厚労省 アクテムラの新型コロナ肺炎の効能追加を承認 酸素投与が必要な患者の治療選択肢
公開日時 2022/01/21 18:40
厚生労働省は1月21日、中外製薬の抗IL-6受容体モノクローナル抗体・アクテムラ点滴静注用80mg、200mg、400mg(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))について、新型コロナによる肺炎の効能追加を正式承認した。酸素投与を必要とする中等症IIから重症の患者に対する新たな治療選択肢となる。
追加された効能・効果は、「SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)」。副腎皮質ステロイドの併用下で、トシリズマブとして1回8mg/kgを投与する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブとして8mg/kgを1回追加投与することも可能とした。
アクテムラは新型コロナ治療薬として、これまでに欧州で承認され、米国で緊急使用許可を取得し、WHOより推奨されている。
中外製薬の奥田修社長CEOは、「当社創製のアクテムラを、SARS-CoV-2 による肺炎に対する新たな治療選択肢としてお届けできることを大変嬉しく思う。これまでの臨床試験成績から、SARS-CoV-2感染症の患者さんにおいて、アクテムラ投与による死亡率低下が認められている」とコメント。オミクロン株による感染急拡大に触れながら、「重症化し酸素投与が必要な肺炎に至る患者さんが増加することが想定される」とし、「アクテムラが、これら生命にかかわる可能性のある重症肺炎患者さんの予後に貢献できることを願っている」としている。
IL-6は炎症時の急性期反応などに関わるサイトカイン。新型コロナ患者の一部では、IL-6を含む複数のサイトカインの発現亢進を特徴とする炎症状態により呼吸不全を起こすことが知られており、同剤投与により炎症抑制を期待する。