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大塚製薬・井上社長 「認知症という社会課題に本格的に取り組む」 自治体とのネットワークを強みに

公開日時 2024/10/08 04:51
大塚製薬の井上眞代表取締役社長は10月7日、東京都内で開いたプレスセミナーで、「認知症という社会課題に本格的に取り組む」と表明した。同社を構成する▽治療薬を含む医療関連事業、▽日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ(NC)関連事業――の二つの事業を通じて、認知症当事者やその家族など多くのステークホルダーに対し、「包括的な支援を行う」と述べた。特に熱中症対策や食育推進などをテーマに全都道府県や約8割の特別区・市と締結している包括連携協定が「認知症ケアにおいて重要なプラットフォームになる」との見方を示し、社を挙げて「地域社会に根差したサポートをしていく」と決意を語った。

◎認知症領域 かかりつけ医、内科専門医、整形外科医、介護施設医師などもフォローへ

井上社長は、認知症領域のステークホルダーについて、これまでは製薬企業として患者を診る医療従事者にフォーカスしがちだったと振り返った。これからは医療従事者だけでなく、▽家族・介護者、▽国・地方自治体、▽介護施設、▽リハビリテーションセンター、▽地域包括支援センター――など認知症患者を支える広範なステークホルダーに“トータルヘルスケアカンパニー”として目を向け、認知症に対する多面的な取り組みを行う方針を示した。

また、認知症領域の訪問先診療科にも触れ、これまでは中枢神経系専門医を通じて治療薬を提供していたが、これからはかかりつけ医、内科専門医、整形外科医、介護施設医師――など認知症患者にとって「身近な医師」をフォローする必要性にも言及した。

その上で井上社長は、「ソリューションとしての医薬品(の開発・提供)は当然として、社会の環境を整えるのも当社の使命」だと強調。“地域共生社会”の実現に向けてこれまでに培った自治体との強固なネットワークを生かし、認知症の社会課題の解決に取り組み、身体的・精神的・社会的にも健康であるWell-beingの実現に貢献していくと語った。

この日は認知症の社会課題のひとつとして“認知症介護”を取り上げ、認知症当事者の気持ちや行動の背景を知り、具体的な対応を学ぶための体験型VRトレーニングプログラム「認知症ケア支援VR」が紹介された。例えば介護者が、自身による普段の対応や行動を、VRを通じて認知症当事者側の視点から体験することで、認知症当事者の気持ちや行動の背景を理解することを助け、接し方の工夫などを学べるもの。認知症当事者に対する理解が深まることで介護者のストレス軽減も期待できるとし、認知症当事者と介護者の双方が充実した日々を送ることができる「認知症との共生社会」の実現を目指すプログラムだという。

大塚製薬は同プログラムの利用シーンとして医療施設、介護施設、各自治体などでの研修のほか、地域のスーパーなどで催される介護教室での活用も視野に入れており、NC関連事業を展開する大塚製薬の強みが発揮できるとしている。

◎レキサルティのADアジテーションの適応 「2年、3年、4年と漫然と投与すべきものではない」

大塚製薬は9月24日付で、自社創製の抗精神病薬・レキサルティについて、「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の追加適応を取得した。この適応は「アルツハイマー型認知症(AD)に伴うアジテーション」のことで、レキサルティは日本でADに伴うアジテーションの適応を有する初の治療薬となった。

今回の適応拡大によってレキサルティの国内のピーク時売上がどの程度の規模になるのかも気になるところ。この点について井上社長は、エリア別の売上目標は非開示とした上で、まずはADに伴うアジテーションの疾患啓発や適正使用に向けた情報提供活動を「丁寧にやっていかないといけない」と強調した。同社の小野浩昭・取締役医薬品事業担当も、「ADに伴うアジテーションに対しては、(レキサルティが持つ適応の)うつ病や統合失調症とは違って、2年、3年、4年と漫然と投与すべきものではないと考えている」と述べ、適正使用の徹底に取り組む姿勢をみせた。

なお、添付文書の「効能又は効果に関連する注意」において、投与にあたっては、臨床試験成績などを踏まえ専門医との連携のもとで投与患者を慎重に判断する旨などが注意喚起されている。また、「用法及び用量に関連する注意」では、「投与開始10週間後までを目途に本剤投与により効果が認められない場合、本剤の投与を中止し治療法を再考すること」や、「副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状、誤嚥性肺炎等)のリスクを考慮して、本剤を漫然と投与せず投与期間は必要最小限とすること」、また「本剤の24週間を超える継続投与の安全性は確立していない」と記載されている。
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