大正製薬 SGLT2阻害薬ルセオグリフロジンを国内申請
公開日時 2013/04/19 05:02
大正製薬ホールディングスは4月18日、新規機序の経口血糖降下薬ルセオグリフロジン水和物(一般名、開発コード「TS-071」)を同日付で承認申請したと発表した。SGLT2阻害薬と呼ぶ新たなクラスの薬剤で、開発競争も激しい。国内では6成分が開発・申請されており、各社発表ベースでは、ルセオグリフロジンは3月13日付で申請したイプラグリフロジン(アステラス製薬/寿製薬)に次ぐ2番目の申請となる。大正は本誌取材に、「競争の激しい領域で、競合他社に遅れることなく申請に至った。承認取得と発売開始についても他社に遅れることなく対応していきたい」とコメントした。
ルセオグリフロジンは大正の自社創製品。大正が製造し、大正の連結子会社の大正富山医薬品とノバルティス ファーマが共同販売する。
大正は、ルセオグリフロジンが承認されれば経口血糖降下薬領域に初参入となる。ただ、「糖尿病性皮膚潰瘍の改善」を適応症のひとつとする血管拡張薬パルクスを手掛けているほか、糖尿病患者を診る機会が少なくない一般内科も抗菌薬クラリスなどで得意市場としており、足場があるともいえる。MR数は約800人。ノバルティスは別のクラスの経口血糖降下薬であるDPP-4阻害薬エクアを販売しており、ルセオグリフロジンで製品ラインナップの強化につなげる。
大正は、ルセオグリフロジンの臨床試験は2010年の「経口血糖降下薬の臨床評価ガイドライン」に従ったとしており、承認されれば、主要な糖尿病治療薬との併用が可能となる「2型糖尿病」の適応を取得することになりそうだ。
ルセオグリフロジンは、腎尿細管で糖の再吸収を行う輸送体であるナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に阻害し、糖を尿とともに体外に排泄して血糖値を下げる新しいタイプの薬剤。国内フェーズ3試験では、単剤投与と他の経口血糖降下薬との併用投与で、HbA1cの低下作用とともに、「安全性に問題ないことが確認された」としている。また、大正はルセオグリフロジンの特徴として、「毎食後の高血糖および空腹時血糖を改善し、低血糖を起こしにくいことに加え、体重減少作用を併せ持つ」とも説明している。
なお、国内で開発・申請中のルセオグリフロジン、イプラグリフロジン以外のSGLT2は、▽ダパグリフロジン(ブリストルマイヤーズ/アストラゼネカ)▽カナグリフロジン(田辺三菱製薬/第一三共)▽トホグリフロジン(中外製薬/興和/サノフィ)▽empagliflozin(NBI/イーライリリー)――で、いずれもP3段階とみられる。