中医協 費用対効果評価見直しで製薬協「異論はない」 分析前協議で充実した議論できる運用を
公開日時 2021/11/15 04:50
日米欧製薬団体は11月12日、中医協費用対効果評価部会で、意見陳述に臨んだ。日本製薬団体連合会(日薬連)と日本製薬工業協会(製薬協)は、2022年度診療報酬改定での費用対効果評価の見直しの方向性について、「運用上の課題を解決すべく、ルール見直しを行う方向であり、異論はない」とした。評価結果をいち早く薬価に反映するためにも、保険収載から価格調整までの期間を短縮することが求められている。合意した企業分析の期間を守るためにも、製薬業界側は、適切な分析集団や比較対照技術の設定につながるよう、分析前協議での充実した議論ができる運用を求めた。
2022年度改定では、保険収載から価格調整までの期間の短縮が論点となっている。企業分析の期間は9か月(270日)以内、公的分析は6か月(180日)以内(企業分析の検証のみの場合は3か月(90日)以内)とするとされている。製薬協の岡田安史会長は、企業は費用対効果評価品目に指定される前から、比較対照技術や分析対象集団、分析モデルなどの検討を開始していると説明。「準備をしたうえで、定められた企業の分析期間はスムーズに進んだとしても余裕のある期間設定ではない。企業としてもできるだけ合意された期間内で抑えることに最大限努力をしている」と述べた。そのうえで、分析前協議については、企業、公的分析側の合意が得られた場合には、臨床の専門家などが参考を可能とすることに賛同し、「効率的に分析を行う、迅速に審査を行うためにも極めて重要だ」と述べた。
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のスティーブ・スギノ在日執行委員会副委員長(アムジェン)は企業分析の期間について、分析前協議とわけて、「最低6か月間は保証してほしい」と主張した。これまでに企業分析が期間内に終わらなかった例として、テリルジー(GSK)とカボメティクス(武田薬品)をあげ、「企業側が努力しなかったわけではなく、分析前協議が長引いた、効能追加があったなどの理由で、遅延としてとるべきではない」と指摘した。
◎PhRMA・EFPIA 効能追加を対象に含めることに反対
厚労省は、分析枠組みの決定前に効能追加がなされた場合には、原則として追加された効能を含めて分析枠組みを決定することも提案している。これに対し、PhRMAとEFPIAは効能追加を対象に含めることに対して反対の姿勢を鮮明にした。PhRMAのスギノ副委員長は、薬価算定時に考慮されていない効能追加は原則として対象外とすべきとの考えを表明した。そのうえで、「仮に対象とする場合は、対象は限定的なものにしてほしい。効能追加が行われた結果、主たる効能が大きく変化した場合など製品の評価が変わる場合に限定されるべき」と主張した。欧州製薬団体連合会(EFPIA)のレオ・リー副会長(ノバルティスファーマ)は、「効能追加のたびに新たに費用対効果が行われるとなると、薬価を下げるために行われるということになってしまう。新薬の開発が妨げられ、新たな効能が出てこなくなり、患者さんのアクセスが妨げられるのではないかと懸念している」と述べた。