望等ご紹介いただき、少し理解が深まったと感じております。ただ一方で日本に当該疾患の既存薬がないものが39品目ということですけども、例えば資料35ページ以降を拝見しますと、必ずしも保険診療の中に早期に導入する必要性の高くない抗感染症薬なんかも含まれているように感じております。
また資料36ページ以降の表の一番右の欄を見ますと、指定難病であるとか、既に未承認薬検討会の対象になっているものも多数含まれております。こうしたその他のものも含めて日本に導入すべきとの判断が一定程度ついたものについては、薬価制度で評価するという現在の枠組みがそれほど間違っていないのではないかというふうに思います。
引き続き現行の枠組みの中でどのような対応ができるのか検討すべきではないかと思いますがいかがでしょうか?
続きまして資料7ページ「ドラッグ・ラグ/ロスの要因分析 (まとめ)」でございますけども、さきほど長島委員も「課題解決の方向性」について発言したのですが、このわかりやすい薬価(薬価が想定しやすく分かりやすい制度にすること)、ベーシックな薬価の収載時の薬価算定は類似薬効比較方式と原価計算方式があるわけですけども、例えば原価計算方式について最近は(原価が)開示できないということで、だんだんこの適用が難しいなってこともあると思うのですけども、これに対してもわかりやすさがないというお考えをお持ちなのかどうか確認をしたいというふうに思います。
それと資料14ページですが、先ほどの原価開示の話ですけども、ある意味極端といえば極端かもしれませんこれが、これがノーマルか何か知れないのですけども、この全てにおいて、そこに書いてあるような品目の開示が本当に要求されているのかどうか。これちょっと事務局も含めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
続きまして新薬創出等加算の関係ですけども、この前、返還について資料31ページのところで、特許期間中の新薬の薬価を維持する仕組みと合わせてというご指摘をいただいております。また前回のヒアリングでは、資料24ページの医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の関係で、業界トップの方からは後発品が上市された場合には速やかに市場撤退するというご表明もあったというふうに認識しております。
私どもといたしましては、一律に薬価維持するということは、企業の開発姿勢、あるいは個別の医薬品の価値が反映されずイノベーションの評価に必ずしもつながらないというふうに考えております。新薬創出等加算による特許期間中の評価そのものを否定しているわけではございませんけども、新薬創出等加算の累積控除のタイミングについてもあわせて議論させていただきたいと思いますので、これについて業界からコメントがあればお願いをしたいというふうに思います。
続きましてジェネリックについてです。先ほど他の委員からもございましたけども資料15ページに、原価率の調査結果が示されました。ここに原価高騰の影響が改善されていないと明言されておりますけども、やは令和5年度改定で対応したにもかかわらずなぜ問題が解決されないのか。
例えば特定の企業が対応できてないとか、元々非常に低い価格で売っていたのでカバーできてないとかですね。もう少しそこを突っ込んで教えていただかないと、単純に薬価を上げただけで解決するとは考えにくいというふうに思っております。
続きまして再生医療等製品に移りたいと思います。これは令和8年度以降に向けたご要望というふうに承りましたけども、原価計算方式が再生医療等製品に馴染まない部分があるというご指摘だと受け止めております。
具体的には個別の製品ごとに原価の積み上げを行うことが良いのか、例えば再生医療等製品に限った何か件数とか、そういうものを設定した方が良いのか、望ましいと思う考えがあれば教えていただきたいというふうに思います。
日本バイオテク協議会、米国バイオテクノロジー イノベーション協会から創薬ベンチャーが担っている役割、日本市場の参入障壁についてご説明をいただきました。ベンチャーの製品を上市する場合、既存の製薬企業がライセンスインするパターンであるとか、あるいはベンチャー企業そのものが直接販売するパターンであるとか、他にも多数あると思うのですけども、ベンチャーの立場としてはどのような方法によって日本で製品を用意したいというお考えがあるのか、あるいは希望されているのか、ご意見があればいただきたいというふうに思います。
最後に卸連から薬価20円未満の品目で出荷調整が多いこと、安定確保医薬品で流通コストが高いこと、さらには従業員の方の業務負担や心身のストレスについてご説明をいただきました。
