米・ファイザー NICE評価システムに懸念 ザーコリの非推奨受け
公開日時 2013/08/23 03:50
米・ファイザー社は8月16日、英国立医療技術評価機構(NICE)がXalkori(一般名:クリゾチニブ、日本名:ザーコリ)のNHSが、保険適用下での使用を推奨しないとする最終ガイダンス案をまとめたことについて、同社幹部や有識者の意見を発表した。
クリゾチニブは、前治療を受け、ALK陽性と診断された進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者にベネフィットが大きいだけに、それら患者に与える影響を指摘した。その上で、英国政府ががんの治療成績で欧州トップを目指していることや、サイエンス分野で世界のリーダーを目指していることに触れ、懸念を示した。
University Hospitals of LeichesterのMichael Peake博士は、臨床医の観点から「日常的にがん患者を診ているものとして、個人的に非常に失望した」とコメント。その上で、「臨床医は、特定のプロモーターを標的とした個別化医療に緊急の必要性があることを理解している。しかし、患者がこれら治療に日常的にアクセスできなければ、ほかのアクセスできる国に比べ、治療成績が悪化するリスクにさらされる」と警告を発した。
米・ファイザー社は、英国における医療技術評価(HTA)が、画期的医薬品をNHSにおける使用および患者のベネフィットのために受け入れることを一層難しくしていると指摘している。同社のOncology UKのDavid Montgomeryメディカルディレクターは、英国政府は、がん治療について個別化医療の推進を戦略として掲げているとし、NICEの現行の評価システムに問題があることを示唆した。
その上で、「NICEが臨床的に費用対効果を持つ治療を拒否した新たな1例だ。仮にこのような否定的な傾向が続くなら、がん生存率において英国は他の欧州各国よりもはるかに劣ることになってしまう」と警告した。