厚労省幹部人事・事務次官に鈴木保険局長 医政局長に吉田子ども家庭局長、武田医政局長は辞職
公開日時 2018/07/25 03:51
厚生労働省は7月24日、幹部人事を固め、厚生労働事務次官に鈴木俊彦保険局長を起用すると発表した。31日付発令予定。このほか保険局長には樽見英樹大臣官房長、医政局長には吉田学子ども家庭局長、大臣官房長には定塚由美子社会・援護局長を充てる。2019年度の通常国会に医薬品医療機器等法改正案の提出を見込むなかで、宮本真司医薬・生活衛生局長、森和彦大臣官房審議官(医薬担当)は留任する。鈴木康裕医務技監も留任する。現事務次官の蒲原基道氏と、武田俊彦医政局長は辞職する。(写真はMonthlyミクス4月号のインタビュー時)
事務次官への起用が決まった鈴木俊彦氏は、昭和58年(1983年)入省組の一人。同期には現年金局長の木下賢志氏(留任)、保険局長に就任する樽見英樹氏、現医政局長の武田俊彦氏(辞職)がいる。鈴木氏は、これまで年金局長、保険局長を歴任するなど、省内外ともに社会保障制度に精通したエキスパートとの呼び声が高い。今年4月実施の薬価・診療報酬改定では陣頭指揮を執った。
◎鈴木氏「「2040年を視野に置くと講ずべき政策のストーリーが変わっていく」
事務次官に就任する鈴木氏(保険局長)は今年3月に本誌とのインタビュー(関連記事、一問一答(会員のみ))に応じている。2018年4月実施の診療報酬・介護報酬改定の狙いについて鈴木氏は、「一言で言えば、地域包括ケアの実現だ」と熱く語っている。医療・介護にとどまらず、住まいや予防・健康づくりを視野に、地域社会の基盤や体制整備に向けた経済的裏付けという視点が込められていると明かしてくれた。
「まずは2025年への道筋がついた」-と鈴木氏は語るが、その視線の先は、人口構造がさらに変化する2040年に注がれる。鈴木氏は、「高齢化や人口減少といった、これまでの社会保障制度の課題に加え、新たな論点がそこにはある」という。そのひとつが医療技術の急速な進歩と保険制度との調和の問題だ。鈴木氏は、「非常に高額な医薬品や医療技術を無原則に保険制度に取り込んでいくと保険財政が破綻してしまう可能性もある。高齢化への対応もさることながら、技術との調和をいかに図るかが、より大きな課題となるだろう」と指摘した。
インタビューでは製薬産業への期待にも言及してくれた。「製薬産業は健康に一番近いところにいる産業だ。健康に関する様々な情報を持っており、そこから派生するノウハウも多様だ。それを活用して行くことが、今まさに求められている」との考えを表明。「国民一人ひとりの行動変容をいかに起こすか、その中で、民間企業の果たす役割は大きい。色々なビジネスが生まれる契機もそこにはあるし、そうした動きに大いに期待している」と強調した。
◎薬剤管理官に田宮氏 安対課長に関野氏
2020年度診療報酬改定の議論に向けて、保険局の体制も変わる。医療課長に森光敬子研究開発振興課長、薬剤管理官に田宮憲一前神戸市企画調整局医療産業都市推進本部担当部長が就く。医薬・生活衛生局の総務課長には鳥井陽一国民健康保険課長、医薬安全対策課長に関野秀人食品基準審査課長、薬事企画官(医薬・生活衛生局総務課医薬情報室長併任)に安川孝志薬局・販売制度企画室長(総務課課長補佐、大臣官房厚生科学課科学技術調整官併任)が就く。佐藤大作安全対策課長は医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役(次世代評価手法推進・医療情報活用等担当併任)に8月1日付で就任する予定。