令和6年の改定に向けた意見としては、20円未満の医薬品と安定確保医薬品の薬価をあげてほしいと非常にストレートな要望であろうと理解をいたしましたけども、一方でなぜそのような価格水準で妥結をしているのか。原則は個別製品ごとの価格交渉だと思いますけども、他の品目を含めた全体で損益を見ているから妥結したとか、あるいは取引製品全体でコストの吸収を図ってないかとか、もう少しそういう点を教えていただきたいというふうに思います。
特に調整幅のところで流通改善の道筋というふうな言葉を使っておりますけども、私からいたしますと、先ほどから言われております製薬メーカー、卸、医療機関にある取引慣行という慣習で何らかの改善というのがないといけないと思うんですけども。卸の立場からするとこういったことをぜひ改善してほしいということをやはりある程度こういった場でご発言をいただいた方がインパクトあると思いますがいかがでしょうか?私からは以上になります。
笠木部会長代理:ありがとうございました。それでは関係業界方々からお答えください。
岡田日薬連会長:では製薬協の上野会長からお願いします。
上野製薬協会長:ご質問ならびにコメントをありがとうございます。今回の私どもが追加調査した結果で、委員の方々のご理解が多少でも進むということでございましたらそれは我々としても非常に嬉しく思います。
今回のドラッグ・ロスとなっている36品目について、その必要性はどうなのかというご質問であったかと思います。確かに品目による必要性の高い低いはあるかと思います。ただそれはやはり医療従事者の方あるいは患者様にとって、その品目はどうかっていうことだと思いまして、私どもの方から申し述べるのはこの場では適正ないと思ってこういう表記にさせていただいております。ただ、ご意見としては、そういうものの必要性の違いというものはあるっていうことは、当然あろうかと思っております。
2点目の、類似薬効比較方式と原価計算方式のご質問、コメントだと思います。確かに日本には類似薬効比較方式と原価計算方式という2つの方式がございます。ただ、これから生み出される、いわゆる革新的な新薬について、類似性がどうなのかっていうのは、基本的にはその先行する類似のものが少ない中で比較していくことになると思いますので、やはり、どういうものが類似なのかっていうその観点をもう少し幅広く柔軟にしていただければ、こういった方式がさらに有効なものになるのではないかということを考えておりまして、これについてもまたぜひご議論させていただければと思います。
3点目の製造プロセスについて、今回示した結果が非常に極端なものではないかというご質問であったかと思います。確かに基本的に、これは製品によって、あるいは企業によってどういう委託先を使い、あるいは自社でやるかっていうことなります。従ってこれが極端であるということも言えるのかもしれませんが、大きな傾向として、製造コストを抑えて、収益を出していくっていうことが前提の中で、かつモダリティが変わっていきますと、その製造技術そのものを自社で持ってないケースがこれからますます増えていくと思います。
そういうことで委託先を使うっていうのは、これから新薬メーカーとしても、そのトレンドがますます広がっていくっていうことを前提に、またご検討いただければと思います。3点についてお答えさせていただきました。
岡田日薬連会長:資料24ページ「医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の構築」のいわゆる大きくカテゴリーがあって長期収載品からの撤退ということに関連しまして、ご質問、ご意見いただきました。松本委員のおっしゃる通り、ここにも示しておりますけど長期収載品は速やかに特許満了後は後発品に道を譲って撤退することが基本であるということを改めて申し上げたいというふうに思います。
これは2010年に新薬創出等加算制度が施行導入されたときから、いわゆる制度の改定の方向はそちらに向かっていると認識をしております。一方で、いわゆる新薬創出等加算の累積額控除のタイミング等の議論については、この長期収載品の価格だけが何か削減するという議論だけが走るのではなくて、あくまでも新薬の評価とともにそれが特許満了したときには、その価格も含めてということを申し上げておりますので、ぜひこのバランスを持って議論していきたいと、それによって財政的には十分バランスが取れるというふうに考えています。次の質問は川俣JGA副会長お願いします。
川俣JGA副会長:不採算品再算定につきましては先ほどからご説明申し上げている通り、十分な再算定というふうにはなっていなかったということと、それから、原材料原価の継続的な高騰と、製造経費が十分に反映できていなかったというのが実情であるというふうに考えております。
志鷹再生医療イノベーションフォーラム代表理事会長:ご質問ありがとうございます。我々7月5日の薬価専門部会でのヒアリングのときから二本立てで提案させていただいております。1本目は令和8年度改定に向けて、再生医療等製品の特徴を踏まえた薬価算定のあり方を考えていただきたいということ。そこは現在の原価方式から離れて、臨床的なものだけではなく、経済的、産業的な様な価値を考慮したような独自の再生医療の算定方式を考えていけないかというのが2本立ての1本目で提案をさせていただいています。本日の資料では2ページ目に対応しています。
