大日本住友・多田社長 国内MR数を「本格的に検討」 GE影響大きく、新薬の成長も鈍化
公開日時 2016/05/12 03:52
大日本住友製薬の多田正世社長は5月11日に開いた2016年3月期(15年度)決算会見で、「国内MRの適正な数について、いま本格的に検討している」と述べた。後発品(GE)の急速な浸透による市場全体の競争激化により、長期収載品だけでなく、特許期間中の戦略品の増収幅や成長スピードにも影響が出ているため。14年10月に修正した現中期経営計画(13年度~17年度)をこの日までに再度見直したところ、最終17年度の長期収載品及び戦略品の売上合計が14年10月時点の計画よりもさらに300億円超下振れするとの結果となり、「ここまで急速にGEの影響が出てくるとは、さすがに思い至らなかった」と話した。
同社の日本事業は、プライマリケア領域の新薬を戦略品のひとつに位置付けている。このため、これまで人員削減はしていなかった。しかし、多田社長によると、近年のGEの急速な浸透によって、先発各社は収益確保のために新薬の営業を強化しており、GEや競合新薬との市場競争が一層激化。結果として、大日本住友の戦略品の売上が計画ほど伸びない状況にあると説明した。
この日に公表した再修正後の中期計画は、最終年度の17年度で、連結売上4400億円(前回修正計画、当初計画とも4500億円)、営業利益500億円(同800億円)――と設定した。売上は前回計画とほぼ横ばいにも見えるが、これは統合失調症薬ラツーダを中心とする北米事業の上方修正が反映しており、日本事業は下方修正となる。多田社長は日本事業について、戦略品の降圧配合剤アイミクス、非定型抗精神病薬ロナセン、抗パーキンソン病薬トレリーフ、新製品の糖尿病用薬トルリシティ、痒症改善薬レミッチを最大化することで、「マイナスを最小限に抑えたい」と述べた。
■国内売上6.4%減 連結業績は増収2ケタ増益、統合失調症薬ラツーダ好調で
15年度の日本事業の売上は1464億9200万円、前期比6.4%減だった。減収額は101億円。アイミクス、降圧剤アバプロ、ロナセン、トレリーフの戦略4製品の売上は計515億円、前期比10.9%増で、増収額は51億円。その一方で、糖尿病治療薬メトグルコ、降圧剤アムロジン、消化管運動機能改善薬ガスモチン、末梢循環改善薬プロレナール、抗菌薬メロペン――の主な長期収載品5製品の売上は計544億円、前期比17%減で、減収額は113億円だった。
多田社長は「15年度の国内事業のマイナスはほぼ長期収載品の減収によるもの。戦略品も50億円増ではなく、もう少しプラスにしなければいけなかった」と振り返ったが、「GEの浸透は単に長期収載品だけでなく、戦略品にも大きな影響があり、計画未達となった」と述べた。
15年度の連結業績は売上4032億600万円(前期比8.6%増)、営業利益369億2900万円(58.7%増)と増収、2ケタ増益だった。売上4000億円超えは初めて。北米でのラツーダが売上10億200万ドル、日本円で1204億円(45.9%増)と大きく伸長し、円安も追い風となった。
【15年度連結業績(前年同期比)16年度予想(前年同期比)】
売上高 4032億600万円(8.6%増)4100億円(1.7%増)
営業利益 369億2900万円(58.7%増)400億円(8.3%増)
純利益 246億9700万円(59.9%増)250億円(1.2%増)
【15年度の主要製品売上高(前年同期実績)16年度予想、億円】
アイミクス 149(120)161
アバプロ 108(114)93
ロナセン 126(115)138
トレリーフ 131(116)145
(以上戦略品)
シュアポスト 36(24)46
アンビゾーム 43(43)43
リプレガル 102(97)105
メトグルコ 147(171)98
アムロジン 164(196)122
ガスモチン 84(105)60
プロレナール 87(106)70
メロペン 62(79)45
エバステル 31(39)25