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【有識者検討会 4月4日 その2 発言要旨 マクロ的な視点からの総薬剤費の在り方 主な意見の整理・論点】

公開日時 2023/04/05 07:49
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の11回目の会合が4月4日に開催された。この日は、過去の有識者検討会において積み残しとなった論点について議論した。その後半(その2)は、マクロ的な視点からの総薬剤費の在り方 主な意見の整理・論点についてディスカッションが行われた。本誌は有識者検討会の構成員による議論の発言要旨を公開する。

遠藤座長:資料のページ数で言うと23ページから36ページになりますけれども、これについてご意見・ご質問等いただければと思います。いかがでしょう。坂巻構成員、口火を切っていただきありがとうございます。

坂巻構成員:資料24ページについて確認させていただきたい。薬剤費の諸外国との比較があるが、これは何を比較しているのかを確認したい。下の方に医療経済研究機構の報告書ということで、成川構成員がこちらの委員なっている。もしくは詳しくご存知だと思いますけども。

おそらくこれは、外来薬剤費だけでではないですか。もしそうだとすると、いま特にその高い薬価がつくようなバイオ医薬品なんかは入院というか、病院の中で使われる薬が中心ですので、ややこの比較の資料としては不適切かなという感じがする。後ほど、成川先生から補足いただければと思います。

そのうえでもう一つ、単純に薬剤費だけの比較でいいかというか、それも実はそれも難しい話ですけれども。本当に繰り返しバイオ医薬品の話ばっかりしているが、どういう薬がいま、開発の中心になっていてそれがその薬剤費等に影響しているかということも、見た方がいいのかなというのは考えている。事務局のかつて出た資料については、バイオ医薬品の金額があまり海外のデータについてちゃんと計算されたかどうかちょっとよくわからない。

割と最近、今年の1月にIQVIAが報告したレポートですと、アメリカのバイオ医薬品の市場全医薬品市場のうちのが医薬品のシェアが確か48%だ。ヨーロッパについては昨年の12月に報告されていますけれども、イギリス、スイスなどのそういったことで集計ですけども36%。日本は、どのくらいかというとこれは私が一部のデータで論文に書いていますけど20%です。つまり、日本は薬剤費の多寡についても議論すべきだけれども、常日頃言っていますように、バイオ医薬品の開発力は弱い。だから薬価制度に問題がないかというとそういうことはないが、抗体医薬品の価格水準に比べたうえで日本の薬価が低いから20%で止まっているっていうようなことも議論しなきゃいけないが、ちょっと薬剤費に対してどういうものが影響しているのかっていうことを考えて考える必要があるのではないかというのが一つ目です。

それからちょっと細かいことだが、スイッチOTCの資料が入っていてこれもかつてこの会で発言させていただいたが、もう1回同じことを申し上げる。薬剤費をどういった上限に設定するかということは様々な議論があるとしても、OTCに置き換えることができるのであればOTCの使用促進はあってもいいだろうと思います。

ただ、保険でカバーする範囲との議論とあまり組み合わせるべきではなくて、資料28ページにあるように、そもそもやっぱりその国民の選択する範囲を広げるという形から、セルフメディケーションを広げていくという議論が必要だろう。それからもう一つは、医療用医薬品として承認されて使用されて時間がたって、有効性・安全性について一定の情報が得られて評価が固まっているものに関しては、OTCとして使うこともできるようにする。そういった形で産業を振興するっていう考え方もあるのではないかと思います。とりあえず口火を切るということで、私の方からは以上です。

遠藤座長:ありがとうございます。この分野、結構突っ込みどころが多いはずなのでいろいろご意見出るかなと思ったんですけれど、口火をきいていただきましてありがとうございます。何か事務局から何かコメントいただくことありますか、坂巻構成員。よろしいですか。ご意見だけで。

坂巻構成員:薬剤費の内訳が外来だけではないかというところだけちょっと確認お願いします。

事務局:24ページの下の方に小さい字で記載しておりまして非常に見づらくて恐縮ですけれども、ご指摘いただきましたように、フランスのデータ、灰色の部分につきましては、この薬剤費のなかは外来薬剤費のみでの計上となっている。逆にその他の部分につきましては外来以外の分も含まれている。一方でOTCですとか、医療以外の部分で使われている薬剤費についてはこちらに含まれていないということで医療の中で使われている薬剤費を基本的には集計しているものというふうに理解をしております。ご指摘いただいたように、そういう意味では直接比較が難しいデータも含まれているという状況でございます。

遠藤座長:よろしいですか。一部は外来だけということですけれども。となると、包括の部分はどう算定されていますか。

事務局:はい、ご指摘ありがとうございます。包括につきましては、こちらも申し訳ございません。日本の部分については入っていないということになります、

遠藤座長:海外は入っている?

事務局:すみません。詳細につきましては、申し訳ございません。

遠藤座長:わかりました。はい、ありがとうございました。どうぞ。

坂巻構成員:これまでINESさんなどから提出されたものに比べると、日本の薬剤費は結構高いように見えるが、そこはやはりデータソースの違いということで仕方ないですね。

事務局:ご指摘の理由、背景・原因のところにつきましては申し訳ございません、いまお答えできる情報を持ち合わせておりませんので、ご指摘について確認をさせていただきたいと思います。

遠藤座長:はい。よろしいですか、いまのお答えで。坂巻構成員。

坂巻構成員:もうこれ以上は。

遠藤座長:はい、わかりました。香取構成員、どうぞ。

香取構成員:いまのセクション、標題が「マクロ的視点からの総薬剤費のあり方」と書いてある。いま議論になっている24ページの表だが、これは一体何を議論してほしくて出したのか。というのは、今の話でDPCが入っているとか入ってないとか、入院医療費が入っているとか入っていないとかという議論があるが、いずれにしても、そのいわゆる薬剤費になるものをGDPと比較するというのは何を議論したくてやっているのか知らないとよくわからない。産業として医薬品産業がどれくらいの規模があるのか、国内経済に対してというのであれば、薬剤費ではなくて医薬品産業の産業規模がGDPに対してナンボかという議論にたぶんなるのだろう。それこそ、次のページにあるように、保険で給付されている医療費のなかで、他の薬剤はどれくらいなのかといえば、そういう見方になるのでしょうし、その個別の医薬品の価格とか、あるいはその消費量とかで見るのであれば、それはそういう見方をするということになるんだろうと思う。

