タスク・シフト/シェア推進検討会 業務範囲の見直しに伴う教育・研修の考え方示す
公開日時 2020/01/22 04:50
厚生労働省は1月20日に開催した「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」で、現行制度上実施できない業務について、業務範囲の見直しに伴う教育・研修の考え方を示した。例えば、現行の養成課程で必要な知識の習得が明確に担保されている業務は原則、養成課程の見直しや研修の受講の義務づけは行わないとしている。
◎従来業務の技術的基盤上にない場合は養成課程で必要な教育内容を追加
同検討会ではこれまで、医療関係団体のヒアリングで挙がったタスク・シフト/シェアを進める業務として、(1)現行制度の下で実施可能な業務、(2)現行制度では明確に示されていない業務、(3)現行制度上実施できない業務──の3つに整理。(1)と(2)については内容を整理したうえで通知等で明確化し、タスク・シフト/シェアの推進を図る。
3)についてはさらに、①原則として各資格法の資格の定義とそれに付随する行為の範囲内、②その職種が担っていた従来の業務の技術的基盤のうえにある隣接業務、③教育カリキュラムや卒後研修などによって安全性を担保できる──の3要件を設定し、いずれも該当する業務からタスク・シフト/シェアを推進するための省令や政令、法律の改正を検討する。また、②の要件のみ該当せず、かつ働き方改革に特に資する業務については、追加的な要件とあわせて議論を深める方針を示している。
今回の会合では、現行制度上実施できない業務について、法令改正を検討する前提として、当該業務を実施する能力を担保するために必要な教育・研修の考え方を整理。現行の養成課程で必要な知識の習得が明確に担保されている業務か否かで分類し、担保されている業務は前述のとおり原則義務づけは必要ないとの考えを明らかにした。
また、担保されていない業務で要件②を満たす場合は「法令による研修の受講の義務づけは行わないが、通知により、当該業務の実施に当たって追加的な知識の修得が必要な者について、職能団体が実施する研修を受けることを求める」としている。
一方、要件②を満たさない場合は「養成課程において必要な教育内容を追加するとともに、既に資格を取得済みの者については、法令により、厚生労働大臣が指定する研修を受講することを業務実施の要件とする」と提案し、概ね了承を得た。
◎診療放射線技師の静脈路確保で賛否
さらに厚労省はこの日、法令改正によるタスク・シフト/シェアを進める場合の具体的なイメージを示した。診療放射線技師のRI検査、造影検査におけるタスクシフト/シェアの例で、法令改正後、静脈路確保やRI核種の注入等をタスク・シフトすることで撮像室において診療放射線技師による一貫した対応が可能になることを示している。
ただし、静脈路確保については「現時点では拡大ではなく、看護師への浸透を優先していくべきではないか」(齋藤訓子構成員・日本看護協会副会長)、「静脈路確保はシミュレーター実習でかなりできるようになる。進めていくべきだ」(猪口雄二構成員・全日本病院協会会長)など賛否の声が挙がった。
診療放射線技師に加え、臨床工学技士へのタスク・シフト/シェアについては、輸液ポンプ等を用いた薬剤投与のための静脈路確保など薬剤を扱う業務が少なくない。タスク・シフト/シェアの進捗を見越した他職種への情報提供等も、今後検討していく必要がありそうだ。