MRが自主運営する医療貢献研究会 3周年記念イベントで松政代表「医療・患者貢献で新たな価値を創る」
公開日時 2024/11/13 04:52
企業の枠を越えて現役MRでつくる「医療貢献研究会」は11月9日、発足3周年記念講演会を東京都内で開いた。初のリアル開催となったこの日の研究会には、全国各地から製薬企業所属の現役MR、本社営業スタッフ、医療系ベンチャー、医療従事者や医療機関の経営者など50人以上が参加した。研究会冒頭で挨拶した松政太郎代表(アステラス製薬)は、「企業や地域の垣根を越えて、MR自らが医療貢献、患者貢献を考えて実践することで、患者さんや社会に対して新たな価値を創造していきたい」と活動の意義を強調した。
◎講演会や事例発表会など開催 今後は先進的な医療機関や地域の見学会も計画
研究会は製薬企業の垣根を超えた現役MRが中心となって2022年2月に発足した。活動理念には「Patient Centricity~競争から共創へ~」を掲げる。これまでの活動においては、医師や看護師、病院の地域連携室責任者、厚生労働省の医系技官などを招き、計10回のオンライン講演会を開催した。さらに、現役MRが参加して、活動事例を基に議論する事例発表会を行うなど、研究会としての実績や成果も積み重ねてきた。
松政代表によると、今後は従来の活動に加え、25年4月に開幕する大阪・関西万博(EXPO 2025)に合わせた大阪での講演会や交流会などのイベントに加えて、先進的な取り組みに挑戦する医療機関や地域医療連携などをテーマにMR向けの見学会などを計画しているという。松政代表は、「様々な企業の方が集まり、思いを共有することで気付きにつながる。これからも活動を実践につなげ、価値につなげていきたい」と抱負を語った。
◎メディヴァの大石氏 「DXで個人に寄り掛からない仕組み必要」
記念講演会には地域医療に携わる専門家が登壇した。メディヴァ代表取締役社長の大石佳能子氏は、「病院を中心としたまちづくり」と題して講演。クリニックや在宅医療などの運営を手掛ける立場から大石氏は、「医療業界は個人の能力と頑張りで持っているところがあるが、それではサステナブルではない。ICTやデジタル、いわゆるDXで個人に寄り掛からなくていい仕組みが必要だ」と強調。「普通の患者さん思いの先生が 自分の生活を大事にしながら『赤ひげ先生』になれる仕組みを作っていきたい」と訴えた。
系列の医療機関では、連携して24時間対応ができる体制づくりを進め、GoogleスプレッドシートやSlackなど既存のアプリを使った効率化などに取り組んでいるという。医師の非医療業務が削減されることで、患者と向き合う時間が増えたり、勉強やプライベートに充てたりと変化が生まれた。大石氏は「簡単なことをやるだけで仕組みも変わり、働き方が変わることで結果として余裕ができる」と成果につながっているという。
◎地域医療を守るコミュニティホスピタル事業 総合診療医の学びの場としての機能も
大石氏はまた、新たな取り組みとして、中小病院の経営支援とともに地域づくりにも取り組む「コミュニティ&コミュニティホスピタル事業」を紹介した。従来の病院中心の施設型医療から、自宅や地域を軸に地域医療を守る中小病院の独自のポジション形成を目指すというもの。総合診療医の育成にもつなげることも狙いの一つにある。大石氏は、コミュニティホスピタルで総合医療や在宅医療を学び、さらに病院経営にも携わることで、「一つのキャリアとして総合診療医が増えればいい」と強調。若手医師が集まり、キャリアの幅を広げつつあるといい「ムーブメントとしてうまくいき始めてる」と手応えを披露した。