言ってみれば保険の薬剤費をGDPと比べるというのは、一体何の議論をしているのかという気がする。正直言うと、この表を見せられて議論しろと言われても、これで高い低いと言われても、もっと言えば、日本でGDPはこの20年間、全然伸びてない。そうすると、分母のGDPがどうなっているかということとも関係するのでGDPと薬剤費を比較するのではなく、まずGDPと医療費を比較し、それから薬剤費と比較してというふうになるんだろうと思うが、いずれにしてもちょっとよくわからない。

ただもう一つは全体としてそのマクロの医療費の議論をするということだとすると、例えば自己負担がどうかというのは、マクロの薬剤費との関係でどういう論点になるのかというのがよくわからない。

それから、市場規模の話が出てきて、OTCの話であるとか、そういうのを議論する保険の中で償還する薬はどの範囲にするかと財政審みたいなことを言えば、スイッチOTCが出ているものは基本的な市場で買えるので、それを保険で拠出しない。そもそも保険で給付しなきゃいけない薬だったらそもそもOTCにならないはずだし、自分で買える薬だったら買えばいいんじゃないかと、こういう話にもなるのだと思うんですよね。

それはそれで一つ大きな論点で、例えば新薬の値決めの問題でこういうモダリティをどう考えるかだ。これらを含めてこの資料の表題が「マクロの視点からの総薬剤費のあり方」ということなんだろうかという気がするので、ちょっと議論のしようがないと思うのですが。

遠藤座長:それでは、事務局からお考えをお聞きしますけれども。私、24ページがなぜ作られたのかはよくわからないが、おそらく議論とすれば、GDPの伸び率に薬剤費を合わせるというそういうような議論がここでも出ましたので、そういう意味でGDPに占める薬剤費は国際比較したらどうなのかという参考資料として出されているのだろうと、こんなふうに思ったわけですけど。事務局はどういうふうに考えたのかはちょっと聞きたいと思いますが。いかがでございましょう。

事務局:はい、ご指摘ありがとうございます。申し訳ございません。このグラフにつきましては、以前の検討会でのご指摘も踏まえまして、各国で医療に用いられる薬剤費が経済規模に比してどの程度なのかということを一つの目安としてお示しするということで、データとして収集して作成したものでございます。

一点はいま、遠藤座長の方からもご指摘いただきました、GDPに対する比率で議論がこれまで検討会のなかでもご議論いただいたということもありまして、それを踏まえて作成をしたものでございます。ちょっとデータとして不足といいますか、わかりづらい点がありましたことはご容赦いただければと思います。申し訳ございません。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。香取構成員よろしいですか。

香取構成員:前から言っているが、GDPの関係で保険の薬剤費の範囲を議論するというのは、真ん中に医療費ってのが挟まってるのでその議論を抜きにこの議論をするというのはいかがなものかという気がする。

医療費そのものの規模かどうか、それは国によって保険給付の範囲も違っていますし、アメリカなんてのはご案内のように総医療費とあの公的医療費は倍ぐらい違うわけですから、薬剤費で買えって別に何て言いますか、公的財政負担ってことで言えば関係ないわけなんで、産業規模として考えるんであれば、参入規模として考えるということになるんだろうと思うので、何というかその途中が抜けているので、この議論はそう思います。

遠藤座長:大変重要なご指摘をされたと思います。つまり薬剤費とGDPとの関係を言うのであるならば、医療費とGDPの関係というものを抜きにした議論はできないので薬剤費だけを取り上げる議論というのは若干片手落ちではないかというそういうご指摘だというふうに理解いたします。ありがとうございました。小黒構成員、どうぞ。

小黒構成員:ありがとうございます。今後取りまとめをしていくにあたって、38ページ目のところだが、先ほども患者会の方からも話が出ていたが、迅速な革新的な医薬品の供給をどうしていくのかというところ。この1ポツでもあげられているが、まずその上市した段階で収載時の薬価がどうするのか価値に見合った薬をどうつけていくのかっていう話も含めてですね。それからもう一つの下にありますけど、新薬創出加算制度とか市場拡大再算定のあり方みたいな話もこの検討会では出たわけだが、安定供給も当然その今の円安の中とかいろんな資源が高騰しながらどうするのかと。いずれももしその抜本的に対応しようとすればそれなりの財源が必要だということになるんだと思う。

しかしながらいま、毎年薬価改定であったり、中間年改定も含めて非常に厳しい環境下にありますので、この検討会でありましたけども、2015年以降の薬剤費は横ばいかがマイナス成長になっていると。いうような話もございました。ですので、ぜひ財源についてあり方について取り上げていただきたいというのが一つ要望だ。そのなかで、私もこの資料を見ていて、唐突感があってよくわからなかったんだけど、自己負担の話とかも出ていますよね。当然自己負担を見直せば財源も出るのだと思うが、先ほどちょっと申し上げましたこの検討会のテーマっていうのはそのドラッグ・ラグとかドラッグ・ロスとかの問題に対しても日本の製薬企業の研究開発能力を高めていくということを目指していくために、その新薬創出等加算などを含めて色々な薬価上の支援を積み増すということにあるのだと思う。

ですけども、こちらの資料31ページだが、毎年薬価改定もしてますけども、方向性としては財源を例えば長期収載品みたいなところも薬価の見直しで出すというところも結構念頭としたターゲットになっている部分もあるんだと思うんですけども、これ当然このボリュームとして1.9兆円しかありませんので、やはりこの検討会として中長期に考えた場合にやっぱりここだけを財源にすると結構難しいんじゃないかというふうに思います。

財務省との関係でよくOTC類似薬のところで対象範囲を見直したりとか、自己負担を引き上げる話も出てくるわけだが、ちょっと難しいと思うので、一つあるとすればこの資料にも出ていましたけども、これ平成9年から15年に導入されていた薬剤一部負担制度がなぜ廃止になったのか、私ちょっとわかってないのですが、私も専門家だがなぜ、廃止されたのか実は十分認識してなかったんですけども。例えば薬剤費には、こういう定額負担みたいなもの、数百円みたいなものを入れていくというのが、それなりの財源確保できると思いますからありえるんじゃないかなというのは一つ思います。それからあともう一つ、やっぱり裏側の財源をどうするかという話はあるが、経済成長率と連動した形で薬剤費を伸ばしていくってことをしないといけない。

