厚労省・偽造薬流通防止検討会 GDP制度化求める意見相次ぐ 譲受記録は厳格化へ
公開日時 2017/04/24 03:50
C型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品流通問題を受けて設置された厚労省医薬・生活衛生局の「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」は4月21日、東京都内で第2回会合を開き、製造から販売までの流通管理の保証手順を定め、偽造薬防止策も規定されている国際的な基準「医薬品の適正流通基準」(GDP)ガイドラインについて、制度化の必要性を指摘する意見が相次いだ。また、医薬品卸に対し、相手の身分など適格性の確認を含む譲受記録の厳格化も必要との意見が複数の委員から出た。同省は、夏頃に中間取りまとめを受け、急ぐべき対策を優先して省令等に反映させる方針だ。
21日の会合では、日本製薬団体連合会、日本医薬品卸売販売業連合会から現行の偽造品対策の説明を受けた。両団体の委員は、製造から販売に至る一貫した品質確保対策としてGDPの検討が必要と表明。卸連は加盟社向けの流通管理規範JGSPのGDP対応を検討しているが、他の委員からは問題が起きた卸連加盟以外の事業者も遵守する仕組みが必要との意見が出た。薬局間の譲受については日本薬剤師会(日薬)、日本保険薬局協会(NPhA)、日本チェーンドラッグストア協会がまとめた「薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン」が説明され、薬局間においても品質等医薬品管理を徹底していくと報告された。
この中で一條宏委員(日本医薬品卸売販売業連合会薬制委員会委員長)は、「品質を保証できない医薬品を流通させない環境を整備」する必要性を強調し、譲渡等の記録の正確性の確保・厳格化を求め、許可申請・更新時の要件とすることを提案した。
ハーボニー問題の調査に直接携わった河野安昭委員(東京都福祉保健局健康安全部薬事監視担当課長)は、譲受の記録が架空であったり、正確な記録が残っていないことを問題視し、GDPを遵守できない場合は卸売販売業をやめてもらうなど、規制により淘汰していく仕組みが必要と指摘した。取引相手の適格性を含む記録の厳格化は複数委員から必要性が指摘され、記録管理を怠っている業者に対する罰則が必要との意見も出た。
事務局の厚労省は21日の会合を振り返り、製造から販売に至る一貫した偽造品流通防止策について「事業者の自主的な取り組みに委ねるだけではなく、ルールとしてそういうもの(GDP)が必要だということだと思う」(辺見総務課長)との認識を示した。また、譲受等の記録については、虚偽記載を防ぎ、再現性が重要であるとの指摘だったとの受け止めをしている。法令上、規制をどう整備するかは今後の意見などを踏まえて検討する姿勢だ。次回5月の会合では、急ぐべき対策などを整理していく予定。