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厚労省 SNRI3剤に添付文書改訂指示 条件付きで自動車運転可能に

公開日時 2016/11/29 03:50

厚労省医薬・生活衛生局は11月25日、SNRI3剤の添付文書にある「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させない」との指示内容を、医師が患者に副作用に関して適切な指導を行うなど一定の条件を満たせば、自動車運転などが行えるように改めることを、通知で日本製薬団体連合会に指示するとともに、医療関係団体にも周知するよう依頼した。関係学会の要望を受けた同省が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に調査を依頼、国内外の臨床試験や副作用の集積状況などの調査結果を踏まえて薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会で、現行規制を見直すことが適切と判断された。

改訂指示があったのは▽トレドミン錠(一般名:ミルナシプラン塩酸塩、承認取得会社:旭化成ファーマ)他 ▽サインバルタカプセル(デュロキセチン塩酸塩、塩野義製薬) ▽イフェクサーSRカプセル(ベンラファキシン塩酸塩、ファイザー)--の3剤。具体的には「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること」と改める。

 
医師に求めた患者に対する注意事項は以下の6点。
▽患者のうつ病等の精神疾患の状態が安定しているかよく観察する
▽用法・用量を遵守する
▽患者に対する本剤の影響には個人差があるので、個々の患者をよく観察する
▽本剤の投与により、めまい、眠気に代表される自動車運転等に影響を与える可能性のある副作用が発生することがあるので、患者の自覚症状の有無を確認する
▽投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時には、患者にとって適切な用量で精神疾患の状態が安定しているか、特に患者の状態に注意する必要がある。そのため、自動車運転等の可否を判断する前に一定期間、観察することも検討する
▽多剤併用処方は避け、必要最小限のシンプルな処方計画を心がける。また、併用薬がある場合は自動車運転等への影響を予測することが困難なため、場合によっては自動車運転等を避けるよう注意することが適切な場合もある
 
患者自身が注意すべき点としても、副作用にはめまい、眠気などがあり、 投与初期、他剤からの切り替え時、用量変更時等はこれら副作用が発生しやすいとして、「可能な限り自動車運転等を控え、めまい、眠気や睡眠不足等の体調不良を自覚した場合は、自動車運転等を絶対に行わない」とする。
 
自動車運転等に関する注意喚起の見直しについては、2014年1月に日本神経精神薬理学会、日本うつ病学会が「添付文書に関する要望書」を厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課に提出。一部抗うつ薬を除いた向精神薬では運転中止を求めざるを得ず、恩恵があるはずの治療薬が患者の生活を奪うことになるばかりか、必要な治療を受けず症状の悪化、再発をしてしまう患者の増加が危惧されるとして、添付文書の改訂を求めていた。要望書を踏まえ2016年9月に安全対策課はPMDAに対し、SNRIの自動車の運転等危険を伴う機械の操作時の安全性に関する調査を依頼していた。

なお、SSRIの添付文書では、「重大な副作用」の項にて「意識レベルの低下・意識消失等の意識障害」が記載されているフルボキサミンマレイン酸塩を除き、自動車運転等の機械操作を禁止する注意喚起にはなっていない。
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