厚労省の薬食審医薬品第一部会は4月25日、5成分目となるSGLT2阻害薬で田辺三菱製薬のカナグル錠とユーシービージャパンの抗てんかん薬イーケプラの点滴静注製剤の承認の可否を審議し、承認を了承した。
承認が了承された品目は次のとおり(カッコ内は成分名と申請会社名)。
※部会を通過したSGLT2阻害薬5成分6製品は以下の関連ファイルからダウンロードできます。5月2日まで無料公開、その後はプレミア会員限定での公開となります。会員の方は
こちらをご覧ください。
【審議品目】
▽カナグル錠100mg(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。14年1月時点で欧米を含む36カ国で承認済み。
腎臓の近位尿細管で糖を再吸収するナトリウムグルコース共輸送担体2(SGLT2)を選択的に阻害し、過剰な血糖を体外に排出するSGLT2阻害薬。1日1回100mgを朝食前または朝食後に経口投与する。これまで承認済みのSGLT2阻害薬と同様、直後調査のほか特定使用成績調査として▽2型糖尿病患者対象の3年間の調査▽65歳以上の2型糖尿病患者対象の1年間の調査――を予定する。田辺三菱製薬と第一三共が共同販売する。
▽イーケプラ点滴静注500mg(レベチラセタム、ユーシービージャパン):「一時的に経口投与ができない患者における、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法に対する、レベチラセタム経口製剤の代替療法」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。米国、欧州を含む46の国または地域で承認済み。
消化管の手術時など一時的に経口剤の投与ができない場合に使用する。同成分の経口投与から切り替える場合は、同じ1日用量および投与回数で1回量を15分かけて静脈内投与する。
イーケプラの経口剤は、10年に錠剤が、13年にはドライシロップ剤が日本で承認済み。他の抗てんかん薬で効果が不十分な場合に上乗せして使用する。
【報告品目】
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査で承認して差し支えないとされ、部会での審議は要しないと判断されたもの。
▽ジャヌビア錠12.5mg、同25mg、同50mg、同100mg(シタグリプチンリン酸塩水和物、MSD)、グラクティブ錠12.5mg、同25mg、同50mg、同100mg(同、小野薬品):「2型糖尿病」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間残余(平成29年10月15日まで)。
▽ネシーナ錠6.25mg、同12.5mg、同25mg(アログリプチン安息香酸塩、武田薬品):「2型糖尿病」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間残余(平成30年4月15日まで)。
3製剤はいずれもインスリン分泌を促す消化管ホルモンを分解するDPP-4を選択的に阻害するDPP-4阻害薬。「2型糖尿病」の効能を取得したことで、全ての糖尿病治療薬との併用が可能になった。
▽パレプラス輸液(各種栄養成分の配合剤、味の素製薬):「経口摂取不十分で、軽度の低蛋白血症または軽度の低栄養状態にある場合並びに手術前後のアミノ酸、電解質、水溶性ビタミンおよび水分の補給」を効能・効果とする類似処方医療用配合剤。
手術後など2週間以内の短期間で経口栄養摂取ができない場合に用いる末梢静脈栄養(PPN)製剤。既存のPPN製剤に含まれる糖、アミノ酸、電解質、ビタミンB1に加え、その他の水溶性ビタミン8種類が添加されている。
▽アレディア点滴静注用15mg、同30mg(パミドロン酸二ナトリウム水和物、ノバルティスファーマ):「骨形成不全」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
追加する適応は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が、国内外での症例報告などから同剤の実績を認めて公知申請に該当すると判断。それに基づき同社が公知申請していたもの。そのため特例により同適応に対し保険適用されている。
骨形成不全症は、骨の主要な成分であるコラーゲンの先天的な異常により骨の脆弱が見られる先天性疾患で、骨折リスクが高く、骨折による脊椎や四肢の変形、低身長などの症状も見られる。軽症もあるが、致死性の重症なケースもあり、日本での患者数は約100人という。