米・トランプ大統領 ファイザーの薬価値上げを延期させる
公開日時 2018/07/18 03:50
米ファイザー社は7月10日、7月1日に約40品目の値上げを行ったが、トランプ大統領と協議した結果、値上げを撤回、1日前の元の薬価に戻すことを発表した。
これは、ファイザー社が、疼痛治療薬リリカやED治療薬バイアグラなど40品目を7月1日から値上げしたが、トランプ大統領は同社Ian Read会長へ直接電話し、大統領は、値上げは政権の薬価引き下げ策についての「青写真」(計画)を混乱させるとクレームをつけ、協議の結果、値上げを一時撤回、延期することになった。
Read会長は、値上げの一時撤回後、大統領の薬価引き下げ青写真が実施される時か、今年末か、どちらか早いほうの時期に値上げを実施するとしている。
さらに同会長は、「ファイザー社は、大統領の患者への懸念と患者が必要とする医薬品への手ごろな価格でのアクセスへの取り組みを共有する」と述べたうえで、「我々は、大統領が、我々業界が社会にもたらす価値や患者にイノバティブな新薬を発見し、供給するという使命を果たす能力について理解していることに勇気づけられた」とのコメントを発表した。
トランプ大統領は7月9日、ファイザー社が値上げを実施したことについて、「同社は理由なく薬価を上げたことを恥と知るべき」と非難したうえで、「何らかの対応ととる」とツイートした。7月10日のツイッターでは、「ファイザーのCEOとアザール氏(保健福祉省長官)と我々の薬価の青写真(引き下げ計画)について話したところだ。ファイザーは値上げを元に戻したので、米国人はこれ以上支払う必要はない。ファイザーの決定を称賛し、他の企業も同じようにすることを望む。アメリカ国民にとって朗報だ」と述べた。
アザール長官は同日、ツイッターで、「ファイザーの値上げを撤回するという発表は長く記憶に留められるだろう。これは正しい方向への歩みで、アメリカの患者にとっての大きな勝利だ」と述べた。
トランプ大統領は、かねてから製薬企業の薬価値上げをめぐっては批判を繰り返していたが、直接電話でビジネスへの介入ともとられる行為は、今後論議を呼びかねないが、自動車産業ですぐに米国に工場を作れと命令するなどトランプ流ともいえるようだ。