エンレストの高血圧症の効能追加も「原則、第一選択薬としない」 薬食審・第一部会が承認了承
公開日時 2021/09/03 20:00
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は9月3日、ARNI・エンレストの高血圧症の効能追加の承認を了承した。ただ、「原則として第一選択薬としない」ことを注意喚起することが条件となった。早ければ9月中にも正式承認される見通し。
厚労省によると、「継続審議」となった8月30日の部会では、「エンレストも他の降圧剤と同様に第一選択薬とするのか。または他の降圧配合剤と同様に第一選択薬としないのか」が大きな論点となった。エンレストは、ネプリライシン阻害薬サクビトリルとARBバルサルタンを含有するアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)。部会の委員からは、エンレストは2成分による配合剤に近いとの見方があがっていた。この日、「原則として第一選択薬としない」ことを明確に示すことで委員から了承が得られた。
◎臨床試験の対象患者踏まえた処方を求める
厚労省によると、エンレストへの切替え前の薬剤を限定するなど添付文書上の縛りは設けないが、「臨床試験の項においてどのような患者が組み入れられたかが記載されるので、これを踏まえて(エンレストへの切替えを)臨床現場で判断してもらうことになる」と説明した。
同剤をめぐっては8月30日の医薬品第一部会で「継続審議」となっており、審議はわずか4日ぶり。異例にも映るが、厚労省は8月30日の審議品目が多いことから、3日はもとともと予備日に設定していたと説明。さらに、PMDAで論点が速やかに整理できたことから再審議に至ったとしている。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽エンレスト錠100mg、同錠200mg(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ):「高血圧症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2030年6月28日まで)。
高血圧症の用法・用量は、「通常、成人にはサクサビトリルバルサルタンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお、年齢や症状により適宜増減するが、最大投与量は1回400mgを1日1回とする」となる。海外では21年6月時点で、高血圧症に係る効能・効果でロシアと中国でのみ承認済み。なお、慢性心不全に関連する効能・効果では欧米を含む110以上の国・地域で承認済み。