新型コロナ軽症者へのオルベスコ投与で「必要な見直し」求める 厚労省
公開日時 2020/12/25 19:32
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は12月23日、新型コロナウイルス感染症の軽症者などへの吸入ステロイド薬・オルベスコ(一般名:シクレソニド)の投与について、主治医等が「投与を継続するか否かを判断するなど、必要な見直し」を行うことを求める事務連絡を発出した。
国立国際医療研究センターなどで実施されていた特定臨床研究の結果を踏まえたもの。研究では、新型コロナ無症候・軽症者90例を対象に、同剤の有効性・安全性を検証した。その結果、肺炎増悪率はシクレソニド群39%(16例/41例)、対症療法群19%(9例/48例)で、リスク比 2.08(90%信頼区間 1.15-3.75)で、有意にシクレソニド群で肺炎増悪率が高かった(p=0.057)。研究グループは、「米国含む海外にて実施されている検証的な臨床試験の結果も踏まえて判断する必要はあるが、今回の研究結果からは、無症状・軽症のCOVID-19患者に対するシクレソニド吸入剤の投与は推奨できない」と結論づけている。ただし、オルベスコを投与群で、死亡など重篤な有害事象は認められていないとしている。
厚労省の事務連絡ではこの結果を踏まえて、「各医療機関において、主治医等が改めて有効性や安全性を評価して投与を継続するか否かを判断するなど、必要な見直し等を行うこと」を求めた。また、現在投与中の患者に対して、自らの判断で中止を控えてもらうことなどを求めている。