医師の4割がタブレット端末所有 年代問わず急増 学会抄録の閲覧などに ケアネット調査
公開日時 2013/11/13 03:51
ケアネットはこのほど、医師1000人を対象とした意識調査で、医師の4割がタブレット端末を所有し、年代を問わず利用者が急増しているとの調査結果をまとめた。スマートフォンとタブレット端末の両方を所有している医師は4人に1人だった。医療での用途を聞いたところ、タブレット端末ではトップが「医学・医療に関する書籍・論文閲覧」(46.9%)、スマホではトップが「医学・医療関連のニュース閲覧」(37.2%)――。医師コメントを参照すると、「学会抄録集がアプリになったので便利」といった内容が散見された。抄録のデジタル化がタブレット端末を手放せない存在にしている可能性がありそうだ。
調査はCareNet.comの医師会員を対象に実施した。有効回答数は1000人で、内訳は30代以下が196人、40代が356人、50代が350人、60代以上が98人――。調査方法はインターネットリサーチ。調査日時は10月18日。
調査結果を見ると、タブレット端末を所有している医師は43.7%だった。同社では同様の調査を過去にしているが、所有医師は12年が29.2%、11年が20.3%で、13年に急増したことがわかる。年代別では、30代以下が12年調査から16.7ポイント増えて48%、40代が14.1ポイント増えて46.3%、50代が14.7ポイント増えて39.1%、60代以上が12.6ポイント増えて41.8%――となり、年代を問わずタブレット端末の所有率が増えていた。
スマホの所有医師は13年が47.6%(12年38.6%、11年28.0%)で、30代以下では所有率が6割超、40代も5割を超えた。なお、タブレット端末とスマホのいずれかを所有している医師は37.9%、いずれも所有していない医師は35.4%、両方所有している医師は26.7%――だった。
検索便利だが、頭に残らなくなったかも
医療での用途を選択制で聞いたところ、タブレット端末の上位3項目は、「医学・医療に関する書籍・論文閲覧」(46.9%)、「医学・医療関連のニュース閲覧」(43.5%)、「医薬品・治療法に関する情報収集(書籍・論文以外)」(41.9%)――となり、これらのみ4割を超えた。スマホもタブレット端末と上位3項目は変わらないものの順位が若干異なり、「ニュース閲覧」(37.2%)、「医薬品・治療法に関する情報収集」(35.1%)、「医学・医療に関する書籍・論文閲覧」(25.8%)――となった。ただ、スマホでは、「特に利用しているものはない」との回答割合が33.8%と多かった。
ライフスタイルで変化した点などについてコメントを求めたところ、学会抄録の閲覧を挙げた内容として、「学会の抄録がアプリになり、重い抄録集がなくなって便利」(40代、男性、外科)、「学会場に持っていき、抄録などを検索している。パソコンを持参するより荷物がコンパクトになった」(40代、女性、内科)、「学会参加時の抄録、プログラムの閲覧」(50代、男性、麻酔科)――などが見られた。
また、「電車で論文が読みやすくなった」(30代、男性、代謝・内分泌科)、「在宅医療に従事しており、専門外の訴えに対応しなければいけないことが多い。常に大量の参考書を電子書籍として持ち歩いており、タブレットはなくてはならないもの」(50代、女性、内科)、「移動中も手軽に利用できる。診察中もパソコンの横において薬剤情報の検索などで便利」(50代、男性、精神・神経科)など情報収集の便利さを挙げるコメントも多く寄せられた。
その一方で、「知識の吸収において深みがなくなった気もする」(50代、男性、神経内科)や「頼れば自身の学力は低下する」(40代、男性、内科)といった頭に残らなくなったとのコメントも見られた。