やはり例えば先ほど申し上げましたけれども、価値に見合った薬価をつける話であるとか、市場拡大再算定の見直しというのは相当難しいのではないかと思う。これすぐにできるという話ではないと思うが、中長期的には必ず実現していくということを考えていく必要があるのかなと思っている。ただ、ちょっと気をつけなければいけないのはいま足下で薬剤費の動きを見ると、結構伸びているのだと思う。コロナの関係の治療薬とかいろんな影響が出ていると思うが、こことの関係もあるので、実際IQVIAのレポートを私も見ますと分解すれば基本的にはコロナの影響のところを除けば、横ばいか、もしくはそのマイナス成長に近い形でやっぱり推移していることは読み取れるが、でもこの情報について多くの人がきちっと認識しているというわけではないので。やっぱり巡航速度に戻るといった時点でその辺を見据えながら改革をしていくという視点も重要かなというふうに思います。そういう点も含めまして可能であれば報告書の方で財源は重要だということを念頭に置いていただきながら、これは例えば私の意見だが、こういう文章を残すことはできないかというあの提案だ。財政との調和をきちっと図りながら少なくとも、香取先生ちょっといろいろおっしゃられているが、何でそのGDPなのかという話はあるが、「少なくとも中長期的な経済成長率に沿うように、薬剤費最低限伸ばしていく、というような仕組みの検討を行うべき」というような文章というのを残せないかというふうにご提案させていただく。

遠藤座長:お考えが述べられました。これまでの議論でいうと、先ほど、香取構成員のお話もありましたように、GDPと薬剤費を関連するのであるならば、GDPと医療費の問題も同列に扱わなければ適切ではないのではないかとこういうようなご意見もあったかというふうに思います。いまのことについて何かご意見ございますか。それから報告書、文書でございますけれども、これはもうそれも含めてですね、ちょっとお考えいただければと思います。はい、香取構成員どうぞ。

香取構成員:資料38ページの「論点整理」のところですけれども、この意見の整理ってその報告書の骨子なるということだろうと思うのだが。

遠藤座長:38ページまで入っていますね。どうしましょうか。一緒に議論しちゃいましょう。すいません。どうぞ。

香取構成員:ちょっと申し訳ないが、ちゃんと整理した方がいいと思う。まずいくつかのディメンジョンがあって、まず新薬周りの話っていうのが1個あって、そこは新薬の導入の話と開発の話と新薬の値決めの話となる。もう一つは後発品というか、安定供給という切り口があるが、きょうも議論があったが、後発品の話で、ここにはどこにも後発品と言葉が1個も出てこない。後発品というのは一つ大きなけど、三村先生も先ほどおっしゃっていたが、後発品というのは、産業構造の話あり、安定供給との関係では薬価の話でもあり、品質の問題もあり、流通の問題もあり。流通は新薬も後発品も流通ですけれども、基本的には薬価算定ではなくて改定に絡む話なので、かなりの部分は後発品にかかわる話なので、大きな柱と小柱というのを整理して、1から6までとバイオシミラーとかオーソライズド・ジェネリックでいくというのは、確かにこれはこれでテーマだが、こういう並びで立つ話ではなくて全体の仕上がりの報告書の建付けを考えれば、もうちょっと柱立てを整理して大きい柱、小さい柱を整理する必要がある。

ある意味流通というのは、こういった大きなテーマを踏まえて、横串で議論する問題として流通の問題が出てくる。流通のなかに薬価差の是正と書いてあるが、なかの議論であったように、実は薬価差の是正を流通の問題と考えるという設定の仕方がちょっと違うんじゃないかと思う。たぶん、ここでの議論はそうだったと思うが、調整幅の問題もそれ自体の議論ではなく、しかも流通のなかでということよりは、安定供給にもかかわる話で、ここの論点はそういう整理の仕方をした方がいいのではないかというのが一つだ。

もう一つは、ここでも議論したが、ある程度このなかで方向性や、考え方を整理して出せるものとそれこそ流改懇にこの議論をしてほしい、あるいはこの議論は中医協で球を投げるというのがあると思う。そうすると、ある程度ここで方向性が出せるものを問題提起し、それぞれの専門部会で議論してもらう形で投げるテーマ、それと本来こういう場で議論するべきだけれども、十分に議論が詰まっていないので、言ってみれば積み残しとして、ここの会議、5月以降やりになるのかどうか存じ上げないが、ある程度こういう場で引き続き議論すべき問題で、つまり問題は整理できたけど議論としては詰まってない問題。従ってそういう整理をして、自分のところである程度方向性を出すもの、あるいはこういうことで議論してもらいたいということでそれぞれのところへ投げるもの、あと自分たちで宿題として残すもの、という整理を一方でしながら、建付けを整理するということが要るのではないか。

これだけ幅広い、いままで知られてなかったような議論も含めて議論したわけなので、そこはきちんと残したうえで、整理すべきものは整理し、方向性を出すものは出し、他のところにある程度ピン留をして投げる物は投げる。自分の宿題は自分の宿題で、という、ちょっと役人的で申し訳ないが、そういう整理をした方がいいだろう。

もう一つは、いまの小黒先生のお話だが、例えばこの先日本のGDPがどうなるかということはわからないが、この20年間ほぼゼロ成長であったことを考えれば、GDPの伸びの範囲内でという議論は、要するにGDPがどうなるかということで、その薬価も医薬品産業の規模をその規模にするっていうことを意味することになるので、全体として医療費がGDPを少しずつ上回って伸びてきたトレンドがあり、諸外国の医薬品産業の規模を考えれば、それをさらに上回って伸びている。そういう成長産業と言っていいのかどうかわからないが、そういう産業だということを考えると、GDPの範囲内という言い方は、少なくともそこまでは成長を認めよう、というそういうご趣旨でおっしゃっているんだと思うが、果たしてそういう意味になるかどうかというのがある。

その意味で言うと、最低限ここまではというのは言い方だと思うが、そこはここで言っている議論にその話を結びつけて考えるかというのをちょっとロジカルにつながる形で、しっかり試行して医薬品産業の規模はかくあるべし、という理屈を考えないといけないと思うので、お考えはわかりましたが、物の言い方は少し考えた方がいい。

