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オンライン資格確認導入加速へ マイナ保険証使わない場合の点数引上げ、経過措置も 中医協が答申

公開日時 2022/12/26 04:52
中医協(小塩隆士会長)は12月23日、オンライン資格確認の原則義務化に向けた経過措置と医療情報・システム基盤整備体制充実加算の特例的な引上げについて答申した。医療情報・システム基盤整備体制充実加算についてマイナンバーカードを健康保険証として活用した場合の診療報酬点数は据え置く一方で、従来型の保険証を活用した場合の点数を引き上げ、マイナンバーカード、オンライン資格確認の導入を後押しする。期間は23年4月から12月末までの9か月間。また、オンライン資格確認は23年4月から原則義務化されるが、「やむを得ない事情」がある保険医療機関・薬局の6類型を示し、期限付きの経過措置を設ける。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「導入を加速するためにも、経過措置の延長はあり得ない」と改めて主張し、附帯意見にも盛り込まれた。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算については、マイナンバーカードの利用がない場合、初診では2点(4点→6点)、調剤では1点(3点→4点)に引き上げる。マイナンバーカードの利用がない場合の再診時の評価を2点として新設する。オンライン請求を行っていることが要件となっているが、23年12月31日までに開始する届け出を行っている医療機関・薬局は特例的にこの要件を満たすこととみなすとした。算定要件としては、初診・調剤時には、他の医療機関の受診歴や処方薬など、問診票の標準的項目を確認する必要がある。再診時には薬剤情報の確認や、その他必要に応じて健診情報などの確認を行うこととする方針。

やむを得ない事情のある医療機関・薬局については、6類型を提示。期限付きで経過措置を設ける。具体的には、23年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の医療機関・薬局(システム整備中)については「システム整備が完了する日まで(遅くとも23年9月末まで)」としたほか、光回線のネットワーク環境が整備されていない医療機関・薬局については、「オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6か月後まで」などとした。

6類型の一つである「その他特に困難な事情がある医療機関・薬局」については、そのほかの類型と同一視できるか、個別に判断するバスケットクローズの経過措置を設ける。具体例としては、自然災害などに加え、「高齢の医師等でレセプト取扱件数が少ない場合」をあげた。レセプト件数としては月平均50件以下として、医師の年齢としては70歳以上を想定する。65~69歳については個別に判断するとした。支払側の松本委員は具体例を明確化することを求め、附帯意見にも盛り込まれた。

◎診療側・長島委員 医療の高度化、患者の高齢化などで増す医療方法取得の負担

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「近年、医療情報を正確かつ網羅的に把握することの重要性はますます増しているが、その困難さも大きくなっている。医療の高度化、あるいは患者さん方の高齢化、疾病構造の変化などによって把握すべき医療情報の量と複雑さが大きくなっている。また、おひとりで複数の医療機関にかかることも非常に増え、網羅的、正確に情報を把握することに対する医療機関の負担が極めて大きくなっている」と説明。こうしたなかでオンライン資格確認による情報共有が導入されたとの認識を示した。こうした患者情報は初診に限らず、再診でも重要としたうえで、「しっかりと情報を把握することで、何よりもその患者様にとって安心安全での高い医療が提供できる。これは、その患者さんの命と健康を守るという極めて大きなメリットがある」と強調した。

◎支払側・松本委員 医療の質向上に加え「将来的には医療機関の負担低減、生産性向上も」

これに対し、支払側の松本委員は、「確かに診療情報の深さ、広さが大きくなったことについては私も認めるし、イニシャルで情報取る手間ということに関しては確かにその医療機関側、薬局側の不慣れな面もあろうかと思うが、今後そうしたものが慣れてくれば、当然そういった中で手間が減ってくるということが予想される」としたうえで、「そうした暁に、医療の質の向上に加え、医療機関側の負担の低減あるいは生産性の向上、そうしたものを期待されていると思うので、ご尽力いただきたい」と述べた。

◎小塩会長 医療DX推進には「国民の理解、実感」が必要 検証、対応を検討

支払側の松本委員は、「保険者としてもマイナンバーカードの取得促進並びに保険証化に力を入れている。医療現場においてもマイナ保険証で受診することによるメリットを患者が実感できるように質の高い提供をお願いしたい」と求めた。附帯意見には、「早急に患者・国民の声を丁寧かつ幅広く聞く」必要性を強調。「取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況等については十分に調査・検証を行うとともに、課題が把握された場合には速やかに中医協へ報告のうえ、対応を検討すること」と盛り込まれた。

小塩会長は、「医療DXを進めることについては、中医協のメンバーも全員大賛成だと思うが、問題は附帯意見にもあったように、国民の方々の理解、実感が伴わないとなかなか先に進まないということだ。中医協としてもこれからしっかり検証し、問題があったらそれを改めていくという姿勢が求められると思う」と述べた。


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