ファイザー β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤・ザビセフタを発売 AMR対策の治療選択肢
公開日時 2024/11/13 04:46
ファイザーは11月12日、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤・ザビセフタ配合点滴静注用(一般名:注射用アビバクタムナトリウム・セフタジジム水和物)を発売した。新規のβ-ラクタマーゼ阻害薬・アビバクタムナトリウムと、セフェム系抗菌薬・セフタジジム水和物を配合した抗生物質製剤。薬剤耐性(AMR)対策の新たな治療選択肢として開発された。
薬価は2.5g1瓶1万6111円(1日薬価:4万8333円)。中医協資料によると、10年後のピーク時売上予想は2.5億円。
世界的に抗菌薬に対する耐性菌が増加しており、日本でも基質拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)産生菌やカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)などのグラム陰性菌の耐性出現が報告されている。これらの細菌ではβ-ラクタマーゼを介することが耐性化の原因のひとつとされており、薬剤耐性を示すグラム陰性菌による感染症に対する新たな治療選択肢が求められていた。
ザビセフタの有効成分のひとつアビバクタムナトリウムが、β-ラクタム系抗菌薬の耐性機序に関わるβ-ラクタマーゼのうち、AmblerクラスA、クラスCおよび一部のクラスDのセリン-βラクタマーゼを阻害することで、セフタジジム水和物がβ-ラクタマーゼ産生菌に対しても抗菌作用を発揮する。
海外では、薬剤耐性菌を含む原因菌による複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎、ならびにこれらの感染症に関連する菌血症に対する治療薬として90以上の国または地域で承認されている。
同社取締役執行役員チーフ・オペレーティング・オフィサー兼インターナルメディスン/病院/抗ウイルス医薬品部門長代行の五十嵐啓朗氏は、「新有効成分のアビバクタムと、開発されて40年以上が経過しているセフタジジムが配合されたユニークな製剤であり、海外でも広く臨床で使用されているザビセフタを日本でもお届けし、日本のAMR対策に貢献していけるよう、関連学会等と連携し、本剤の適正使用情報の提供を進める」とコメントしている。