EMA 「アルツハイマーデイ」を期に声明を発表
公開日時 2013/10/01 03:50
欧州医薬品庁(EMA)は9月20日、21日の「世界アルツハイマーデイ」を前にEMAとしてアルツハイマー病(AD)治療法や診断法の進歩へ一層の貢献をするとの声明を発表した。声明では、AD治療薬の開発の現状や今後の展望について触れ、EMAとしての関与について言及している。
EU域内では、AD患者は500万人以上といわれている。現在、入手可能なAD治療薬は、対症療法のみだが、アミロイドβの産生と除去などADのメカニズムを標的とした多数の薬剤が開発中だ。これら疾患修飾薬と呼ばれる薬剤は、疾患早期をターゲットとして、疾患の長期にわたる経過を変える可能性を持つ。
AD治療薬開発で現在、活発な分野のひとつが、患者がADと診断される前の症状からその診断を得ようとする場合や臨床評価を目的に患者選択をする場合の画像診断法およびバイオマーカーなどの開発・バリデーションである。
EMAは、以上の診断法などを開発する企業に対して、当該診断法やバイオマーカーによる方法が承認されるのに役立つ科学的アドバイスを行っている。
2011年以降、EMAのCHMP(ヒト医薬品委員会)は、ADの認知症発症前の段階の同定や患者選択に役立つバイオマーカーについてのアドバイスおよび軽度・中等度AD患者の臨床試験の際の患者選択に使用されるアドバイスを行っている。
さらに、2013年8月には、ADの臨床試験のデザインや患者リクルートメントの基準などついての科学的アドバイスに関する意見公募が終了するなどAD治療薬の臨床試験における制度面での改善を図っている。
EMAは、2013年末までに、臨床評価の現場におけるバイオマーカーの使用やR&Dの新動向などから得られた新知見に基づいて「AD治療薬の臨床試験ガイドライン」を改定する必要があるかどうかを決定する計画である。
世界アルツハイマーデイは9月21日だが、9月は国際アルツハイマー病協会(ADI)から世界アルツハイマー月間に制定されており、ADの啓蒙啓発を強調する月間となっている。