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働き方改革踏まえたMR活動 「医師が時間を割くだけの等価」考えよ “呼ばれるMR”は全社一丸で育成

公開日時 2024/10/15 04:52
PwCコンサルティング合同会社主催のセミナー「医師の働き方改革がもたらした影響と製薬企業に望まれる対応」が10月11日に東京都内で開催された。登壇した榊原記念病院循環器内科の中山敦子部長は、管理職の立場から発言し、「医師が確かに時間を意識するようになった」と報告。一方でタスクシフトの課題を指摘し、「私たちはより高いレベルへの限界を超えようと確認し合いながら、(多職種間で)プロとしての関係を維持し、遠隔診療やAIを使った診療などに取り組んでいる」と紹介した。聖路加国際病院循環器内科の鈴木隆宏医師は、働き方改革後の若手医師とMRのコミュニケーションに触れ、「時間を制約する中で、MRに時間を割くだけの“何かがあるか”っていうところが医師にとってモチベーションになる」との見解を披露した。

◎榊原記念病院・中山敦子部長 タスクシフト「理解し合えば高いアウトプット生まれる」

この日のセミナーで榊原記念病院循環器内科の中山敦子部長は、働き方改革施行前後の状況を報告。24年4月を前後して医師や事務職などの残業時間が減ったと明かした。ただ、診療看護師(NP)などが進まない状況に課題感を滲ませながら、「看護師に大変な業務だけ変わってくれと言うと、ケアをしたい看護師にとってどんなメリットがあるのかと指摘される」と述べながら、タスクシフトが進まない現場の事情を披露した。その上で、タスクシフトを進めるための課題として、「リスペクト、コミュニケーションほど大事なものはない」と述べ、常に業務中は看護師などスタッフの声に注意深く耳を傾けることを心掛けていると強調。また、院内では情報共有アプリとしてSlack(スラック)を活用しているとした。

一方でタスクシフトが進むことでのメリットに触れ、「ちゃんと理解し合えば高いアウトプットが生まれる」と指摘。「我々は高いレベルに限界を超えようということで、喧嘩とか起こり得ないぐらいプロフェッショナルな形での関係を結んでいる」と述べ、その結果として、より良い医療提供の提案やAIを使った遠隔診療の実践などに多職種連携で挑戦していると強調した。

◎聖路加国際病院・鈴木隆宏医師 MRとの面会「極論で語れば“仕事じゃないよ”」

聖路加国際病院循環器内科の鈴木隆宏医師は、働き方改革後の製薬企業とのコミュニケーションについて、若手医師の“ホンネ”を紹介した。鈴木医師は自身のMRコンタクトについて、「月曜日の夕方や金曜日の外来の前後、平日の当直の時などに調整させて頂いている」と明かしてくれた。その上でMRと面会するモチベーションについては、「極論で語れば“仕事じゃないよ”っていうのはかなりのキーワードかなと思っている」と吐露し、「時間の制約が求められる中で、逆に時間を割くだけの何か(等価)があるか」が重要と指摘した。

◎若手医師20人へのインタビュー MRとの面談に際して医師の“ホンネ”

若手医師20人を対象に鈴木医師が行ったインタビューの結果を紹介。「ある程度第1印象で人(MR )を選んで決めている。メールの方が返信しなくてもいいから気楽」、「アポの際に“いつ時間がありますか”と聞くより、むしろ細かく日程を指定してくれた方が会いやすい」、「どういう話をされるか分からない中で、時間を割くことは難しい。事前にメールで相談事項なのか、医薬品の情報なのか、面会の趣旨を示して欲しい」などを紹介した。また、多かった医師の意見として、「会いたいと思わせるキャラクターやコミュニケーション力があるMRとは、前向きにお付き合いしたい」との回答が複数寄せられたとして、円滑なMRとの面談について、「僕の中ではポイントかと思う」と強調した。

一方で医師が欲しい情報として、「他の医療現場の状況」をあげ、「なかなか医者の世界では学会で顔を合わせるくらいで、他の病院で何をしているのか分からない」と述べた。また、MRから実際に情報提供を受けた経験談として、「患者さんは何を障壁だと考えているのか」に関する情報を知ることで、医師と患者の認知のギャップを診療に役立てることができる情報だったと振り返った。

◎日本ベーリンガーインゲルハイム・山﨑東京支店長「施設によって対応状況が全く違う」

日本ベーリンガーインゲルハイム 心・腎・代謝領域事業本部 営業本部の山﨑秀雄東京支店長は、MRによる医師との面会機会の減少について、「コロナは社会全体の問題だったが、医師の働き方改革は病院で起きている」と指摘。続けて、「施設によって対応状況が全く違うなと、そこに見に行かないとやっぱりわからない。病院経営とも連動させる形でいろいろな対策を(各施設とも)講じている」と述べ、「個々施設の状況、MRとの面会状況もちょこちょこ変わっている」と述べた。また、MRは各施設のニーズを把握し、理解した上で、「(リアル)面談、メール、チャットなど、先生方の好みに合わせるやり方を推奨している」と指摘した。

一方、Web講演会については、「医師のニーズをわかった上でコンテンツを精査することがすごく大事だと思っている」とし、医師のクリニカルクエスチョンや多職種連携に関するコンテンツについては、視聴する医師側のニーズ把握が重要とした。また、医師の視聴に際し、病院が許すのであれば、説明会を一緒に行うなど、「視聴方法の精査」も大切だと強調。「医師のニーズに合うものであれば個人視聴でも視聴数を伸ばすことが可能」との認識を示した。

◎“呼ばれるMR”の育成 「医師のニーズ、施設状況の把握で初めて医師と対峙できる」

その上で、“呼ばれるMR”の育成に言及。山﨑支店長は、「価値の提供できるMR」と表現しながら、「MRは医師のニーズを掴み、(担当)施設の状況をタイムリーに把握できることで医師と対峙できる」と強調。また、こうした環境変化に対応するためには、「全社一丸となった取り組みが必要」と述べ、「まずマーケティング、データマネジメント部門、それからデジタル部門、営業推進、教育研修、そして現場が同じ視点を持って“呼ばれるMR”を作っていく、育成していく、そういったような製薬企業が最終的に生き残るのではないか」と述べた。

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