厚労省 添付文書改訂を指示 テセントリクに血球貪食症候群を追記
公開日時 2019/12/04 04:51
厚生労働省医薬・生活衛生局は12月3日、重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。改訂指示があった4製品のうち3製品で、添付文書の「重大な副作用」に追記を求める内容。具体的には、がん免疫療法薬テセントリク(アテゾリズマブ)は「血球貪食症候群」を、チロシンキナーゼ阻害薬タグリッソ(オシメルチニブメシル酸塩)は「うっ血性心不全、左室駆出率低下」を、抗アレルギー薬ビラノア(一般名:ビラスチン)は「ショック、アナフィラキシー」を、それぞれ「重大な副作用」に記載する。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽テセントリク点滴静注(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、製造販売元:中外製薬)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に、「血球貪食症候群」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は6例。医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例1例。
改訂理由:国内症例が集積されたことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
▽タグリッソ錠(一般名:オシメルチニブメシル酸塩、製造販売元:アストラゼネカ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に、「うっ血性心不全、左室駆出率低下」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と心不全関連症例との因果関係が否定できない症例は5例。医薬品と心不全関連症例による死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内症例が集積されたことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
▽ビラノア錠(一般名:ビラスチン、製造販売元:大鵬薬品)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬
指示概要:「重大な副作用」の項を新設し、「ショック、アナフィラキシー」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は3例。医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内及び海外症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
▽ソマゾン注射用(一般名:メカセルミン(遺伝子組換え)、製造販売:オーファンパシフィック)
薬効分類:249 その他のホルモン剤
指示概要:「効能又は効果に関する使用上の注意」の項に、関連性は明らかではないが市販後に良性腫瘍及び悪性腫瘍が発生したとの報告がある旨を追記。
「重要な基本的注意」の項にある、本剤の使用にあたっては有益性と危険性を考慮する旨の記載を「効能又は効果に関連する使用上の注意」の項に移行。
過去3年間の国内報告数のうち、良性腫瘍及び悪性腫瘍関連症例は0例。
改訂理由:主成分のヒトインスリン様成長因子-Iと腫瘍発生との関連性を示唆する公表論文が複数報告されていることや、関連性は明らかではないが、良性腫瘍及び悪性腫瘍に関連する国内及び海外症例が報告されていることから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。