認知症患者4団体が共同提言 治療・予防薬の開発で「実行性ある政策を」
公開日時 2019/05/23 03:50
認知症患者や家族などでつくる4団体で構成される「認知症関係当事者・支援者連絡会議」は5月22日、認知症に対する理解や支援を求める共同提言を厚生労働省老健局の大島一博局長宛てに提出した。認知症基本法や認知症大綱の議論が進むなか、認知症患者や家族が安心できる社会保障の充実や、診断前から終末期までの切れ目ない支援の重要性を訴えた。認知症治療薬の開発中止も相次ぐなかで、「認知症の完治への道を決して諦めず、治療薬、予防薬への開発を促進する」ために、実効性のある政策を講じることを求めた。
政府は認知症の予防などに重点を置いた新たな大綱の策定に向けた議論を進めている。自民党と公明党は、認知症基本法案の今国会への提出を目指している。今回の共同提言も、国民的な議論が高まるなかで、患者視点を取り入れてほしいという患者側の想いがある。同日、厚労省内で会見した公益財団法人認知症の人と家族の会の鈴木森夫代表理事は、「大島局長からは、私たちが話したことで大事なところは大綱にも盛り込んでいきたいという発言をいただいた」と話した。
共同提言は、政府や専門職に対する提言と、国民に向けたメッセージで構成される。いずれも、認知症への誤解や偏見をなくすことや、認知症の家族への政策を求めるなど、6項目で構成される。
このうち、認知症の人と家族が安心できる専門的なサービスや、社会保障の充実を求める項目では、▽要介護度の認定に、認知症の症状や困難度を評価するための指標を追加すること、▽認知症専門医制度の創設―などを訴えた。
◎小野寺事務局長 偏見や差別撤廃へ国民に理解求める
会見した全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会の小野寺敦志事務局長は、「認知症に対する偏見や差別に近いものはまだある。一人ひとりが認知症を自分のこととして考えて理解をしていってほしい」と訴えた。
共同提言は、▽全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会、▽男性介護者と支援者の全国ネットワーク、▽公益社団法人 認知症の人と家族の会、▽レビー小体型認知症サポートネットワーク-の4団体で構成する認知症関係当事者・支援者連絡会議が策定した。