AZとリリー 認知症薬AZD3293を共同開発・商業化 P2/3に「速やかに着手」
公開日時 2014/09/19 03:50
英アストラゼネカ(AZ)と米イーライリリーは9月18日、日本法人を通じて、AZがアルツハイマー型認知症治療薬として開発中のAZD3293を両社で共同開発・商業化する契約を締結したと発表した。AZD3293は、アルツハイマー型認知症の進行遅延が期待できる経口のβセクレターゼ切断酵素(BACE)阻害薬。両社は、日本を含むグローバルフェーズ2/3試験に「速やかに着手することを目指す」としている。
AZは、アミロイドβなどアルツハイマー型認知症の特質として知られる因子を標的とする様々な診断・治療のパイプラインを持つリリーと共同開発した方が、AZD3293の開発を加速できると判断した。開発後期のコストとリスクを分散するねらいもある。リリーは開発パイプラインの強化とともに、「アルツハイマー型認知症を2025年までに予防可能な病気にするというリリーの目標に一歩近づけるものになる」としている。
今回の契約によって、リリーは開発、薬事上のマイルストーンの達成に応じてAZに合計で最高5億ドルを支払う。AZは15年上期に5000万ドルのマイルストーン収益を見込んでいる。今後の開発・商業化に要するコストは両社で折半し、上市後の純売上は分割して計上する。開発はリリーが主導し、AZのニューロサイエンス領域低分子化合物研究部門の研究者と連携して進める。製造はAZが担当、販売は両社で共同実施する。
アルツハイマー型認知症の進行は、アミロイドβと称される蛋白質で構成されるアミロイド斑が蓄積する特徴がある。BACEはアミロイドβに関連する酵素で、BACEを阻害することでアミロイド斑の形成を防ぐ。最終的には疾患の進行を遅らせることが期待されている。AZD3293は経口投与でBACEを選択的に阻害する低分子化合物。
なお、リリーは、脳内のアミロイドβプラークをPET検査で可視化できる放射性診断薬「florbetapir(18F) 注射液」を病院内で合成するための設備「NEPTIS plug-01」の承認を日本でも取得(9月から提携先が販売開始)しているほか、静脈注射で用いるアルツハイマー型認知症治療薬ソラネズマブ(遺伝子組み換え)が日本を含む全世界でフェーズ3段階にある。