遠藤座長:ありがとうございます。小黒構成員、何かありますか。

小黒構成員:補足だが、財政学者とかも何人かの医療費の長期推計みたいのを独自にやってる先生方とか、いらっしゃる。厚生労働省自身も例えば医師の需給推計みたいなものもある。例えば2035年とか2038年ぐらいになってくると、医師の超過供給になってくる。実際何でこんな話をしているかというと、政治的に例えば、先ほど香取先生がおっしゃられた話だが、少なくとも最低限、GDP並みに薬剤費を伸ばす。この重要性といま足下では薬剤費はすでにゼロ成長だ。特許品ですらマイナス成長になってきてしまっている。診療報酬本体はどうかというと、まだ違うわけだ。ただ、地域別に見れば当然高齢者も減り始めているエリアがあるので、(エリアによって)違うが。ただ、マクロで見ると、まだ伸びているというのはデータ上出ている。ただ、例えば2040年とか2050年になってくるとどうなのか、という話もある。

そういう意味では、35ページが結構重要だ。財務省がどういう意味で出しているか、というのもあるが、基本的には財政統制が念頭にあるということだ。財務省がほしがっているのは財政的予見性であって、財務省も少なくともその足下で薬剤費がどうなっているかということについてある程度わかっている。にもかかわらず、この下線で引いたような形である一定程度の伸びであれば許容すると、はっきり財政支援に変えているということもある。

何が言いたいかというと、先ほどの香取先生お答えする一つのメッセージとしては、まだその診療報酬本体と薬剤費の環境が違っていて、薬剤費については、少なくともまだ財政当局とも含めて握れる余地がある。交渉できる余地が出てきているというところなのではないか。

私は診療報酬本体についてこの議論をするのは、まだ現状難しいと思っている。もっと時間がたった時に、医療費総額も高齢化によって増える分と人口減少で、マクロで押したがる部分と二つあるわけだが、その如実に医療費全体が本当に下がってきたら、その時最低限GDP並みという話も出てくるのだと思うが、現状ではやっぱり難しいのではないか、というふうに思う。

遠藤座長:少し確認をさせていただくが、そうすると具体的には薬の改定率をGDPの伸び率以上にすると。そういう理解でよろしいわけですか。実質的に薬剤費を完全にコントロールするのは事後的な調整をしないといけない話になるので、できないわけですよね。だから、いまは事前に少し低めにやっているというところだが、それはどういう意味合いなのか。

小黒構成員:意味合いとしてあまり細かい話をするとあれだが、別途検討会、先ほど香取先生おっしゃったような検討会を立ち上げていただいてやった方がいいと思う。この資料の34ページの右上みたいな形で、現状では数量成長よりも薬価改定の方が高くなってしまっているので、これをある程度合意された成長率をベースにしながら薬価改定を調整するというのが、ここのシンクタンクのあの提案だと思う。そういうイメージなのかなと思います。

遠藤座長:わかりました。ご意見として承りました。今の話に関連してもいいですし、そうでなくても結構です。もう全部という話になってしまいましたから、この論点全部についていかがでしょうか。それから私、香取構成員に非常に賛同いたします。私は全くそう思っておりました。事務局としては構成を明らかにしておりませんので、一応論点だけを羅列したという状況なのですが、そうは言っても、この議論のなかでかなり強弱ありましたし、それから同じウエートに出してはいけないようなものもありますので、その辺の構成もしっかりしていただきたいと思う。と言っても、あと2回程度しかないので、事務局からその辺をご回答いただきたい。

安藤課長:38ページについては論点整理として出したのではなく、これまである意味残したところについて本日は色々ご意見いただきたいと思った。この場で行った検討の順番で書いただけのものだ。その意味で、当然のことながら、報告書については先ほど香取構成員からもありましたが、まさに我々も同じようなことを考えてはいる。

課題ベース、あるいはその時間軸というのも考えないといけませんし、先ほど堀構成員との質問とも関係するが、そもそもこの検討会でのある程度、粒度も違うので、そういう意味である程度の具体的な方向性まで書けるものと、それから別の議論の場に、課題を明確にしたうえで投げるというものもあるでしょうし、あるいは別の場を設けて検討しなければいけないという課題もあると認識している。その点は一度、整理させていただいて、次回、報告書の素案という形でまた改めてご議論いただきたいと考えている。

遠藤座長:ありがとうございます。はい、川原構成員どうぞ。

川原構成員:はい、ありがとうございます。38ページの論点について一点だけ述べさせていただきたいと思います。原薬の調達について論点として扱わなくて良いのかどうか、確認でございます。本日、日本薬局方の課題についてご説明がありました。それと、第9回2月15日のときにも原薬調達への影響といった形で後発品メーカーの方からご説明もありましたし、厚生労働省の論点としてもありました。経済安全保障上の観点で見ても、原薬の調達が特定の国からに偏っている部分もあるということもあった。製造工程は整っていても、原薬がないと実際問題、薬の製造はできないといったところからすると、いかに原薬調達の障害を減らして原薬確保に資する政策を取っていくのかといった辺りについて、すごく大きな問題だ。解決して、すぐに示せる問題ではないと思うが、宿題として、もしくは課題として掲げておいた方がいいのではないかと思うが、いかがだろうか。よろしくご検討いただければと思う。

遠藤座長:はい、何かコメントございますか。

安藤課長:ご意見として承ったが、大変重要な課題であると考えている。我々の資料の出し方が若干不足のところがあったかもしれない。原薬の部分についてはは精査させていただき、次回、素案を出すのとあわせて必要があれば補足的な資料についてもお出しさせていただきたいと思う。ありがとうございます。

遠藤座長:他にございますか。はいそれでは、芦田構成員、お願いいたします。

芦田構成員:はい、ありがとうございます。私も38ページの意見の整理のところだが、2番目に革新的な医薬品の迅速な導入がある。これをやはりものすごく大きく分けると、まず短期的には海外の、特にアメリカを中心としたエマージング・バイオファーマからの新薬の導入ということが課題だろうと思う。ある意味、短期的な面で、そこが大きな課題であって先ほど患者からの意見にもあったドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスを生んでいるということかと思う。

