薬食審・第二部会 慢性リンパ性白血病の新薬、承認了承 ピロリ菌除菌療法に胃炎追加も
公開日時 2013/02/01 04:02
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は1月31日、慢性リンパ性白血病治療薬の新薬など2剤の承認の可否について審議し、承認を了承した。また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査で承認することになった品目(報告品目)では、PPIと抗菌剤によるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法に胃炎を追加することが報告された。
【審議品目】
▽ファムビル錠250mg(成分名・ファムシクロビル、会社名・旭化成ファーマ):「単純疱疹」の効能・効果を追加とする新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。海外53カ国承認済。
1回1錠を1日3回投与する。
▽アーゼラ点滴静注液100mg、1000mg(オファツムマブ遺伝子組換え、グラクソ・スミスクライン):「再発又は難治性のCD20陽性の慢性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
慢性リンパ性白血病は、国内患者数は2000人と推計されている(厚労省調査)。治療にはシクロホスファミド、フルダラビン等の化学療法などが治療の選択肢とされているが、再発・再燃を繰り返すと治療薬の選択肢も少なくなる。同剤はヒト型モノクローナル抗体で、この疾患の多くを占めるB細胞型に発現するCD20分子を標的とし、結合することで細胞傷害作用が働く仕組み。
【報告品目】
▽アブラキサン点滴静注用100mg(パクリタキセル、大鵬薬品工業):「胃がん、非小細胞肺がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(平成26年7月22日まで)。
▽フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「NK」、同150μg、同300μg(フィルグラスチム遺伝子組換え、日本化薬)、フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「テバ」、同150μg、同300μg(同、テバ製薬)
がん化学療法による好中球減少症などに用いるG-CSF製剤で、バイオシミラー。
▽タケプロンなどPPI製剤(武田薬品、アストラゼネカ、田辺三菱製薬、マイラン製薬、エーザイ、大原薬品)、パセトシンなどアモキシシリン(協和発酵キリン、アステラス製薬、武田薬品)、クラリスなどクラスリスロマイシン(大正製薬、アボット、マイラン製薬、高田製薬)、フラジール(メトロニダゾール、塩野義製薬)、ランサップ(ランソプラゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン水和物、武田薬品)、ランピオンパック(ランソプラゾール、アモキシシリン水和物、武田薬品):「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」の効能・効果を追加とする新効能医薬品。
▽ジェムザール注射用などゲムシタビン(日本イーライリリー、高田製薬、沢井製薬、日本化薬、ホスピーラ):「再発又は難治性の悪性リンパ腫」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。
▽タキソール注射液などパクリタキセル(ブリストル・マイヤーズ、日本化薬、沢井製薬):「再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。
▽ロイナーゼ注用5000、10000(L‐アスパラギナーゼ、協和発酵キリン):「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫」を効能・効果とする新投与経路医薬品。
日本では静脈内投与に限られているが、過敏症の発症リスクがあり、発症すると投与が困難になることから、今回リスクの低いという筋肉内投与を追加するもの。
ゲムシタビン、パクリタキセル、ロイナーゼの追加適応については、特例で既に保険適用されている。
3成分の未承認適応の公知申請を了承 保険適用に
31日の部会では、3成分の未承認適応症の公知申請が了承された。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当とされた適応外薬で、今回の了承で半年程度かかる正式承認を待たずして、保険が適用される。
▽追加適応「ヴェゲナー肉芽腫症及び顕微鏡的多発血管炎」「免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患」の成人と小児適応:リツキサン注(一般名:リツキシマブ遺伝子組換え、全薬工業)
▽追記適応「HER2過剰発現が確認された乳がんにおける術後補助化学療法に対する1習慣間隔投与」:ハーセプチン注射用(トラスツズマブ遺伝子組換え、中外製薬)
▽追記適応「小児悪性固形腫瘍」:ハイカムチン注射用(ノギテカン塩酸塩、日本化薬)