もう一つは、それまでの対応として令和6年度改定に向けて、現行の原価算定方式に関する喫緊の課題を緩和するという観点でお話をさせていただいています。その意味におきましては医薬品や医療機器の現行ケースに縛られることなく、個別の再生医療等製品の原価構造を適切に評価していただいた上で、本日述べたような課題に対応する運用上の考慮をいただいて、妥当と判断される費用については原価を積み上げていただきたいとそういう提案に2本目はなっております。以上です。
山田日本バイオテク協議会会長:先ほど日本バイテク協議会につきましてご質問いただきました。大手製薬にライセンスインするケース、あるいはベンチャーが直接販売するケース、どのように今後将来を含めてお考えかというご質問いただきました。ご認識の通りでございます。ベンチャーの累計はベンチャー自らが販売するパターンと、成長途上で大企業に売却するケースと大きく二つのパターンに分けられるのが現状でございます。また、どちらのパターンが望ましいかということも回答はございません。その企業の経営陣の考え方により方向性が決まってまいるかと思います。
当協議会等におきましても、自社で製造販売まで行っているのは3社。導出しているのは5社という現状でございます。繰り返しになりますが、どちらが望ましいというよりも、経営方針、ポリシーの違いかと存じます。またこの機会にご質問いただきましたので改めて今後ともですね、動向を見ながら考え方を整理してまいりたいと思います。ご質問ありがとうございました。
海老原米国バイオテクノロジー イノベーション協会代表代理:BIOからも一言回答させていただきたいと思います。良いご質問ありがとうございます。まず日本バイオテク協議会がおっしゃったように、これという一つの回答はないというふうに理解しております。しかしながら先ほどのプレゼンテーションで申し上げましたように、まだ国内で基盤がないような初期には大手企業にライセンスアウトするということが、より早く日本に導出することができる方法であり、また日本での開発、上市に向けてノウハウといったようなことを学ばせていただく機会として捉えているといったところもございます。
したがいまして医薬品開発の供給の初期段階として日本企業との提携を開拓するというような支援策があれば、その支援策を利用して日本に早く投資するということのオプションとしてはあるのかというふうに思っております。ただしそれが最善かどうかというのは各企業の判断だと考えております。ありがとうございます。
宮田卸連会長:松本委員からのご質問ありがとうございます。大変難しいといいますか、卸連合会としまして、個々企業の利益のあり方、コストをどうやって粗利の中で吸収しているのかっていうことを具体的に示す手立てがございません。ただし、なぜこういう価格で妥結するのかにつきましては、まさに厳しい環境の中でバイイングパワーとか、あるいはコンサルの価格代行業者だとか、いろいろ中で、各卸企業が自社の中の様々な経営判断あるいは努力によって全体の収益を確保していこうということで、コスト圧縮も含めて全体で利益を少なからず利益を出しているというのが今の状況であるということで、ぜひその点はご理解いただければと思います。
ただし、こういう状況の中で、こういった薬価の安いものが非常に限定出荷になっているってことは、今後さらに限定出荷のリスクが深まるのではないかということでありますし、今年度はまだ調査されていませんが約1100品目位の不採算品再算定の薬剤の薬価が上がっているということでございます。これは今まさに価格交渉しているところでございますので、これは経過的にこういった場で議論させていただければありがたいと、そのように思っております。
そして非常に本質的なところでございますが、流改懇も含めて来年にかけて流通改善ガイドラインの実効性を高めていこうというような取り組み、あるいは薬価差の偏在に対しての議論と、こういったものもこれから進んでいく中で、まさに今ご指摘いただいたように、こういった場の中で、もう少し具体的に意見を申し上げて皆さんとご議論していただければと、そのように考えております。どうぞよろしくお願いします。
笠木部会長代理:ありがとうございました。原価開示の件、事務局から補足をお願いいたします。
薬剤管理官:薬剤管理官でございます。原価の開示に関しまして資料14ページに書いていますように、実際製造コストの考えのもとでは原薬から製剤化、そして包装と一連の行為に関してどれぐらいかかっているかっていうところを基本的には確認すると、その中でどこまでこういうところが判明しているかというところについて個別企業とやり取りしているという状況でございます。