もう一つ、ここに書かれている部の創薬ベンチャー支援であるとか、エコシステム構築等々はむしろどちらかというと、国内での創薬力強化や、開発の強化ということなんだろうと思う。そこを分けて、議論する必要があると思うし、まずここであげられた項目だと、海外からの早期導入、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消が一見、抜け落ちているように思いましたので指摘させていただきました。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。ご意見として承りました。はい、他にいかがでしょうか。坂巻構成員、どうぞ。

坂巻構成員:そもそもだが、医療費の捉え方だが、専門の方の前であれだが、ILO基準だと給付額だ。OECD基準は支出額で、いままでデータ出てきてるのは24ページの資料でよくわからないところがある。いずれにしても保険でカバーされる保険制度の中で支出されている、給付されている金額の話と、それから産業育成の話、薬というか医療、医療剤の市場規模をわけて考えないといけない話だと思う。

例えば、再生医療は、例えば経産省的な発言になるが、自由診療で行ってる部分が結構あるわけだ。そういったところを伸ばすというのは、支出額に出てこない話だから、そこは議論するときにきちんと整理しないと大変失礼ですけど、先ほど座長がGDPの伸びに合わせて薬価改定の改定率を上げるのかというような、いやちょっと私からすると乱暴に聞こえるような議論が出てきてしまうと思う。そこはやっぱり、何の話をしてるのかというところを整理したうえで、それに合わせたデータを提出していただく必要あるかなと思う。

遠藤座長:私はそれを必要と言っているのではなく、そういうイメージですか、ということをお聞きした。また、輸出をする場合もあるわけで、公的医療費の保険外のものも当然あるわけなので、産業政策の議論と、公的医療保険のなかでどれだけ医療費に薬剤費に配分されているかというのは、基本的な目的が違う話になる。そこを明確にする必要があるということですよね。はい、それではお待たせしました。では、三村構成員、お願いいたします。

三村構成員:私も同じ意見でございます。GDPをベースとして基本的にスライドさせるという考え方は、巡航速度になったときにはおそらくあり得るかなと思う。ただ、いまの医薬品業界が抱えている問題は、ある意味で危機的な状況であって、このまま行くすと本当にジリ貧なんじゃないかという感じはしている。そういう状況からすると、今やはりどうやってこの産業基盤を強化するか、新薬開発とサプライチェーン強靱化の2つは非常に大きな課題がある。

そうしますと、薬価制度をまず修正することによって解決できる部分と、それをさらにもう一度きちんとした国の政策としてきちんと対応するべきことが相当あるのではないかと思う。それを常にやり続けるということなのかもしれないが、まずその課題が大きいということを今回の報告書のなかで柱としてやはり提示していただくことが非常に重要ではないかと思う。

何よりも産業政策的視点が今まで、非常になかったということが今回の一番大きな問題だ。当然、財政上の問題と産業政策として、ある意味バランスを取りながら議論していくということがこれから重要だと思うので、まずは巡航速度に戻すために何をすべきか。そして、その後、小黒先生がおっしゃったような形で、全体をどのようにコントロールしていくかという議論と組み合わせいく必要があるという形で整理していただければいいのではないかと思う。私は坂巻先生と同じような意見でございます。

遠藤座長:はい、私もそのように思います。以前申し上げましたが、やはり薬価というのは、非常に製薬産業にとって見ると重要だが、これはあくまでも川下戦略の話だ。いかにして
産業育成していくかという川上戦略は薬価政策と関連はあっても、もっと別な政策も多々ある話だ。当然そういうことも議論するために、その専門家の先生も今回はいらっしゃるということでもありますので、両睨みの議論も当然必要になってくるということだと思う。ありがとうございます。それでは先ほど堀構成員が手を挙げておられましたから、お願いします。

堀構成員:意見の整理のところにも関係しますし、その前の資料のところもちょっと関係するが、先ほど香取構成員もおっしゃっていたが、資料の見せ方と、この順番で私もちょっと戸惑うところがあった。後に、この検討会で今までやってきたことというのは、革新的な医薬品の迅速導入をするうえで、どういう課題があるか。あるいは、後発品を中心とし医薬品の安定供給、しかも長期収載品の中にも色々な種類があるということが、この検討会でも明らかになった。それを一律ではなく、どう見るかということを話し合ったと思う。

解決するためには、今三村先生がおっしゃったように、産業政策的な視点と、実際的には薬価改定もそうだが、社会保障の自然増の部分のかなりのところが薬価から財源になっているというのは間違いのない事実だ。

薬価制度だけで解決できるかというと、やはり財政的な制約条件もゼロではないと思う。ただ、今回この資料の見せ方が若干何か唐突というか、いきなりGDPの薬剤費の資料があって、薬剤自己負担と出てきた。薬剤自己負担で、この負担が全部賄えるわけでは、たぶんないだろうし、その後他のシンクタンクの意見や財政審の委員の意見などがあるので、この関係性がどういうものなのかがわからないのと、唐突だと思うのではないか。

ただ、おそらく重要なことは、この革新的医薬品を迅速導入するためにも後発品安定供給をするためにも、産業政策をまず見直すところは見直す。必要な制度を見直すところは見直す。ただ、将来的な人口構成とかを見ると、医療費そのものもそうだが、日本の医療保障としてもどう持続可能にしていくかということも同時に重要だと思う。

この論点のところにも、これらを実現するには産業政策的な視点と、社会保障の体制、持続可能性の視点という両方を期待するというのがいいのではないかなというふうには個人的には思っている。財源と考えると、自己負担ももちろんあると思うが、自己負担だけではなく、様々な検討をする余地があると思う。ここに書いてあることもそれぞれ一つひとつ見ると意味もあるものもあると思うが、整合性が取れていないものもあるので、たぶん整理ができていないところもあると思うので、そういうふうにしていくといいのではないかと思っている。

遠藤座長:ありがとうございます。先ほど来、自己負担の話も若干出てきていますが、あまり自己負担についてのご議論はなかったかと思いますが、何かご意見ございますか。自己負担の問題は医療保険部会でずっと議論してきた話で、私が昔やっている頃もその議論があった。特に、スイッチOTCは自己負担率を高めるべきであるということで、物によっては保険から外せ、という議論もあった。それに対して、そうなるとむしろ自己負担が少ない、高い新薬の処方が行われるという、新薬シフトになって、薬剤費はむしろ高くなってしまうのではないかというような意見もあって、結論が常に出ない。

