東邦HD GEの製造販売事業に本格参入 「共創未来ファーマ」11月発足 製品の集約化狙う
公開日時 2016/10/28 03:52
東邦ホールディングス(HD)は10月27日、主に受託製造事業を行う完全子会社・エール薬品(東京・品川)の社名を変更して「共創未来ファーマ」を11月1日に発足させ、後発医薬品(GE)を中心とした開発・製造・販売事業を展開すると発表した。GEは、市場拡大の中で、同一成分に多数の銘柄が販売され、医療施設では高品質で安定供給が確保されている製品に集約して扱いたいというニーズがある。それに対し新会社は、独自に品質検証をした製品を「共創未来ファーマ」ブランドとして集約、販売し、東邦の流通ルートで安定供給することで臨床現場のニーズに応えたい考え。
エール薬品は11製品のGEの製造販売承認を取得しているが、販売は外部に委託する形。東邦HDとしては今回の社名変更と新事業の展開で、GEを中心とした開発、製造、販売事業への本格参入となる。
同社によると、今後、他社製品へのブランド名表示や既存製品の併売契約、新製品の共同開発を通じて取り扱い製品数の拡充を進める。具体的には、2016年12月の追補収載では他社の2製品を併売し、個装箱への「共創未来ファーマ」の明示にとどまるが、17年12月追補以降は共同開発し、承認を取得した上で販売する計画。長期収載品等の製品導入は「否定はしない」としており、視野に入れている。製造は、将来的にGE企業の製造能力に余剰ができることを念頭に外部に委託する方針。
製品は、東邦HD傘下の調剤薬局への確実な販売を進めるほか、会員組織「薬局共創未来」の約1万7000店舗(法人数6127、16年3月末現在)への販売も進め、シェアを高めたい考え。薬局での取り扱いGE製品の集約化を図ることで、在庫負担の軽減につなげたいとしている。
また、東邦の卸売事業としては、引き続き他社製品も扱うが、「共創未来ファーマ」ブランドの製品の流通量を増やすことで管理コストを抑え、GE卸売事業の収益力向上につなげたい考えだ。
そのほか同社は、患者数や処方医療機関が限られる希少疾病用薬、スペシャリティ薬の開発支援も事業としており、承認後は東邦ルートで流通させることも視野にある。
東邦HDは、新事業の展開の必要性について、国のGE使用促進策やスペシャリティ・希少疾病用薬の拡大など市場環境を挙げ「急速な市場の変化に適合したサプライチェーンの再構築に貢献することが必要と判断した」と説明。今後を見据え、HDの経営資源を最大限に活用して「顧客の需要に対応するイノベーティブな製造販売一体型のビジネススキーム」の確立に取り組むとしている。
新会社は代表取締役を3名置く体制で、相談役に濱田矩男氏(東邦HD代表取締役社長)、会長に高田龍三氏(東邦HD専務執行役員)、社長に有働敦氏(東邦HD取締役)が11月1日付でそれぞれ就く。現エール薬品代表取締役の熊田泰之氏は取締役副社長に同日付で異動する。