自宅の台所で「遺伝子編集（Gene Editing）」の実験をしてみませんか？クラウドファンディングで賛同者と資金を募り、自宅アパートの台所で製作した 遺伝子編集用のDIYキットの販売を始めた科学者がいる。

https://www.indiegogo.com/projects/diy-crispr-kits-learn-modern-science-by-doing#/　


クラウドファンディング・サイトで販売されている遺伝子操作・編集キットは、実験内容により＄75から＄3000までバリエーションがあり、各パッケージには実験用バクテリアをはじめ必要なものすべてと実験マニュアルつきで宅配される。バイオの専門知識がなくても自宅で手軽に実験ができるというのが売り。すでに第一次販売の50セットを完売して第二次募集にかかっているキットもある。

遺伝子編集用DIYキットを製作しているのはJosiah Zayner、34歳。シカゴ大学で生物物理学を修めた後、NASAでリサーチ・フェローを務めたが、現在は独立自営。上述の遺伝子編集DIY キットの製作・販売を手がけているほか、バイオハッカー（独学でバイオを勉強する人をこう呼ぶ）のためのクラスなどを教えながら、シリコンバレーで猫と暮らしている。

「科学は万人のもの、もっと民主化されるべき」というのがJosiahの信念だ。科学が一部の科学者に独占されている現状は不自然。誰もが科学し、それぞれの立場で科学の発展に貢献できるようにしたい 、と考え、行動している。


Josiahの活動をめぐっては、バイオが身近になるのはよいことだと 評価する声がある一方、野放図な遺伝子編集の拡大を危惧する声も上がり始め、議論はこれからだ。（医療ジャーナリスト　西村由美子）