それを回避するためには、何か診療報酬上で他のこととの合わせ技で、そう簡単にシフトできないような仕組みを作らなければいけないのかもしれない。それをやると、診療の自由度に対する問題も出てくるというところもあってなかなか難しい課題だ。いかがでしょう。
スイッチOTCだけでなく、フランスのように薬効別に自己負担率を変えるべきだという議論はしょっちゅう出てきていた。それについても結論が出ていないという医療保険部会マターではあるが、こういうことが議論されてきたのですが、何かお考えございますか。

小黒構成員:さらにコメントだが、先ほど言ったように平成9年に導入された薬剤費の定額負担にあたりましてこれがなぜ廃止されたのか、ちょっとわかってないのを教えていただきたいのですが。結局これは、私財政学者としての視点として見た場合、OTCのところを例えば外すとかっていうのはある。また、自己負担を上げるとかいうのもある。あと、長期収載品のところで捻出するみたいな話とかもある。

31ページのところで既に出ているが、確かに1回やればワンショットでマックスで3000億円ぐらい出る。しかし、やはり限界がある。繰り返しになるが、薬剤費そのものをどうコントロールしていくのか、というところをしないとパッチワーク的な対応で財源が捻出されることによって、結局行き詰まってしまうということならざるを得ないのかなと思う。その議論からもし、総合対策という意味では、やはり逃げないできちっと議論していただきたい。もう数回しかないで難しいが、全体として財源をどう確保していくのか。それから同時に薬剤費をどうコントロールしていくのかというところの議論は続けていただきたい。

遠藤座長:はい、ご意見として承りました。他にございますか。

香取構成員:要は、いまの現状をどう認識するかというところを申し上げる。財源の話は直接かかわっていないので難しいが、私の理解では現状、医療費はGDPを上回って伸びている。財務省の考え方は、医療費は基本的にはGDPの範囲内、あるいは予算統制の範囲内に収めるということになっていて、それこそ調整弁として薬価改定も行われている。なので、市場実勢価格とか実態に合わせてと言っているが、現実には基本的には改定すれば薬が下がるような制度、仕組みを作って、市場で競争させて財源を出して薬価を下げると今回も0.625っていう、誰がどこで決めたのか知らないが、数字を出して一定の財源を出している。
つまり、今薬価制度であるとか、製薬産業とか薬が置かれている状況というのは、そういう状況にあるというのが基本的な認識だと私は思っている。

その意味で言えば、将来的に人口ことになったらきちんとGDPに見合った薬剤を確保しろと言うのはそりゃそうだと思うが、今の足下は言ってみれば医療費がGDPを伸びる部分をやっぱり落としているわけですから。そもそもGDPの範囲内にならないように、言ってみればやっているという現実があることを考えれば、議論の出発点はそこだ。そのことを報告書に書くかどうか、というのはちょっと議論がありますが、言ってみれば、我々医薬品産業
が向かっている状況というのは、そういう中で、薬価制度をこういう形で仕組まれているし、いろいろな細かい薬価に関するルール、先ほどの3段階もそうだし、後発品の値決めの問題もそうだし、全てそういう形で、それこそ(市場拡大再算定の)共連れの問題もそうだが、全てそういう形で色々な制度が仕組まれているというのがたぶん基本認識だと思う。個別の問題と書いていくのだと思うが、大きく置かれている問題状況ということで考えれば、そこがまずある。

その意味で言えば、薬価を財源出しの調整に使うというのは、基本的にやめていただきたいというのを本当は言わないといけない。そこはどう言うかということがあるが、もしその後話をするのであれば、やっぱそこをまず書くということになるので、そこは将来どうご調整をされるかわからないが、たぶんそういうことだろう。もちろん中長期的に医療費も薬剤費もコントロールしなきゃいけないというのはその通りなので、そういう視点はある。

ただ、足下、この業界が置かれている状況というのは、どういうことなのかと。どういうことがその毎年改定の中で起こっているかというのはなかなか言えないのかもしれないが、もし言うのであれば、そこを言って、やるべきことはこういうことを、と言ってみればその役所的に言えば、医薬局なり医政局でやるべきことももちろんある。それはそれでちゃんとやってという、たぶんそういう議論の仕方になるような気がする。以上です。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。しっかり議事録には残っておりますし、YouTubeで放映されております。他にいかがでございましょう。よろしいですか。はいそれでは、成川構成員、お願いいたします。

成川構成員:ありがとうございます。一点だけ、最後の論点のところの一番上の革新的な医薬品の迅速な導入という点だが、先ほど芦田先生もおっしゃったように、短期的な対応と長期的な対応という両方を見据えるということはとても重要だと私も思う。

特に短期的なところについてのコメントだが、ちょっと非科学的なコメントも含めてだが、2015年以降、薬剤費が伸びてないというのは、事実だと思う。もし、日本の将来、特に医薬品の市場も含めて暗いイメージがだいぶまん延してしまっていて、流通に基づくものが多いのでそれはやむを得ないが、そういう意味だと、ぜひ何かこういう検討会で少し明るいイメージというか、明るい材料を打ち出すようなことをしたいなと思っている。

それで具体的にどうするか、また今後、例えば中医協などでも議論していくと思うが、すごく単純な提案を申し上げれば、例えば欧米からそんなに遅れることなく日本で上市したものについては加算するとか、すごく単純な話だが、あるいはその日本で先に上市して外国価格調整を受けられなかったものについて後から外国で上市されて、高い薬価がつけば、引上げの調整をするとか、特に国内外の産業の方が聞いて少しシンプルに前向きなメッセージを出せるようなものというのを何か打ち出していくと、少しなんか雰囲気も変わってくるのかなと思った。あまりサイエンス的なことでなくて申し訳ないが、コメントさせていただきました。

遠藤座長:私も実は全く同意見だ。薬価算定において、我が国で一番最初に上市した場合に高い薬価をつける。今でもその制度はあるが、それが必ずしも十二分に効果を持っているようには思えない。非常に高い価格を付けると、ただしそれをずっと維持しなくてもいいわけですね。例えば5年間は有効だけれども、それからはもう順次下げていくとか、少なくとも最初に上市したところは高い価格、あるいは2番手ぐらいまでは高いのがあるという薬価の中で、今でもあるが、より強化していくことによって、ドラッグ・ラグ等々については、縮小する一つのインセンティブになると思う。これは大きな制度改革をしなくても、今の薬価基準制度の中での議論でできそうな気がするが。そういうこともあり得るのかなと、今お話されましたので、私も似たようなことを考えているということを申し上げました。他に何かございますか。はいそれでは三浦構成員、どうぞ。

