英NICE オクレリズマブをMS治療薬として推奨 当初ガイダンスから変更
公開日時 2019/05/21 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は5月9日、ロシュ社のヒト化抗CD20 モノクローナル抗体製剤Ocrevus(オクレリズマブ)を推奨する最終ガイダンス案を公表した。同剤は昨年9月10日に発表した当初ガイダンス案では一次進行型多発性硬化症(MS)の治療薬として推奨していなかったが、当該企業が価格を引き下げたため、推奨へと変更した。
NICEは、昨年9月10日のガイダンス案では、PPMSの進行を遅くすることを評価。ただ、その効果の程度や持続期間については不確実として、同剤の費用対効果はNHS(英国民保健サービス)のリソースを使用するには見合わないとして非推奨としていた。今回、NICEは、ロシュ社が価格の引き下げに同意、同価格によって費用対効果に見合うとして推奨を決めた。
同剤のNHSリスト薬価は、300㎎1バイアルが4790ポンド(68万4970円、1ポンド=143円換算)である。同剤の用法用量は、初期投与が300㎎バイアル2本2週間間隔で行い、次いで、6か月ごとに600㎎を投与する。NICEは、年平均薬剤費は、年2回600㎎点滴を基本にすると年間19160ポンド(273万9880円)になるとしている。ロシュが合意した割引価格は公表されていないが、このリスト価格通りとすると初期投与相当分が割り引かれている計算となる。
NICEのMeidert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、「NHSイングランドと当該企業が、MSのこのタイプの疾患を持つ数千の患者にこの重要な新たな選択肢を提供できる価格に合意できたことを喜んでいる」とコメントした。
英国では約9万人がMSに罹患していると推定され、一次進行型MSは診断時点で約14%を占めるという。当該企業は、今回の推奨により、同剤投与適格患者は約2700人に達するとみている。
【訂正】下線部に誤りがありました。訂正いたします。(5月21日 17時19分)