塩野義 新型コロナウイルスの予防ワクチン 年内の臨床試験開始へ加速
公開日時 2020/04/28 04:50
塩野義製薬は4月27日、新型コロナウイルス感染症に対する予防ワクチンの開発を正式に決定したと発表した。年内の臨床試験開始を目指すほか、国内の複数の企業と連携することで、1000万人規模の提供を可能とするスケールアップ検討に着手できるよう、取り組みを加速する。インフルエンザをはじめとした感染症を重点領域に掲げる同社は、新型コロナウイルス感染症へ注力しており、ワクチン開発も最優先プロジェクトの一つに位置付けている。
ワクチンの開発については、20年3月に連結子会社化していたUMNファーマ(本社:秋田県秋田市)が、日本医療研究開発機構(AMED)が支援する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発に関する研究」に2020年3月から参画。昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術・BEVSを活用した組換えタンパク抗原の作製を進めていた。こうしたタンパク発現技術を活用した抗原は一般的に、病原体を使わないため安全性が高いと言われているほか、比較的短時間で製造が可能とされる。
塩野義では、早期の非臨床試験への移行を目指し、AMEDが公募する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に応募するほか、厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、共同研究先である国立感染症研究所などと協議や相談を進めているという。
新型コロナウイルスをめぐり同社では14日、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、新型コロナウイルスに対する治療薬の創製やワクチンの開発、それに抗体検査キットの提供に向けた取り組みを進めると発表していた。