田辺三菱製薬・小林取締役 初代会長を務めるJaDHAの会員企業が50社に 規制と保険償還で年度内提言も
公開日時 2022/07/15 04:50
田辺三菱製薬の小林義広取締役は7月14日、第24回インターフェックスジャパンのセミナーで講演し、初代会長に就任した「日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)」の会員企業が50社(6月24日時点)に拡大したと報告した。JaDHAは今年3月にデジタルヘルス関連の技術・法制度の研究と政策提言を目的に設立した。当初20社超の参加が見込まれたが、発足からわずか3か月で倍以上に膨らんだ。小林取締役は、「改めてデジタルヘルスへの関心が非常に高いことを認識した」と強調。今年度中に「規制」と「保険償還」について提言する考えを明らかにした。
JaDHAは、「製薬デジタルヘルス研究会」(田辺三菱、アステラス製薬、住友ファーマ、塩野義製薬)と、ベンチャー系企業で構成する「日本デジタルセラピューティクス推進研究会」が統合して、今年3月に発足した。この日のセミナーで公開された6月24日時点の会員区分は、一般会員32社(正会員26社、オブザーバー会員6社)、ベンチャー会員18社(正会員13社、オブザーバー会員5社)。会員属性では、医薬品が34%、医療機器12%、その他(ICT、医薬品卸、医療サービス、食品)18%、ベンチャー36%-となっている。
◎投資に対する予リターンの予見性についても議論 早期承認・仮償還制度なども視野に
小林取締役は、「投資に対するリターンの予見性をどうするか。やってみないと分からないところもあるが、どうストーリーを描けば投資に対して回収できるかをある程度議論しておかないといつまでたってもできない」と強調。企業にとって「投資」段階にある承認までの段階を、「いかに短く効率的にできるか」との観点から、早期承認・仮償還制度についても検討を進める。さらにはデジタルに特化した診療報酬の枠組みの新設、流通のあり方などを議論する考えを示した。このほかデータを用いた臨床価値の評価についても視野に入れた。
◎承認要件の新区分、デジタル治療に特化した診療報酬体系の枠組み―年度内に提言へ
今後の進め方については、すでに「デジタル治療に適した臨床評価基準・承認要件の新区分検討ワーキンググループ(WG)」とデジタル治療に特化した診療報酬の体系枠組み検討WG」を設置したと説明。「この2つについては、今年度中に議論の結果を何らかの形でアウトプットする」と明らかにした。また、参加企業から業界横断的な意見集約を経て、新たなWGを設置するとした。8月~9月中に1~3つのWGを新設する考えだ。
◎WG新設も準備 デジタルヘルスアプリの認証制度など
小林取締役は、「例えばデジタルヘルスアプリ(非医療機器)の認証制度に関するWGを新設する」と述べた。デジタルヘルス製品のトクホに類する認証制度の検討を想定しているもの。小林取締役は、「ある程度データを収集して役に立つアプリであるということを議論したい」と意欲を示した。このほかにも、デジタル治療の実証価値に応じた保険点数の見直しWGやデジタル治療アプリ・サービスの流通基盤の設計と検討WGなども検討される見通し。