2020年1月31日プライマリケア・サービス革新の旗手、サンフランシスコ基盤のスタートアップ1 Life Healthcare（ブランド名One Medical）がナスダックに上場した。ヘルステックとしては2020年最初となったIPOは提示価格$14（評価額$1.7ビリオンドル）と控えめなスタートであったが、週明け2月3日（月）には$22から$24で取引されるという好調な滑り出しを見せている。

2007年に医師Tom Leeによって創業されたOne Medicalは実診療とオンライン診療を組み合わせたハイブリッド型のプライマリケアを全米72のクリニックで展開している。サービス形態も企業向け（B2B2C）と個人向け（B2C）のハイブリッドで、クライアントは6000社、年間契約のあるメンバーは397,000人を数える。年間$199（個人加入の場合）でメンバーになれば24/7でサービスにアクセスできる。

改めて言うまでもなく、One Medicalはいわゆるウーバー型の医師・患者マッチングサービスではない。医療サービス・プロバイダーとして提供する医療の質に責任を持つと同時に、医師が診療する患者数を厳しく制限するなど医療者のバーンアウト防止への配慮が行き届いている働く側にも優しい医療機関として知られている。

One Medicalの上場は、従来EXIT戦略は大手企業によるM&Aに限定されるかの観のあったヘルステック市場に、昨2019年から「戻ってきた」と言われ始めた一連のIPOトレンドに連なる動きとしても注目されている。ちなみに2019年に上場した注目のヘルステックには糖尿病など慢性疾患患者の疾病管理のLivongo、データ解析サービスのhealth Catalyst、ワークフロー・マネジメントのPhreesiaなどがいる。（医療ジャーナリスト　西村由美子）