中外製薬 網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx」を国内申請
公開日時 2018/03/19 03:52
中外製薬は3月16日、米ファウンデーション・メディシン社(以下、FMI)の固形がんに関連する網羅的遺伝子解析プロファイリング情報を提供する「FoundationOne CDx」(海外製品名)について、中外が日本で製造販売承認申請を行ったと発表した。申請は同日付け。中外は遺伝子情報を取り扱う事業に参入する。
FMIはスイス・ロシュ社の傘下で、遺伝子解析を得意とする企業。中外はこの日、FMIが提供する製品について、日本での独占的商業化権に関するサブライセンス契約を締結したことも発表した。契約締結により、中外はFMI製品の日本での薬事申請および販売活動に関する責任を負う。契約の対価として、ロシュは中外から契約一時金を受領する。
FoundationOne CDxは、次世代シーケンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム。患者の固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常(CNA)、遺伝子融合などの変異検出、マイクロサテライト不安定性(MSI)、腫瘍の遺伝子変異量(TMB)――などのゲノム・バイオマーカーを検出する。また、これらに加えて、「国内既承認分子標的治療薬のコンパニオン診断として、適応判定補助の使用目的も予定している」という。
この製品は2017年11月、米国で固形がんに関連する網羅的遺伝子解析プロファイリング情報を提供する検査として初めて承認されたもの。EGFR、ALK、BRAF、ERBB2(HER2)、KRAS、NRAS、BRCA1/2の遺伝子変異を検出、米FDAより承認を取得している17の分子標的療法に対するコンパニオン診断薬として使える。
■中外・小坂社長 「医療用医薬品事業とのシナジー大きい」
中外の小坂達朗社長は、「個別化医療(PHC)が現実のものとなりつつある中、医療や患者さんの治療を大きく変え得る遺伝子情報を取り扱う事業への参入は、新たな挑戦であると認識している」とコメント。そして、「当社の医療用医薬品事業とのシナジーも大きく、これまでに培ってきたがん領域における強みをさらに強化することで、医療と患者さんへの貢献を果たしていきたい。FMIのモレキュラー・インフォメーション・プラットフォームを活用することで、PHCに基づいた研究開発活動も加速させていく」とし、遺伝子情報に基づく医薬品開発の加速やコンサルティングプロモーションを実現して、個別化医療に貢献していく考えを示した。
中外はPHCの実現に向けた戦略立案と実行機能を担う機能として、PHC推進部を4月1日付けで新設する。同推進部でFMI製品の国内事業化などに取り組む。