三浦構成員:私は香取構成員のおっしゃる通りだという感じがしまして、やはり薬価改定が財源として調整弁になって、その結果、薬価は毎年下がる。したがって、製薬協の皆さんがおっしゃっているみたいに、やっぱ値段が下がってくるので、従って外国企業が日本ではやらないというふうになっていまして。そういう意味では本当にいろんな要因を考えますと、本当に薬価を下げることによって財源の調整弁にされていると香取先生おっしゃったところがやっぱり一番の根本で、そこから何か悪い状況が続いているように感じましたので、何かそういったところでやっているだけありがたいなと思います。

すいません一点だけ。これは個人的な意見にすぎないのですけれども、薬剤費は「薬価×薬量」だけですよね。やはり薬価だけで薬量の議論はなかなか難しいのかもしれませんけれども、成川先生と厚労科研で2年前にやらしていただいた2000人弱の20代から80代の消費者調査を実施した際に、医薬品の薬剤費が伸びているので、どうやって減らすかみたいな話になると、77%ぐらいの人がジェネリックを使った方がいいという話になる。2番が46%だったんですけれども、医師の処方する薬剤の量を減らしていただくみたいな。もちろん簡単にはいかない話だと思うし、医者にそんなこと言ったら「何をいっているお前」って言われたと思うんですが、多分何か意見があると思うんのですよね。そういった意味では簡単にはいかない話だ。医師が処方を決めているわけですけど、何かその辺に関して意見とか伺う機会があっても良いなみたいな感じです。これは1消費者の意見にすぎません。以上です。

遠藤座長:ありがとうございます。他に、堀構成員どうぞ。

堀構成員:先ほど遠藤座長から薬剤の一部負担制度についてどう思うかって話があったのでちょっと意見を述べたい。今回の見せ方の中でいうと、ものすごく違和感があるのですが、今までの有識者検討会で出てきた議論の中で、後発品の中にもいろんな種類があるし、新薬の中にもいろいろあるっていうのがあったと思うのですね。異なる薬の種類など、様々な性質が違うものを一律に本当に同じ(窓口負担)3割であるとか、そういった負担のあり方でいいのか、あるいは保険給付の範囲をどうするのか、っていうことも確か前半の方に出ていたと思いますので、今回の流れのマクロの中の話で私自身はちょっとどうなのかとは思うのですが、その価値であるとか必要性であるとか、そういうものによって、あの患者の負担のあり方を見直すというのも一つの考えることも、財源とは全く切り離して議論することはあるのではないかと思っています。以上です。

遠藤座長:医療保険部会でもそういう議論はずいぶんされたわけですが、スイッチOTCについては先ほどのようなことが懸念されたということでありますし、フランス型のようにその薬効によって負担率を変えるという議論も、多分諮問会議からの依頼もあったと思いましけど、それも議論しました。

やはり難しいのは、何割と決めるカテゴライズですよね。そこの社会的合意が得られるかどうか。フランスのように抗がん剤を使ったら100%保険給付、ビタミン剤だったら100%自己負担とこういうふうに分かれるわけですが、そこをやろうとすればどういうふうに決めていくのかみたいな議論もあったかと思います。その他もろもろ3割負担に対してどう考えるかという付帯決議の制約問題などあってなかなか議論がそれ以上進まなかったと。でも大変重要な御指摘ですね。どうぞ、お願いします。

小黒構成員:香取構成員の発言に触発されてちょっと繰り返しなって申し訳ないです。35ページの資料がすごく重要だと思っている。真にイノベーティブな医薬品等については薬価を一定期間維持するとしつつ、事前の財政規律として云々と書いていますけど、薬剤費の給付の伸び率が経済成長と乖離しないといった薬剤費総額にルールを設けて、その下に書いてあることが、やっぱりその薬価改定その調整に当たって現行水準の調整額の水準を調整しようと考えられるとかですね。あとは安定的に保障された医薬品市場伸びる中でと書いてあるので、やっぱこれに対する何かちょっと表現はあれだと思うのですけど、報告書の中に何らかのその回答みたいなものを盛り込んだ方が個人的にはいいのではないか。政府の中での対話になると思う。その辺をちょっとご検討いただければと思います。ここまでボールを投げて頂いているのにボールを返さないという手はないのかなと思う。

遠藤座長:ご意見として承りました。ちなみに資料35ページは基本的には薬剤費の適正化の文脈の中での政策という理解ですか。

小黒構成員:私は財務省の人間ではないので何とも申し上げにくい。ただ財務省の立場では、例えばここで挙げられているような全然違うテーマとして、元々、上市した段階での薬価の付け方であるとか、市場拡大再算定とか、ジェネリックとか、そういった薬の安定供給の問題についても認識はしているのだと思う。ですけども、あくまでそれは厚生労働省の所管の問題であるので、財務省がそこまでは申し上げることはできないと。でも最大限ギリギリの範囲で例えばこういう適正化っていう話を使ってボールを投げているというふうに私は理解しています。

遠藤座長:わかりました。ありがとうございます。ご意見として承りました。他にございますか。ちょっと今までのご議論をいただいて、ちょっと私が考えていることを話す。全くこれらの議論とは違うもので、情報インフラの問題で一つご発言させていただきたいと思います

早い話が薬剤費の把握です。薬剤費の把握について、実はこれまで提出された資料のほとんどが外資系の情報コンサルタント会社が、個々の製薬メーカーや医薬品卸から収集したデータを使って医療費を出している。マクロの医療費も含めてです。何故かというと、日本では診療報酬でほとんどの医療の医療費の配分がわかるんですけれども、先ほどらい申し上げているように包括化が進んできたものですから、包括されている部分が、どれだけ薬剤費に回っているのかってのがわからない。この資料などを見ても、ある時期まで包括化が進む過程においては右肩下がりに医療費に占める薬剤費の割合が低下してきているわけです。今はもう安定していますが。

そういうことなので実質的に医療保険の中でどのぐらい薬剤にお金が回っているか分からなくなってきているということで、海外のコンサルタントが提供しているデータを使ってやっているわけです。医療費が伸びた、薬剤費が伸びていない、とかいうのもそのデータに基づいてやっているわけなんです。

