あすか製薬の合成黄体ホルモン単剤の経口避妊薬・スリンダなど新薬3製品承認へ 薬事審第一部会が了承
公開日時 2025/04/28 04:49
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第一部会は4月25日、あすか製薬の国内初となる合成黄体ホルモン(プロゲスチン)単剤の経口避妊薬・スリンダ錠28(一般名:ドロスピレノン)など新薬3製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。
この中には、ノバルティス ファーマのファビハルタの「C3腎症」や、中外製薬のバビースモの「脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条」の適応追加が含まれる。5月中の正式承認が見込まれる。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽スリンダ錠28(ドロスピレノン、あすか製薬):「避妊」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。再審査期間は4年。
合成黄体ホルモン(単剤)。現在、国内で承認されている経口避妊薬は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と合成黄体ホルモン(プロゲスチン)の配合剤となっている。スリンダは、ドロスピレノンを成分とするプロゲスチンのみの経口避妊薬。従来の経口避妊薬(配合剤)には、頻度は少ないものの、エストロゲンに由来する血栓症のリスクがあり、血栓症リスク低減を期待して開発された。
スリンダの用法・用量は「1日1錠を毎日一定の時刻に白色錠から開始し、指定された順番に従い28日間連続経口投与する。以上28日間を投与1周期とし、29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す」。
あすか製薬は2020年1月にスペインのInsudPharma社から導入した。海外でスリンダは、25年1月現在、避妊に係る効能・効果で米国、フランス、ドイツ、オーストラリアなど62の国又は地域で承認されている。
▽ファビハルタカプセル200mg(イプタコパン塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「C3腎症」を効能・効果とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
補体B因子阻害剤。C3腎症は、免疫系の一部である補体第二経路の過剰活性化により、腎糸球体にC3というたんぱく質が沈着し、炎症および糸球体損傷が誘発され、たんぱく尿、血尿および腎機能低下が引き起こされる。非常に稀な腎疾患であり、主に若年成人で診断され、腎不全に進行することが多い。
国内でファビハルタは、24年6月に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の適応で承認されている。C3腎症に対する用法・用量は、PNHと同じ。
海外でファビハルタは、PNHに係る効能・効果で23年12月に米国で初めて承認されて以降、25年1月末時点で、欧米を含む48の国又は地域で承認されている。現在までに、米国と欧州でC3腎症の効能追加が承認されている。
▽バビースモ硝子体内注射液120mg/mL、同硝子体内注射用キット120mg/mL(ファリシマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗VEGF/抗Ang-2二重特異性抗体。網膜色素線条は、網膜の一部が断裂し、眼底に特徴的な線状の色調変化(色素線条)が見られる疾患。脈絡膜新生血管が黄斑部に及んだ場合には、無治療では視力予後が不良。国内では現在、網膜色素線条に関する効能・効果で承認されている薬剤はなく、バビースモが初となる。
バビースモが現在持っている適応は、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫――の3つ。網膜色素線条に対する用法・用量は、RVOに伴う黄斑浮腫と同じ。
海外では、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に係る効能・効果について承認されている国又は地域はない。