厚労省 7製品の効能追加など承認 テセントリクにNSCLCの術後補助療法追加、免疫療法薬で初の適応
公開日時 2022/05/27 04:51
厚生労働省は5月26日、7製品の効能追加などを承認した。がん免疫療法薬で初となるテセントリクに「非小細胞肺がんの術後補助療法」の効能を追加することや、単剤で食道がん2次治療に使えるオプジーボに今回、ヤーボイまたは化学療法のいずれかと併用して食道がん1次治療に使えることが追加された。
効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元。薬効分類順に記載)
▽ツートラム錠50mg、同錠100mg、同錠150mg(トラマドール塩酸塩、日本臓器製薬):「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間なし。薬効分類:114。
μオピオイド受容体作動作用とセロトニン及びノルアドレナリン再取込み阻害作用を有する鎮痛薬。今回追加されたがん性疼痛に対する用法・用量は、既承認の慢性疼痛と同じく、トラマドール塩酸塩として1日100~300mgを2回に分けて経口投与し、症状に応じて適宜増減して用いる。
▽ロゼックスゲル0.75%(メトロニダゾール、マルホ):「酒さ」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:269。
抗原虫作用及び抗菌作用を示すメトロニダゾールを有効成分とするゲル製剤。酒さに対しては1日2回、患部を洗浄後に適量を塗布して使用する。
酒さは、顔面を中心に発症し、紅斑、丘疹、膿疱、毛細血管拡張、発作性潮紅などの症状を特徴とする慢性炎症性皮膚疾患。顔面に赤みが持続し、発疹を繰り返すこと、また寒暖差等の外界刺激により刺激感や火照り感が生じることから、日常生活に影響を及ぼすことがある。国内患者数は約1万4000人と報告されている。
▽リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2028年1月22日まで)。薬効分類:399。
JAK阻害薬。国の指定難病の強直性脊椎炎は、10~20代での発症が多い全身性の慢性炎症性疾患。有病率は欧米人(0.9%)に比べて日本人(0.0065%)で低く、国内では稀な疾患と考えられている。今回、同剤として関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎に続く4つ目の効能・効果として強直性脊椎炎が追加された。
▽テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「PD-L1 陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2026年1月18日まで)。薬効分類:429。
抗PD-L1抗体。がん免疫療法薬(抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体など)の中で「非小細胞肺がんにおける術後補助療法」の適応を持つ製品はなかった。今回、同剤ががん免疫療法薬として初の適応を持つ薬剤となった。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。優先審査。薬効分類:429。
▽ヤーボイ点滴静注液20mg、同50 mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2024年6月20日まで)。優先審査。薬効分類:429。
抗PD-1抗体のオプジーボは今回、ヤーボイまたは化学療法との併用で、食道がんの1次治療に使えるようになった。抗CTLA-4抗体のヤーボイは、オプジーボとの併用で、食道がんの1次治療に使えるようになった。なお、オプジーボは現在、単剤療法で食道がんの2次治療で承認されている。
オプジーボはこれまでの「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がん」との効能・効果から、「がん化学療法後に増悪した」を削除した。ヤーボイは今回の新適応を追加した。
▽アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブ べドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):「CD30 陽性のホジキンリンパ腫」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は6年1日。希少疾病用医薬品。薬効分類:429。
微小管阻害薬結合抗CD30抗体。これまで小児のCD30陽性ホジキンリンパ腫に対して2次治療から使用できたが、今回、1次治療でも使用できるようになった。ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫の一種で、日本における18歳未満のホジキンリンパ腫の年間罹患者数は約60例と推計されている。