その信頼性そのものを問題にするわけではありませんけれども、ただ、そもそもですね、国民医療費の4分の1近くを占めるものの議論をするときに、その外国の民間企業が提供しているデータ、しかもこの企業は最大のクライアントは製薬業界です。ということを考えると公平性とか利益相反の問題で何か問題がないだろうか。つまり検証できないです我々は。これが正しい数値なのかと。それで国家の政策を決めているというのはこの状態なわけです。私はこれを非常に不思議に思うのですね。なので、これはそう考えますと同じようなことを国が主導してデータを集めて、それなりのデータベースを作るという作業をしていく必要が絶対にあるのだろうというふうに思います。

そのことは正しいマクロの薬剤費を把握するということだけではなくて、この会議の中で出てきましたように、例えば在庫の状況を把握して安定供給の問題を把握するみたいなことも仕組みのやり方によってはできるはずであります。それから例えば薬価基準制度って非常に頻繁に変えるのですね。変えすぎだって批判が出るくらいですけど、その政策効果をどうやって調べるかっていうと、なかなか難しいわけです。

実は診療報酬の方は中医協の中に結果検証部会というのがあって、必ずその診療報酬を変えるとそれが頭皮に影響したかっていうのを調べます。それは診療報酬ですから、すぐわかるわけです。点数がどう変わったか。そういうことが機敏にできるのですけれども、薬価改定についてはなかなかそれができない。政策効果も適切に評価できないっていう状態にあるのかなというふうに思う。

更には、その薬価調査は当然やるわけですが、今のようなデータベースを、基本的にはIPでデジタル化で作っていくっていくという方針で進めていくべきだと思いますので、そうなると定期的に行う薬価調査もデジタル化が進んで非常に適切になるのだろうと思う。

国が主導してメーカーや卸の、要するに販売流通データですよね。価格と数量を把握するということをぜひ進めていかれるべきではないかなと。そうしないと、国家の政策を民間の大企業のデータでいただくということをずっと続けているのかという感じがする。ということもありまして、そのような仕組みを是非作っていただきたい。私の個人的な意見であります。皆様がそんなもんなんて駄目だと言えばそれまでなのですが、意見として申し上げさせていただきました。以上でございます。他に何かございますか。はい坂巻構成員どうぞ。

坂巻構成員:いまの提案は非常に重要です。是非そういった仕組みを実現していただければと思います。一方で、海外と比較するときに海外のデータもないのです。実は2000年からの医療経済研究機構におりまして、そのときの第1回保健大臣会合で、OECD加盟国はその共通の基準で医療支出を推計しようと。その基準に名前がついています。一応これに沿って日本の医療支出の推計を医療経済研究機構にいるときに行いました。私もせっかくOECDの会合に出ていましたので、私自身が薬の専門ですから各国どういう薬剤支出の推計をしているかということをOECD加盟国の担当者にアンケート調査させてもらいました。

そうするとですね、結局のところ各国まちまちです。国によっては先ほどの外資系コンサルティング会社のデータを使っている国もあります。あるいは国によっては遠藤座長が発言されたように、独自のデータベースを持っている国もあります。ですからなかなかその海外との比較はできないっていうところの課題が残ってしまいます。少なくとも日本において政策的に議論するときに国が独自のデータ持ってないっていうのは非常に問題ですので、ぜひとも実現する方向で、この有識者検討会の報告書にも入れていくべきだというふうに考えます。

遠藤座長;ありがとうございます。確かにあの国際比較っていうのは基準が同じでないので大変難しいという。社会保障費そのものを比較するのもかつてはILO方式というのをやっていたのを今OECD方式で比較するのが通常で、私が所長やっていた社会保障人口問題研究所では、ILOを使っていた。だいたい日本の統計は皆ILO方式に準じた形で出ていますから、それをOECD方式で作り直さなきゃいけないので、そんな作業をしておりましたので、そういう国際的に調和をとったとなかなか難しいわけです。社会保障みたいなものは共通の指標はあるが、医療費を共通の統一基準にしようなんていうモチベーションの国はないですから、そこら辺が問題あるとはまさに坂巻構成員が発言した通りのことだと思います。

ただ、国内の政策評価をするイベントが大変重要だと思う。例えば私は先ほど言った外資系コンサルタント会社の好意でデータをいただいて、ジェネリックはどこで使われているかって論文化していただいたことあります。それは医療機関と薬局で購入した薬剤費の中でジェネリックの割合を出して、それを病院の設置者とか規模別にどこが一番ジェネリック使っているかっていうのを出させていただいた論文です。あれはまさに、あそこから提供されたデータがなければできなかった。それでジェネリックがどこで使われて、使われていないのか。国から出たデータは都道府県別で割合は出ているのです。しかし、そんなに細かいものは出てなかったものですから大変有効に使えました。だからあのようなデータベースが国内にあると様々なことがわかってくると思います。ぜひ作られることを希望したいと思います。以上でございます。他に何かご意見ございますか。よろしゅうございますか。

事務局にちょっとお聞きしますが、今後どういう段取りになりますか。もう残りも少ない形になりますけれども、流れと言える範囲で結構ですのでお願いします。

安藤課長:はいありがとうございました。先ほども申し上げさせていただきましたけども、まだ積み残しているところはあると思いますが、一旦、次回の検討会でこれまでの議論を我々の方で整理いたしまして、本日のご意見も踏まえて整理して、この検討会の報告書の素案という形で提示をさせていただきたいと思います。そこでまた様々なご意見があると思いますので、それを一応その検討会報告書の中に反映いたしまして、その次々回の有識者会議で取りまとめという形で進めさせていただきたいと考えているところです。日程等につきましてはご連絡差し上げたいというふうに思います。

遠藤座長:どうもありがとうございます。そういう段取りであるということでございます。それでは本日の検討会はこれにて終了したいと思います。よろしいでしょうか。事務局から日程についての連絡をお願いします。

事務局:次回の第12回検討会につきましては4月27日に開催予定です。詳細につきましては厚生労働省事務局よりメール等にてご連絡させていただく予定です。また本日の検討会の議事録は後日厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。事務局からの連絡事項は以上でございます。

遠藤座長:はい、それではこれにて終了いたします。長時間ありがとうございました。
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