笠木部会長代理:ありがとうございました。松本委員よろしいでしょうか? その他の点で質問、コメント等ありますでしょうか?それでは、佐保委員お願いいたします。
佐保委員:ありがとうございます。私からはコメントを1点申し上げます。まずご説明いただいた関係業界にお礼を申し上げたいというふうに思っております。前回の意見聴取の際に、私から卸連への質問について、資料6ページ、7ページに離職状況や退職転職実態に係る緊急調査結果の内容をお示しいただいたことにお礼を申し上げます。従事者の心身負担への対応が大変重要というふうに考えております。ドラッグ・ラグ/ロスや医薬品供給の不安定によって、患者国民に影響が生じないよう、さらに様々な観点、様々な対応策を含めて検討が必要と考えます。私からは以上です。
笠木部会長代理:どうもありがとうございました。続けて眞田委員からお願いいたします。
眞田委員:本日は丁寧なご説明をいただきまして誠にありがとうございます。特にドラッグ・ロスの状況について分析を示していただきましたこと感謝申し上げます。ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題につきましては危機感を感じたところでございます。国民負担や制度の持続可能性の確保に留意をしつつ、何らかの対応を講ずる必要があるというふうに考えた次第です。
これとは別にちょっと一点重ねての質問になりますけれども、資料「薬―1」14ページのサプライチェーンの図に関しまして確認の質問をさせていただきたいと思います。このページでは、原価の開示が難しい企業の実例として原薬、製剤、包装、市場に至るまでのサプライチェーンをお示していただいているところであります。このように複数国にまたがり、グループ会社以外の委託先も含まれる複雑化したサプライチェーンというのは、製薬業界においては一般的な事例なのでしょうか。それともある特殊な事例なのか。国内、海外その差があれば教えていただきたいと思いますし、もしわかれば今後のサプライチェーンのトレンドとしてどういうところに向かっていこうとするのか、そういうものもわかればご教示いただければと思います。よろしくお願いします。
上野製薬協会長:ご質問どうもありがとうございました。従前ですと、低分子医薬品の場合は製薬企業の中に化学という一つの基本サイエンス、基本テクノロジーを持った製造ですので自社でマネージすることが多かったと思います。ただ一方で、コストをいかに下げていくかという一つの大きな流れと、もう一つはやはり、低分子からバイオ、さらに新しいモダリティなど作るものがどんどん変わってくる中で、やはり自社でそういうものを作る技術を持っていない。あるいは他社に委託する方がさらに安くできる、というようなことがあって委託先への委託は増えてきているというふうに思います。
そういう点から申しますと、今後を考えましてもこの委託先を使うっていうことは、原薬だけでなくて包装やデバイスにも広がってまいりますので、ますますその機会は増えていくものだというふうに我々認識しております。個社もその状況にあるかと思います。以上でございます。
眞田委員:総じて言うと、このサプライチェーンの図というのは一般的な事情になりつつあるというような理解でよろしいでしょうか。
上野製薬協会長:そうご理解いただければと思います。
トムセンPhRMA在日執行委員会委員長:一言、私の方から申し上げます。海外企業も同様の状況で、これは全く共通して見られる一般的な状況になっていると思います。さらに技術の多様化が進めば、こういったことは、もっと広く行われるようになると思います。
最後に一言付言いたしますと、この製造のサプライチェーンにおいてこういった傾向が進んでいるだけではなく、同様のことが臨床治験でも進んでいます。例えば製造原価の開示度で薬の価値というのを評価するとなると、先ほどバイオ業界から説明がありましたように、バイオベンチャーはメガファーマとパートナーを組んでいることが多いので、例えばロイヤリティなども含めて機密性の高い契約、秘匿性の高い契約を結ぶことが多く、そうなればますます開示が難しくなります。ということでサプライチェーンの状況に加えて、さらにそういった状況も出てきて原価の開示が難しいということです。
笠木部会長代理:ありがとうございました。その他ご質問コメント等はよろしいでしょうか? ご意見、ご質問も出尽くしたようですので、関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。今後事務局において本日いただきましたご意見も踏まえてご対応いただくようお願いをいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては追って事務局より連絡をいたします。それでは本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。