中外 ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんで国内申請
公開日時 2019/03/18 03:50
中外製薬は3月15日、経口チロシンキナーゼ阻害薬であるROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブについて、「ROS1融合遺伝子陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん」を予定適応症に日本で承認申請したと発表した。申請は同日付け。
18年12月に先駆け審査指定制度のもと承認申請した非常に稀なNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに続く申請となる。
ROS1融合遺伝子は何らかの原因により、ROS1遺伝子と、CD74などの他の遺伝子とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子。ROS1融合遺伝子から作られるROS1融合キナーゼにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられている。ROS1融合遺伝子は、非小細胞肺がん患者の約1~2%に認められ、腺がんでより多く発現する。
エヌトレクチニブはROS1(c-rosがん遺伝子1)とTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害し、脳転移巣への作用も期待されている。ROS1及びTRKキナーゼ活性を阻害することで、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するが細胞の増殖を抑制すると考えられている。
同社の伊東康・上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長は今回の申請にあたり、「1~2%で発現するROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対する治療選択肢として承認取得を目指し、引き続き個別化医療の進展に貢献できるよう取り組んでいく」とコメントしている。